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届かない距離

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届かない距離

2 - 絵に描いた出逢い

2025年07月22日

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翌朝、教室の空気はいつも通りで、賑やかだった。瑚音彩花は胸にスケッチブックを抱えながら、自分の席に着いた。


昨日の出来事が頭から離れない。

傘を貰ったことに感謝の言葉すら言えていないのだから。


昼休み。廊下を歩く平岸燈弥を見つけた彩花は勇気を出して声をかけた。


「あの…!昨日は、傘、ありがとう、」


燈弥は少し立ち止まり彩花を見た。


「ん…?あー、そんなこともあったな。いいよ、」

軽い調子で笑う燈弥に彩花は少しだけ戸惑った。


また、心が揺れた気がした。


放課後、彩花はスケッチブックを開き、昨日の傘のシーンを描いた。


静かな昇降口、雨、差し出された傘。そして彼。


帰り道。スケッチブックを抱えながら歩いていると、階段でつまずき、スケッチブックが床に落ちた。


ページがめくられ、傘の絵が風に揺れる。


「あんた、ドジだね」


頭上から声が聞こえた。上を向けばそこには燈弥が立っていた。


彼は絵を拾った。


「…え、すご。絵、上手くね?」




燈弥とは、この出来事から、距離が少し近くなった気がした。


昨日の出来事。数分の出来事が起こった。たったそれだけなのに、彼は自分に声をかけてくれていた。


そのことに、嬉しく感じる自分がいた。

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