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3 - プリズム・ステップ🩷🤍

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2026年02月11日

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パリのショーから帰国したばかりのラウールは、どこか大人びた空気を纏っていた。 それでも、楽屋のソファでアニメ雑誌を広げている佐久間の姿を見つけると、その表情は一瞬で「末っ子」の顔に戻る。

「佐久間くん、ただいま」 「あ! ラウール! おかえりー! お疲れ様、マジでかっこよかったぞ!」


佐久間が立ち上がり、ラウールの高い目線に合わせてぴょんと跳ねる。その勢いのまま抱きつこうとした佐久間の腰を、ラウールは長い腕でひょいと受け止めた。


「ちょっと、佐久間くん。危ないよ」 「へへ、だってラウールがデカすぎて、こうしないと顔が見えないんだもん」


腕の中にすっぽりと収まった佐久間は、屈託のない笑顔を見せる。 けれど、ラウールの方は少しだけ複雑な表情を浮かべた。最近、佐久間を見ていると、胸の奥が熱くなるような、不思議な感覚に襲われることがあるからだ。


「……ねぇ、佐久間くん。パリでね、綺麗なピアス見つけたんだ」 「え、マジ!? ラウールが選んでくれたの?」


ラウールはポケットから小さな小箱を取り出す。中には、光の角度で色を変える、プリズムのような輝きのピアスが一つ。


「これ、佐久間くんに似合うと思って。……つけてあげてもいい?」 「えー! 嬉しい! ぜひお願いしやす!」


佐久間が大人しく耳を差し出す。ラウールは少し緊張した面持ちで、その白い耳たぶに触れた。 至近距離で見つめる佐久間のまつ毛。いつも騒がしい彼が、今は静かに自分の指先を待っている。


「……できた」 「お、どう? 似合ってる?」


鏡を見ようとする佐久間を、ラウールは思わず後ろから抱きしめて止めた。


「……ちょっと、ラウール? 重いよ?」 「……佐久間くんはさ、いつも僕を子供扱いするけど。僕、もう佐久間くんよりずっと大きいんだよ」


耳元で囁かれた、低くて少し掠れた声。佐久間の体が、ビクッと震える。 いつもは「さっくん」として賑やかに場を盛り上げる彼も、ラウールの隠しきれない熱情に触れて、頬を朱に染めた。


「……知ってるよ。ラウールが、どんどん遠くのかっこいい世界に行っちゃうの、ちゃんと見てるもん」 「遠くなんて行かないよ。……僕を繋ぎ止めておけるのは、世界中で佐久間くんだけでしょ」


ラウールは、佐久間の首筋にそっと顔を埋めた。 アニメのヒーローみたいに無敵な佐久間が、自分の腕の中で少しだけ戸惑っている。その事実に、ラウールは小さな独占欲を満たしていく。


「今度、このピアスつけて……デートしてよ」 「……ラウールにそう言われたら、断れないじゃん」


二人の影が、西日の差し込む楽屋の床に長く、重なり合うように伸びていた。

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