ー注意事項ー
・この作品はwrwrd様の二次創作です。
・本人様とは関係ありません。
・検索避けに協力してください。
・軍パロ、モブを含みます。
・腐要素はありません。
・オチなし
◇◇◇
古い国の首都郊外、丘の上に建つ白亜の館。
高い天井のホールに、絹を擦るようなざわめきが満ちていた。
他国の将校たちが各々のグラスを手に、優雅に笑い合う。
壁には深紅の旗と銀の燭台、シャンデリアの光がきらきらと滴り落ちるように反射していた。
「…ふー、眩しいな」
osが低く呟いた。
長いブラウンの髪を揺らしながら、ワイングラスを傾けるその姿は、どこか気だるいそうである。
その隣には、鋭い目つきで周りを見渡すzmが立っていた。
「zmも少しは楽しんだらいいめう」
「楽しむ余裕なんてあらへんよ。俺はアイツ見てなあかん」
壁際に立つzmの眼がギラと光る。
俺は見てくれへんの?というosの声は無視された。
黒い軍服に映える勲章が光を反射し、周囲の客人たちを威圧している。
そして、その視線の先にciがいた。
明るい笑顔と丁寧な仕草。
他国の代表に向けて穏やかに挨拶を繰り返すその様子は、誰が見ても外交官としての理想そのものだった。
「ほんまciくんは器用やなあ」
「アイツが無理してないとええけど」
「…ま、してるだろうね」
「……せやな」
zmの声に、osはちらりと視線を向ける。
「ciくんは飲めないんやっけ。確か」
「ああ。せやから気を張るんやろ」
二人の間に沈黙が落ちる。
音楽が流れ、周囲では笑い声が高まる。
ciはそれを背に、緊張を抱えながらも笑顔を崩さなかった。
固まる背中にzmは近寄る。
ポン、と背中を叩けば、ciはすぐさま振り返った。
「ci、くれぐれも余計なことは言うなよ」
zmが低く言った。
それはw国を、ciを守るためである。
その隣で、osは微笑を作る。
「zm。ciくんはもう、立派な外交員の一人や。ciくん、君らしくいけばええよ」
その言葉に、ciは小さく笑った。
けれど、どこか引きつっていた。
軍服の襟がやけに窮屈で、背中の汗が落ち着かない。
やらねばならない。
やるしかない。
間違えられない。
そんな感情が喉の奥に重く沈んでいた。
◇◇◇
乾杯の合図が響き、ホールの空気が一気に弾けた。
各国の将校たちは笑顔を交わし、手に酒を掲げる。
ciもグラスを受け取った。
金色に透ける液体が、少し怖かった。
酒の匂いはいつも、あまり好きじゃない。
喉の奥が焼けて、心臓が早くなるのが苦手だった。
「やぁ、君が噂の若き外交士官かね」
振り返れば、恰幅のいい男がワイングラスを掲げていた。
他国の高官、いわばこの宴の主催者の一人である。
「若いのに立派な勲章だ」
「は、はい!お招きいただき光栄です」
「堅い!堅いなあ!」
豪快に笑い、男はciの肩を叩いた。
「君の国には友情の杯という文化はないのかね?ほら飲もう。このウイスキーはウチの最高級品なのだよ」
「あっ、は、はい!!」
ギラギラ光る琥珀色の液体。
ciは一瞬ためらったが、背後で各国の代表たちが見ている。
彼らの笑顔の裏に、試すような視線。
断ったら、角が立つことは目に見えていた。
胸の奥がざらりとした。
けれど、外交の場では笑顔が鎧だ。
ciは唇を引き上げ、グラスに口を近づける。
「…いただきます」
琥珀色の液体が喉を焼いた。
熱い。強い。
舌が痺れるようで、胸が焦げそうなほど。
だが、男は笑って新しいグラスを渡してくる。
「うちの国では、友情は杯の数で測るんだ。君と我々の絆を信じたいのだよ」
osの顔が浮かんだ。
交流を壊すな、そう言われた気がして、ciは頷いた。
一気に、二杯目、三杯目。
「キミはどこの国の子だ!!いい飲みっぷりだ!」
「すばらしい!若いのに立派だ!!!!」
「是非ともウチと仲良くしないか!!!」
歓声が上がる。
