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莉瑠は、薬とカウンセリングを繰り返した結果、
幻聴が聞こえない時間が多くなっていることに気
づいた。しかし、それは、常に音声言語に頼り、
話を聞いてくれる誰かが存在しなければ莉瑠は生
きられないということを意味していた。莉瑠の両
親は、そういう人達ではなかった。常に考え、知
性で問題を起こさず真面目に暮らすことによって
のみ、莉瑠に穏やかな幸せを与えてくれた。音声
言語による発散が許されなかったために、子供の
頃莉瑠は、言葉を閉ざすしかなかったのだ。
今日も莉瑠は美咲にいろいろな話をする。「子供
の頃遊園地に行ったり、動物園に行ったり心で楽
しむことができたから、わたしは幸せだったんで
す」莉瑠は子供の頃の思い出を楽しそうに美咲に
話した。「そうしなければ、わたしは言葉で両親
とぶつかってしまう、両親のように、わたしは頭
が良くないから抑えられません、子供の頃は行動
で黙るしかなかったんです」莉瑠はそうすること
でしか遊ぶことができなかったのだ。本当に知性
だけで頭の中だけの言葉に追いつめられ、子供の
頃は行動で逃げてしまった。
精神力から逃げれば逃げるほど知性は病んでゆ
き、成長するにつれて、病んだ精神から逃れられ
なくなってしまった。「莉瑠さん、つらかったわ
ね、ここではなんでもわたしには話してくれてい
いのよ」美咲は、本当に莉瑠の話を聞いてくれ
る。幻聴とだけの会話は莉瑠の感情がエスカレー
トしてしまい、危険なので、精神安定剤で鎮静化
させなければならないが。
莉瑠は、今までそんな人間には出会えなかったの
で、幻聴と会話をするしかなかったのだ。莉瑠が
これからどうなるのかわからないが、感情の表現
を全く許さない知性の中で病んでしまった莉瑠
は、ここでようやく救われたのだろう。
なぜ、莉瑠は自分で考え、判断する強さがないの
かわからない。これからも美咲とのカウンセリン
グと薬で、生きていくしかないのだ。