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#渡辺翔太
クリオネ?
636
zetsu.
3,009
#一般人
クリオネ?
109
渡辺との衝撃的な再会から、数日が経った。
ある日の放課後。
宮舘は、今や二人のルーティンとなった場所にいた。
学園の裏庭の更にその奥、人目につかない場所にひっそりと存在する池。
夕暮れの光が水面に淡く反射し、風が吹くたびに水面が小さく揺れている。
🖤「……よし」
その池のほとりで、目黒は地面にしゃがみ込み、夢中になってザリガニ釣りをしていた。
餌をつけた糸を水面へ垂らし、じっと待つ。
時折、竿を持つ手を微かに動かしながら、真剣な表情で水の中を覗き込んでいる。
そんな目黒の広い背中を、宮舘は横目で見つめていた。
❤️「……はぁ」
もう何度目なのか分からないほど重たい溜息が口から零れ落ちた。
❤️「…………はぁ」
目を閉じると、渡辺の顔が浮かんだ。
冷たい目に、どこか嘲るような笑み。
💙『……どうせ、フラれるぜ』
渡辺の言葉が、呪いのように頭の中で繰り返される。
💙『……どうせ、フラれるぜ』
❤️「(……嫌…!)」
💙『……どうせ、フラれるぜ』
❤️「(……やめて…!)」
何度振り払おうとしても、消えてくれない。
その声は、頭の中に直接響いているかのようで耳を塞いでも無駄だった。
❤️「(いつ……?)」
目黒の口からその言葉が出るのだろう。
🖤『もう飽きた』
🖤『別れよう』
そう言われる日が、いつか来てしまうと思っうと、怖くて仕方がなかった。
今は優しくしてくれる。
弁当を楽しみにしてくれる。
一緒に出掛けようと言ってくれる。
さりげなく、手を繋いでくれた。
赤いブレスレットを買ってくれた。
――それなのに。
❤️「(……いつか、終わるのかな)」
胸の奥に、小さな不安が生まれる。
その不安は日を追うごとに膨らみ、今では宮舘の心をすっかり覆い尽くしていた。
現在の目黒の好感度は【36%】
あの街中でのデート以来、数字は緩やかではあるものの、確実に上がっている。
目黒との距離は間違いなく縮まっているのだから、本来なら喜ぶべきことだ。
それでも宮舘の心は沈んでいく一方だった。
❤️「(……怖い)」
数字が上がり、幸せを感じるほど、それを失うことが怖くなった。
🖤「……舘さん?」
❤️「……え?」
不意に声を掛けられ、宮舘は顔を上げた。
いつの間にか目黒が立ち上がっており、心配そうに宮舘の顔を覗き込んでいた。
🖤「どうしたの?」
❤️「…………」
🖤「なんか、今日……ずっと暗い顔してる」
目黒は宮舘の些細な変化にも気付いていた。
❤️「……何でもない」
宮舘は慌てて笑おうとした。
❤️「ちょっと疲れてるだけだから」
けれど、口元を持ち上げても頬が引きつるだけで、うまく笑えなかった。
目黒から視線を逸らし、俯く。
🖤「…………」
そんな宮舘を、目黒は暫く黙って見つめていた。
やがて、すっと腕が伸びて目黒の手が、宮舘の細い腰へ回った。
❤️「え……?」
次の瞬間、ぐい、と力強く引き寄せられる。
❤️「……わっ」
身体が目黒の胸へ近付き、逃げる間もなく目の前に、端正な顔が迫った。
❤️「目黒……?」
目黒は何も言わず、ただ宮舘の瞳をじっと見つめている。
そして、ゆっくりと目を伏せた。
🖤「……」
唇が近付いてくる。
あの日、初めてのデートで不意打ちのようにされたキス。
あの時は驚いたけど、嫌ではなかった。
むしろ、大好きな目黒からのキスが嬉しくて受け入れたのだ。
今回だって、このまま目を閉じてしまえばいい。
大好きな人からのキスを、素直に受け入れればいい、と思った。
――しかし、
💙『……どうせ、フラれるぜ』
❤️「……っ」
頭の中に、あの声が響いた。
💙『……どうせ、フラれるぜ』
❤️「(……嫌だ)」
怖かった。
このキスも、今の優しさも全部、目黒の気まぐれだったら?
