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―ここにくるまでどれだけの人を殺してしまっただろうか。
啓次郎の頭にはそのそのことがぐるぐるとしつこく浮かび上がってくる。
―うるさい!
そのたび啓次郎は意味もなく銃を発砲してしまう。そのせいで今日来たばかりというのにもかかわらず多くの人から恐れられている。もう闇へ染まってしまったのかもしれない。
「永島啓次郎!私を見よ!」
突然、啓次郎の耳にはその言葉が聞こえてきた。周りを見渡す。しかし、その言葉を放った人物は近くにはないようだった。
椿から聞いた『天空の城』とは一体何なのか。啓次郎はそれを探すためそれがあるといわれている南西区へやってきた。
ふいに下を向く。だがなにもない。それはそうだろう天空と言っているのに下にあるわけがない。そのまま啓次郎は上を向く。すると、そこにあったのは大きな雲だった。この空間は宇宙に似た空間。それに対し、雲とは?不思議に思い啓次郎は上へと登ることにした。しかし登る方法がない。街人の協力を得たいものの啓次郎は現在大勢の人から恐れられている。当然協力できそうにはない。ではどうすれば……。
啓次郎は頭をフル回転させる。女王…一体……。
すると一つ。案が浮かんできた。天空とはここのことではないのか。地球から見てここは天空と言っていい。だからだ。だとしたらこの世界で探せばいい。そして南西区。ここにきて、啓次郎は誰かの声を聞いた。そしてこの世界を歩いていてわかったがそれぞれの区ごとにセンターといって町役場のようなものがある。啓次郎が思ったのはそのセンターの屋上。
―俺はもう人を殺したくない……この体が…この体が…忌々しい。
コツコツときれいな音を奏でる赤色の床を蹴り、駆けてゆく。女王を殺(や)ってしまえばいい。そうすれば全てが手に入る。啓次郎は心のなかで唱える。この銃で…。
「ピコーンピコーン」自動ドアの開閉音が鳴る。そこにいたのは赤色の服をまとった永島啓次郎だった。
「ご要件はなんでしょうか?」
明るい受付の女性がそう啓次郎に話す。しかし、啓次郎はそれを無視し、緑色に灯る非常用階段とかかれたところへ向かう。そして真っ白な階段を1段飛ばしで駆けてゆく。
段々と息が上がってくる。しかしそんなことは気にせず屋上へと進む。
あと少し!というところでこんなものがあった。黄色いチェーンが赤色のカラーコンに繋がれ「関係者以外立ち入り禁止」とかかれていた。これから先が屋上であることを啓次郎はなぜかわかっていた。デジャヴというのだろうか。見覚えがあったのだ。そこから先にある階段の雰囲気にも…なぜだろうか……。
先程よりも啓次郎の足取りが重くなっている。ここまで1段飛ばしで上がってきて疲れたのもあるだろう。しかし、他に……。
「屋上」そうかかれた白く、少し傷のついた扉を開ける。するとそこから眩しい光が差し込んできた。眩しすぎて目が開けられないほどだった。扉を押し外へ出る。
そして、目の前を見る。そこにいたのは……。