ciは口角を上げ、震える喉を無理に押さえつけた。
まずい。頭が熱い。
だが、注がれる杯は止まらない。
「ほら、次も飲むのだ!!」
「もう一杯!ウチとも友情の証を!!!」
周囲の手が、次々と金杯を差し出す。
ciは困ったように笑いながら、また一口、また一口。
いつのまにか、杯の数がわからなくなっていた。
ふわり、と視界が揺れた。
床の絨毯が波打つ。
頭が重く、呼吸が少しずつ浅くなる。
「大丈夫か?」
男が笑いながら肩を支えた。
そのまま、腰に腕を回され、体を引き寄せられる。
甘い香水とアルコールの匂いが、息を塞ぐ。
「す、すみませ…」
舌がもつれ、声が出なかった。
腕が力を失って、グラスが落ちる音。
周囲の笑い声の中に溶けた。
男は笑いながら、崩れ落ちるciの体を抱きかかえた。
「飲みすぎたかね。可愛い子だまったく」
周りの男達も、ゾロゾロと近寄りciの顔を覗き込む。
平均年齢の高いこの場に、ciのような若い外交官がいるのは珍しいことであった。
◇◇◇
「はい。次回も宜しくお願い致します。」
「嗚呼。osくんは話が通じる。良い外交官である」
「そう言ってもらえて光栄でございます。」
osはw国とまだ交流の浅い国と話していた。
グラスを揺らしながら、話が進む。
そこに、zmがバタバタと慌てたようにやってきた。
「os…ッ、あっ、すみません、話の途中で」
「いいや、大丈夫だよ。キミはzmくんだね?聞いたよ、キミの戦闘の成績。素晴らしいね」
「あ、ありがとうございます…少し席を外してもよろしいですか」
「構わないよ」
zmはosを引っ張って、連れていく。
少し離れたところで、osは首を傾げた。
「なに。どうしたの」
「ciがおらんくなった!!」
「はァ!?!?見てたんじゃないの!!?」
「osがアイツのとこ行くから!!アイツ、まだ交流浅いから危ないと思ってん!!!osは名の知れた外交官やし!!」
「ciくんだって今じゃ有名だよ!若いんだから!!」
「でもアイツのとこに、交流深い国の人がおったから大丈夫やと思ってん!!!」
2人が息を切らしていると、その例の交流深い国の男、aがやってきた。
「osさん、ご無沙汰しております。少しどうですか?」
「あ、すみません。先程ciといらしていたそうで…」
「ciくんですか?はい、先程少しだけ話しましたよ。けど、僕は他国に呼ばれてすぐその場を離れました。」
aは微笑んでそう答えた。
zmはその返答を聞いて、待ちきれず走り出した。
osは大きくため息を着く。
「どうかされました…?」
「こちらの管理不足でございます。気になさらないで」
「…ciさんでしたら、あちらでこの宴の主催者と話されていましたよ。今は…どこにいらしているか分かりませんが。」
aが指を差す方向には、なにやら人集りができていた。
不思議に思い、osはそちらへ向かう。
aも気になったのか着いてきた。
「ci!!!!!!!」
zmの声が、空気を切り裂いた。
一瞬で場のざわめきが止まる。
次いで、osとaが駆け出した。
男の腕の中でぐったりとしているciの姿が見えた。
zmは人集りを押し退けて、ciの元へ駆け寄る。
「放せ」
zmの声は低く、冷たかった。
その目には怒りが燃えていた。
「コイツはウチのやぞ」
「おやおや、酔って倒れただけだ。」
男は苦笑した。
「若いのは飲み方を知らないのだなあ」
「お前が飲ませたのか」
一歩、zmが前に出る。
そのまま胸倉を掴みそうになるが、osが腕を掴んだ。
「zmやめるめう」
「離せos…ciをこんな風に扱われて」
「やめろ」
「……はい」
zmは静かに後ろに下がった。
「すみません、迷惑おかけして。ciくんは休ませますので、ウチが引き取ります」
「いやいやいいんだよ。私が飲ませすぎちゃったし。私が面倒見るよ」
男はciを抱き上げた。
雑な持ち方で、ciのメガネが落ちそうになるのをzmが取る。
