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京都でも有名な某総合病院の、ICUのVIP専用待合室は、大理石のコーヒーテーブルと、フカフカのイタリア製の皮張りのソファー、そして一人用の腰かけ椅子が優雅にセットされていた
この病院は多額に寄付をした人に、VIP専用の対応をしていて、ここは以前から寄付をしている櫻崎家のかかりつけ病院だった
拓哉や有名な櫻崎家の者が、この病院を利用するときは事を、大げさにしたくない時などにVIP専用の待合室を使えることになっていた
ドラマでもよくあるどこかの病棟の奥にあって、飲み物などを提供してくれるサービスだ、一般の外来患者は決して入れない世界だ
そして今その部屋には拓哉が血の気のない顔で、待合室を檻の中のクマのようにウロウロし、さらにそれをソファーに座ってしかめっ面をして見ている弘美がいた
二人は盛装だった、伴侶同伴のプレミアム記者会見にゲスト出演していた二人は、イベントの途中で飛び出してきたのだ
弘美は胸の谷間も艶やかなフォーマルドレス姿で、ダイヤのイヤリングを着けていたが、あまりにも場違いな空気に気づいた弘美は申し訳なさそうに外した
しかしねじりあげた髪をサイドでシニヨンにまとめ、そこにもダイヤがちりばめられている、姿はやはりゴージャスで
拓哉はタキシードでそれもテイルのある、燕尾服で黒い靴は輝くほど光沢を放っている
今は彼は疲れ果て、ネクタイを外し鎖骨をあらわにしている
鈴子を助けてくれた一般人の人から連絡を受けた、二人はあわててプレミアム記者会見から、急いで車を飛ばしてきた
二人が病院に到着してから病院の空気が変わった、このカップルの登場でナースステーションが、一気に色めきだった
ICUに急ぎ足で向かう二人を迎え入れ、横について歩いて早口で説明した医師はこの病院の理事長の息子だった
手術室のランプが消え鈴子はICUに移され、看護師に病院着に着替えさせられていた、今は麻酔が効いて熟睡している
理事長の息子がカルテを持って待合室にやってきた、二人に経過を説明する
「背骨の圧迫骨折よる外科手術は成功しました、3センチのボルトを仕込むことによって、自然治癒よりも早く骨がくっつきます
そして顎と頭に受けた強い打撃によって、脳が強く揺らされた事が原因で重度の、脳震盪の疑いがあります
反対側の目の近くにも打撃を受けています、視神経が傷つけられている恐れがありますので、後に眼圧検査も必要でしょう、今は内出血を広げない投薬を処置しています」
拓哉と弘美が大きく息を飲んだ
「そんな・・・・」
「くそっ!」
拓哉が壁を蹴った