テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「どうしよう、おかあちゃん、あたしらこのまま飢え死にしちゃうの⁉」
涙(目薬)を流しながらルイスに訴えるのは、アリス・メメントモリ。
「ごめんね…。せめて、どこかにいかにも金持ちそうなやつが通れば…」
と、雰囲気だけ悲しくして物騒なことを口にするのはルイス・メメントモリ。
「待て待て待て待て。なに急にどっかのドラマみたいなことしてんの?」
その辺で拾った石ころを二人に投げる、キャロル・メメントモリ。
当たると危ないのでよい子は真似しないようにしましょう。
「なんとなく?」
「右に同じく」
そうだった、こいつらこういう奴だった…と自分も同じはずなのに一人だけまとも面しているキャロル。
「ていうかルイスからだとアリスは左だろ?」
「うるせぇぶっ56すぞ」
指で拳銃の形をしてキャロルの頭に突きつけるルイス。
地味に痛い。
「こっわ」
キャロルはアリスを盾にするように隠れた。
「あ、そうだ。いいニュースと悪いニュースどっちから聞きたい?」
急に何かを思い出したかのように二人に話しかけるアリス。
「悪いニュースから」
「…まずは希望から聞いてみたらどうだい?」
ため息をついてやれやれと首を横に振る。
「じゃあ聞くなよ」
ルイスはアリスに冷ややかな視線を送る。
「じゃあいいニュースから」
「いいニュース、それはここがアメリカのロスサントスだと判明したこと!」
アリスは二本立てていた指を一つ折る。
「現在地が判明したのは大きいな」
うんうん頷くルイス。
「じゃあ悪いニュースは?」
はは・・・とか乾いた笑いをしてアリスは口を開いた。
「現在地であるロスサントスがトプクラスに治安が悪いことですね。ていうかなんしてん」
アリスは最後の指を折って組み体操の扇をしている二人に伝える。
扇は普通3人でやるものだが。
「さぁ?」
「知らずにやってたん?」
アリスは呆れた視線を二人に向ける。
「うるせぇ‼‼‼‼行こう‼‼‼‼」
ワンピースの名シーンを汚すルイス。
血筋がうかがえる。
と、トリプルバカが騒いでいたその時。
「おや?。下界の下々の民が騒いでいますね?」
こちらを明らかに小ばかにしている小さな少女。
多分三歳くらいだろうか。
三歳で一人で歩いているのは魔法の言葉、「ロスサントスなので」で説明しないものとする。
「どうする天竜人みたいなやつが出たよ」
「天竜人なんて人聞きが悪いですね!。高貴なマイちゃんをそんな下劣で下品であほっぽそうな愚か者と一緒にしないでください!」
顔を真っ赤にして頬を膨らませて声を荒げ、普通の三歳児が使わない言葉を使う、暫定マイ。
きっと天竜人がいたら発砲していただろうが、ロスサントスではそんなこと日常茶飯事なのですぐにアメリカの最先端医学で復活するだろう。
「奥さん見てくださいよ、自分のことちゃん付けしてるが気がいるわ」
「あらヤダ、それが許されるのは赤ちゃんまでよねぇ?」
井戸端会議みたいな即興劇を繰り広げるアリスとキャロルに、マイも呆れの視線を送る。
「こいつらは頭がイカれてるんですか?」
「ああ。水色の方は特に。男のくせにな」
「それに比べて私のまともさよ…」と明らかに自分の方がやばいのに自分のまともさを信じて疑わないルイス。
「ざっけんな‼てめーの方がイカれてるだろが!こんちきしょう!。てか多様性だろ多様性!」
もちろんキャロルは今にもルイスにつかみかかりそうな勢いだ。
「で、その天竜人より高貴な子娘さんは誰なので?」
乱闘を開始した馬鹿二人を華麗にスルーしたアリスは、暫定マイに皮肉と煽りをこめた質問をする。
「マイちゃんですか?。この優雅で美しく、高貴で気品と美貌に満ち溢れたマイちゃんのことですか?」
「うるせぇとっとと話せ」
暫定マイに平手打ちをお見舞いするアリス。
「あいだっ!!。…こほん、この偉大なアメリカ合衆国に君臨するトップ中のトップである大統領の娘!。マイ・フォン・スカーレット!。実質アメリカ合衆国のNo.2です!」
誇らしげに胸をはるマイ。まぁマイの父親(スカーレット大統領)はマイの言うことを聞くのでNo.1と言っても問題ないが。
「で、どうして下々の民がそんな年でこのサウス分署付近に?」
カットしていたが、トリプルバカはかなり歩いて空港から移動していたのだ。
「カクカクシカジカマルマルウマウマアヤサマテンサイ」
魔法の言葉で現状を説明するアリス。
「えパターン変えた?」
キャロルは困惑した。
「なるほど。…要するにお金もないということですよね?」
「そうだぜ」
いつのまにか乱闘をやめてマイの質問に答えるルイス。
「なら、サウス分署で雇ってもらいましょうか?」
「え五歳児を?」
こいつは何を言っているんだという目でアリスはマイを見た。
「ロスサントスでは警察が万年不足しているんです。
市民の血税を食っていける素晴らしい役職なのになぜでしょう」
「それは不思議だ」
うんうん頷きながらマイの言葉にキャロルは賛同する。
「マイが命令…ゲフンゲフン紹介書をパパッと書くんで、それでいいでしょう」
「三歳児の?」
マイ「大丈夫です受け入れなければそれすなわちアメリカを敵に回すのと同じこと。
世界と戦争したいおバカさんはかかってらっしゃい!」
何処からともなくセンスを取り出す手高笑いをするマイ。
それが三歳児なのがなかなかにシュールだ。
ルイス「よーし!そうなったらすぐにイクゾー!」
コメント
1件
「ロスサントスでは常識にとらわれてはいけない」って、もうタイトルからして覚悟はしてたんですけど、冒頭から石投げたり即興劇やったり、面白すぎますね(笑)。特に「ロスサントスなので」で全てを説明する魔法の一言が世界観をがっちり固めてて、設定マニアとしては痺れました。三歳児のマイが「高貴なマイちゃん」と自称しながら大統領の娘ってのも、シュールで好きです。キャロルだけまともぶってるのが一番やばい感じも、三人のバランスが絶妙。続き、気になります。