「…てください」
「うん?」
zmは食いしばりながら、拳を震わせる横で、osがゆらりと揺れた。
「返せ」
osの深緑が揺れ、そこに赤色が混じったように見えた。
男は肩をすくめる。
「…ど、どうぞ、お連れしてくれたまえ」
軽い口調のまま、ciの体を差し出す。
zmが抱き上げると、ciは小さく呻いた。
その顔は真っ赤で、汗に濡れている。
「…、z…zmさ…ウ"ッ、」
「喋らなくてええ」
zmの声が、震えていた。
怒りと焦りと恐怖が入り混じっていた。
osは手袋をくいと引っ張り、俯いたまま目線を上げた。
「この件は後で必ず話をつけます」
osが震える声で言い、頭を下げた。
「失礼します。ご招待感謝します」
「ま、まあ待つんだ。まだ少ししか話せていないだろう?どうだほら…ウチの個室を貸そう」
「こんなところにこの子は置けない」
「…こ、こんなところとはなんだ!!!??」
男は激怒して、机を叩きつけた。
osはそれでも俯いたままである。
「ciくんはウチの子です。繊細な子なんです。慣れた場所の方が良い」
「そうは言わずに…まだ彼と話したい人がこれほどいるというのに」
男は手を広げるが、後ろにいる人達は気まずそうに顔を背けた。
それもそのはず。
osの鋭い目は、彼の怒りを表していたのだ。
「分かったよ。帰ってもいい。だが、今度外交に来てくれ無いだろうか」
「…分かりました。どちらにせよ、後日伺います」
「ああいや、君ではなく。ciくんに」
「ciは暇じゃありませんので」
「そうも言わずに!じゃあ彼本人に聞いてみよう。」
「ciは子供じゃありません。今やるべきことを優先致します」
「やるべき事だろう?私との談話は」
「ciは貴方のものではありません。貴方の都合で好き勝手できるような人間ではありません。」
だが、と男が手を伸ばす。
osの肩に掴もうとした時だった。
白い手袋をした手が、にゅっと伸びて男の手を掴んだ。
「…?」
「os、あとは俺に任せて」
「……ht、なんでここに?」
「えっ…あー……。ウーン。」
「ま、まさか無許可!?勝手に着いてきたん!?」
「…い、いやァ??護衛頼まれてたー…と思うんだよね」
「護衛はzmだけのはずやけど…?」
「「…」」
「とにかくいいからosは車に。外にあるから。」
「zmとciくんは?」
「もう車にいる。先に戻っていいよ。snには連絡した。」
「…分かった。」
osはそう言うと渋々出口に歩き出した。
aが見送ると行って、車のそばまで着いてきてくれた。
2人を見送ったhtは、マスクの位置を直して振りむく。
男は怒ったように顔を赤くしていた。
いや、酒の飲みすぎなのかもしれない。
「彼を休ませてやりたいんです。ご理解下さるでしょう?」
それから、htによる粛清が行われたのだった。
◇◇◇
車の中で、ciはぐったりとzmの腕の中にいた。
osは運転席に座り、何度もため息をついた。
「…あのジジイ完全にわかってやってた」
zmは黙っていた。
ciの額を濡れ布で拭きながら、わずかに顔を歪めた。
「ciは少し飲み方を学んだ方がええな…」
osはそう呟いた。
すると起きていたらしいciの唇がかすかに動いた。
「……ごめん、な、さ」
「謝るな。悪いのはお前ちゃう」
zmが素早く瞼の上に手を乗せた。
osは驚いて振り向く。
「ciくん起きてたの。いいんだよ、だってまだ若いんやもん。これから学んでこ。…knもshoも学ばせなアカンし」
「アイツらは根がアホやから無理や」
「…ふふ、そうかも」
車の外では、夜風が荒れていた。
車を走らせたosは、思い出したようにzmに問う。
「…ねえ。ht呼んだのzm??なんでアイツもうここにいたんやろ」
「呼んでへん。勝手に着いてきたんやろあの人。」
「やっぱり?」
「嗚呼。当たり前のように車止めて立っとった」
