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私
の名前は千歳。職業死神。年齢は多分500年くらい。正直自分でも分からないから適当だけどね。今日は久しぶりにお休みを取って街に出て来ていた。たまには気分転換しないと頭がおかしくなりそうだったしね。仕事仲間とは定期的に会っているけれど、やっぱり街の活気っていうか、そういうものにふれると違うよね。あとはまぁちょっと買いたいものもできたわけだし
『ふーむ』
この辺りだともうだいぶ歩き回った気がするんだけどなぁ……
まあ仕方ないか
「すみませ~ん。これいくらですか?」
店員のお姉さんを呼び止め手に持っていた物を指さして質問する。
「えっとですね……こちらは……」
丁寧に説明してくれるお姉さんの言葉を聴きつつ商品を見ていく
「なるほどぉ。じゃああっちにあるものは……」
その後もいくつかのお店をまわり目当ての物を探すがどれもこれも似たようなものばかりだ。
これはあれかな?私が知らないだけで実は凄いレアなアイテムなのかな そうなってくるとお値段の方にも不安が出てくるぞ 一応それなりに蓄えはあるとはいえ買えるものとそうでないものの区別がつく程度の常識はあるつもりです そんなことを思いながらしばらく探し回るうちにすっかり陽が落ちてしまっていた。流石にこれ以上歩き回っても見つからないだろうと諦めた時だった。目の前に突然扉が現れたのだ これが噂の家に繋がるっていうあの扉かぁ……なんか感動しちゃうね!とりあえずお約束通りコンコンしてみよう トントンッ――
すると音もなくスーっと開いた おおー……この先に入るんだよね……緊張してきたかも。でもせっかく来たんだから入ろう。いざ!! ——-
入った途端目に飛び込んできたのは綺麗な装飾を施された玄関ホールと大きな階段。それに吹き抜けになっていて天井には天使や妖精などが描かれていた これ絶対高いよ。だってほら見上げてたら首痛くなってきたもん
「すみませ~ん誰かいますか?」…….誰もいないのかな。だとしたら無駄足だわ。でもまだ家の外観を見ただけなのになんとなくここに住みたいなって思ってしまって、それで今日来たんだけど。うーんどうしよう…….。やっぱりもう諦めたほうがいいかしら。いやダメね、こんなことで挫けてちゃ!それにせっかく遠くからわざわざ来てくれたんだもの。とりあえず声だけでも出してみよう。そうして意を決して扉に手をかけた瞬間─── 突然ガチャリという音が聞こえてきたのだ えっ誰!?さっきまで確かに誰もいなかったはず……。あぁもしかしたら物陰にいたのかしら。とにかく何か返事をしておかないと
「は、はい!」
「よかった。いたみたいですね。あの初めましてこんにちは。私、今日隣に引っ越してきました花咲 椿といいます。お見知りおきください」
彼女は丁寧に自己紹介をする。それを見て自分も慌てて挨拶をした。
「あっこれはご丁寧にありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。私は白雪 巴と言います。もしよろしかったら一緒にお茶でもどうかと思いまして……」……ちょっといきなりすぎる誘いだっただろうか。まあでも一応言っておいたほうがいいよね
「あら、いいんですか?ぜひお言葉に甘えさせてください。ありがとうございます!」
私が手を合わせるとその女性は嬉しそうに笑みを浮かべたあとこちらへと向き直り小さく首を傾げた。
「それでその依頼主さんとは一体誰なんですか?」
目の前の女性――黒埼ちとせはどこか妖艶さすら漂う笑みを浮かべたままゆっくりと答えを口にする。それはまるで悪魔のささやきのように。しかし不思議と恐怖心を抱くことはなく彼女の発する声色はひどく落ち着いていて、つい耳を傾けてしまう。そんな不思議な魅力のある人だ。
「うん。まあちょっと変わってるというか普通とは違う子かな」
「へぇ~……どんな方なんでしょうね」
「見た目とかそういう詳しいところまでは知らないけどその子のことを好きな男の子がいるらしいんだよね」
それを聞いた瞬間、脳裏に浮かび上がる人物がいた。
(いや、まさかね……)
「その人の名前はわかりますか?」
「うーん……名前も教えてくれなかったんだよねぇ。とりあえず僕から伝えられる情報はこのくらいだけど大丈夫だった?」
「はい!すごく助かりました。わざわざありがとうございました」
「全然いいよ。困っている人を助けるために僕らヴァンパイアがいるわけだし。それにこんなに可愛い子の頼みならなんでも聞いてあげたくなっちゃう」
目の前にいる男はそう言うと優しく微笑みかけてきた。この顔だ……私が見たいと思った笑顔はこの表情なのだ……。