ただ、自分との恋人のフリを楽しんでいるだけだったら?
本当に、飽きられてしまったら?
❤️「(……このキスも、ただの気まぐれ…?)」
胸が締め付けられる。
❤️「(俺も、目黒に……飽きられて、捨てられるの……?)」
嫌だ、考えたくない。
けれど、恐怖に支配された身体は、宮舘の意思とは関係なく動いていた。
❤️「――っ!」
両手を目黒の胸元に当てて――ドンッ、と強く押し返した。
🖤「……っ!」
突然、突き放された目黒は驚きで目を見開き、はっきりと動揺した表情を浮かべた。
🖤「…………」
目黒は何も言わず、宮舘を見つめる。
お弁当のリクエストを、受け入れてくれた。
自分が笑えば、笑い返してくれた。
手を繋げば、そのまま握り返してくれた。
そんな宮舘から、初めての拒絶。
目黒の瞳が僅かに揺れる。
そして、システム音声が冷たく頭の中へ響き渡った。
【目黒蓮の好感度が1%減少しました】
【現在の好感度は35%となりました】
❤️「(……あ)」
初めて、好感度が下がった。
❤️「(下がった……)」
たった【1%】だけなのに、宮舘には致命的な数字に思えた。
❤️「(どうしよう……!)」
今まで上がることしかなかった数字が初めて減った。
❤️「(このまま、ここにいたら……)」
目黒は自分を嫌いになって、今すぐ別れを告げられるかもしれない。
❤️「(…………目黒)」
恐る恐る目黒を見ると、傷付いたような目をしていた。
そして、その奥には、どこか冷めていくような瞳の色も見える。
🖤「……」
その視線に耐えられなかった。
❤️「……ごめ……」
言葉が出てこない。
何を言えばいいのか分からない。
怖い。
何もかもが怖い。
❤️「……っ」
宮舘はその場から逃げ出した。
🖤「舘さん……!」
目黒の声が背後から聞こえてきたが、振り返ることはできなかった。
夕暮れの池を背にして、ただ夢中で走った。
足がもつれても、息が苦しくなっても、気にしていられなかった。
❤️「……っ、う……」
涙が溢れて視界が滲んで見える。
何度も何度も袖で涙を拭いながら前が見えなくても、ひたすらに宮舘は走り続けた。
❤️「……嫌だ」
胸が痛い。
❤️「……嫌だよ」
目黒を失いたくない。
それなのに、自分から拒絶してしまった。
――その結果、好感度は下がった。
❤️「……っ、うぅ……」
宮舘は泣きながら走り続けるしかなかった。
.
.
.
夕暮れに染まる池のほとり。
🖤「…………」
その場には、一人残された目黒だけが静かに立ち尽くしていた。
コメント
5件
く、苦しい…😭 💙の言葉が突き刺さる程辛いんだね…。 🖤のこと、本当に好きになったんだね…。 ❤️には幸せになってもらいたいんだよ。 🖤くん、どうか❤を温かく包んであげて…😭😭😭
あーあ… 💙やってくれたな!
うわ、第8話…読んでて胸がギュッてなったわ。 宮舘の不安がどんどん大きくなって、せっかく目黒が近づいてくれてるのに拒絶しちゃうとこ、切なすぎる…。渡辺の言葉が呪いみたいに頭の中にこびりついてる感じ、すごく伝わってきた。 「このキスも気まぐれだったら?」って怖がる気持ち、わかるよな…好きだからこそ、失うのが怖くなるんだよな。 初めて好感度が下がった時の宮舘のパニック、そして傷ついた目黒の表情…続きが気になりすぎる😭 zetsu.さんの心情描写、毎回刺さるわ…。