「まあ助かったからええけど。ストーカーやからな、一歩間違えたら」
マスク付けて、深く帽子被って。
ああそういえば、刀も持ってる。
捕まらないかと不安を抱く理由は沢山あった。
「os戻ってくるの遅くて、htが気にしてたで。絡まれてんのちゃうかって言ったら、血相変えて勝手に中入ってちゃって」
「なんなんあの人」
「帰りの車呼んどかなね。」
「いらへんやろ」
遠くで犬が吠え、城の灯りが滲んで見える。
その光を見ながら、osはぽつりと言った。
「…でも、ciくん。すごく頑張ったなあ。怖かっただろうに、ちゃんと笑えてた」
zmは視線を落とした。
その胸の中で、ciの肩が小さく震えていた。
震えながら、必死に眠ろうとしている。
それが、かえって痛々しかった。
「俺あのジジイに触られるとか考えただけで吐きそう」
zmはそう慰めるように言ってやる。
優しく頭を撫でると、前髪が退いて潤った目が現れた。
「あんのジジイ…絶対外交いかへん。なんの取引もせえへん」
「それはありなん?」
「…grなら許すやろ」
◇◇◇
基地に戻ると、待っていた皆が一斉に駆け寄ってきた。
「おいci!!!!大丈夫か!!?!?」
「顔真っ赤やないか!!!」
「まさか、撃たれたとか……!?!?!?」
騒然とする中、zmは短く言った。
「…酒や。飲まされた」
その一言で、空気が変わった。
怒り、焦り、そして安堵。
ciはすぐさま医務室に連れていかれることになった。
数時間後、ciはベッドに横たわり、淡い灯りの中で眠っていた。
htの連絡のおかげでsnは診察の用意ができていたため、早く終わった。
osはciの隣で見守るtnの正面に座る。
つまりは、tnとosがciを挟んで、座っている状況である。
「アルコール中毒寸前だって」
osが淡々と言いながら、コーヒーを啜る。
その手は微かに震えていた。
「誰や。酒を飲ませた奴は」
「主催側。止められなかった。外交上、こちらが強く出ると、面倒になる」
tnは黙っていた。
拳を握り、床を睨む。
「…ごめん。守れなくて。」
「osが謝ることないやろ」
「それでも。」
ciはなんでも我慢する。
任務でも、交流でも。
全部笑ってやりきろうとする。
それがどれほど危ういか、誰より知っているはずなのに。
tnは顔を上げようとしないosを見ながら、静かに息をついた。
数学が難しすぎて辛いです
理系いきたいのに着いて行ける気がしないよ
生物学とりたいんですよね
そのためには理系いかなきゃいけないじゃん
さいん こさいん たんじぇんと
↑許すな
コメント
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外交先の相手だとお酒飲まないといけないこととかあるよね😢 お父さんもお仕事で酔っ払ってしんどそうだったときあるからわかりすぎる 数学ほんとにきらい!! お姉ちゃんが理系だったからわかるんだけどほんとにめちゃくちゃ難そうだった 自分から理系目指せるのほんとにすごい!
初コメ失礼します! いつも小説楽しませてもらってます! ココアビーンズ様の作品は私の好みにド直球なので読んでいてとても心を動かされます! これからも応援してます! 私はもうすでに理系の生物をとっているのですが数学ができないのに興味の分野が理系で理系に行ってしまったので数学に時間を取られて大変です... 数学、ちゃんとやれば私みたいにならないと思うので!!頑張ってください!! そちらも応援しております! 特に小説も書いていない一般ピーポーですがもしよければ仲良くしてもらえると嬉しいです...!
やばー!外交にお酒系が関わると相手国との関係とかで飲まなくちゃいけない雰囲気あるから、マジciさん可哀想…今回osさん結構出てきてうれしい! 自分も理科は蕁麻疹できるぐらい苦手なので、行きたいって思えるのめっちゃ尊敬!頑張ってください!