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「ミカエル!何か策はないのか!」タクトが叫ぶ。
ミカエルは高圧的な態度のまま、鼻を鳴らした。「お前が影をもっと斬れ!俺の策が光るのは、時間を稼いでからだ!」
「はあ?何様だよ!」タクトは毒づきながらも影を斬り伏せる手を休めない。
一方、マデスは静かに指を鳴らした。「ええか、タクト。この状況をひっくり返すのはアンタやで。」
「何言ってんだよ!お前、傷だらけのくせに――」
「いや、ちゃうねん。」マデスは口元を歪めて笑った。「ワイが持っとる術式、あんまり使いたくなかったけどな……。アンタに最後の賭けや。」
マデスが唱えた術式は、空間を切り裂き、黒い霧を無効化するものだった。辺りを覆っていた闇が徐々に薄れ、タクトの視界が開けていく。
「おおきに!」タクトが叫ぶ。
霧が消えたことで、ついにヘルズロアの姿が露わになった。彼の身体は「外凡解剖者」の術式の影響で異形と化し、腕や脚には吸収した者たちの痕跡が刻まれている。
「やめてよぉ!ボクの大事な術式を台無しにしないでよぉ!」ヘルズロアは叫びながら、タクトに向けて闇の刃を飛ばす。
「黙れ!」タクトはその刃を弾き返し、一気に間合いを詰める。「お前のせいで、こっちは人間界の危機なんだ!」
タクトは力強く剣を振り下ろし、ヘルズロアの腕を斬り落とした。その瞬間、ヘルズロアは悲鳴を上げ、膝をついた。
「……終わりだ。」タクトは剣を構え直し、ヘルズロアに冷たい視線を向けた。
「ま、待って!ボクを殺したら、この術式に囚われた魂が――」
「そんなの関係ない!」タクトは一刀でヘルズロアの首をはねた。その瞬間、術式が崩壊し、空中に浮かんでいた影たちが光となって消えていく。
辺りに静寂が訪れる中、タクトは大きく息をつき、剣を鞘に収めた。「これで……少しは前進したか。」
ミカエルが近づき、腕を組みながら言った。「まあ、あんなキモオタに時間を取られるのも無駄だったが、いい仕事をしたな。」
「偉そうに言うなよ、ナルシスト野郎。」タクトは肩をすくめた。
マデスも疲れた様子で微笑んだ。「ほな、次は根源の悪魔やな。時間はまだ残っとる……今のうちに準備しとこか。」