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だんご 様より、兵庫×大阪














意外かもしれないが、大阪は素直になることが少ない。

感情表現豊かであることは確かだ。

しかし本音を上手く包み隠して重要なことは何も伝えない、ということはザラで、本当に満たして欲しい欲求は一切言わない。

そんな付き合いの長い奈良や京都も把握し切ることは叶わない大阪の本音を、兵庫はなんとしてでも知りたかった。

好きな人のしたいことを把握せず、なにが何が恋人だ。

そう思ったところで、伝えてくれないものは伝えてくれない。

ならば何をするべきかと、 兵庫は考えた。

そうだ、薬に頼ろう。

一歩間違えれば凶悪犯スレスレの思想が爆誕した。



まず、兵庫が頼ったのは我らが祖国日本。

技術大国として名を馳せ、様々な分野で名を挙げられる彼ならば、きっと自分のお願いの一つや二つ叶えられるに違いない!

仮にも年下ではあるのだが、兵庫は頼る気満々である。

「日本くん!ちょうどよかったわ、ちょっとお願いあるねんけどさ、相談乗ってくれへん?」

「兵庫さんがお願いだなんて珍しいですね!もちろんですよ!あそこカフェに入りましょうか!」

たまたま発見することができた日本にした相談。

それは…


「大阪の本音を聞き出したいんや!お願いや日本くん、素直になる薬とかあったりせえへんかな!?」

「素直になる薬…ですか。ふふふ…それはまあなんともタイミングの良いことで!」

兵庫が手を合わせて懇願したところ、日本はくすくすと笑って、持っていた鞄から小瓶取り出した。

「こちら、ドイツさんと共同開発した「本音しか話せなくなる薬」…略して「本音薬」と言う代物です!」

「おお…!!なんてええもんが…!!」

「いやー、アニメに影響を受けまして、こういった面白そうな薬品は片っ端から作っている最中なんです。ドイツさんも誰かで実験がしたいと申しておりましたので、こちらは差し上げます」

「ええの?ありがとう日本くん!」

落とさないように両手で受け取り、兵庫はまじまじと見つめる。

小瓶は片手に収まるほど小さいが、日本とドイツのことだから、効果は確かなのだろう。

「その代わり、結果の報告だけお願いしますね」

「そんくらいお安い御用やで!これ、用法とかある?」

「特にそういったものはありませんが…その瓶の中身全てを与えて3日ほどの持続力があると思います。大体一滴で1時間ほどでしょうか?」

この薄い青っぽく見える液体の効果を確かめ、報告するだけで、大阪の本音が聞けるだなんて。

兵庫にとっては夢のような話だ。

「本音しか話せなくなるとは言いましたが、正しくはその本音に沿っての行動しかできなくなります。なので、あまり危険な行動をするようでしたら、ぶん殴ってでも止めてあげてくださいね」

「わかった。ほんまにありがとうな、日本くん! 」

「こちらこそ、実験に付き合ってくださってありがとうございます♪」

こうして、兵庫は本音薬を手に入れることに成功したのであった。













自宅である近畿のシェアハウスへ帰った兵庫は、早速カップケーキを作り始めた。

焼き上げた甘い香りのするお菓子に可愛くトッピングをして、そのうちの一つに本音薬を半分ほど混ぜておく。

残りは「Free」と書いておき、見つけた者に好きに食べてもらおう。

甘いものが好きな大阪なら、きっと食べてくれるはず。

うろ覚えで鼻歌を歌いつつ、ルンルンしながら大阪の部屋へ向かった。


「大阪〜!!入るで〜!!」

「あいよー!」

元気よく返された返事を聞き、兵庫は扉を開ける。

大阪は仕事でもしていたのか、机には少し厚みのある書類束が置いてあった。

「今大丈夫そ?」

「もうそろ休憩しようと思っとったとこや、どしたん?」

「カップケーキ焼いてん!食べる?」

「まじ?食べる食べる!!ちょーだい!」

思った通り食いついた大阪に、兵庫は心の中でニヤリと笑う。

「なんやかわええ飾りつけしとるやん。写真撮っていい?」

「もちろんええよ!」

美味しそう〜と呟きながら、スマホで写真を撮る大阪。

大阪があまりに喜ぶので、薬を盛っていることに罪悪感が湧いてきた。

「じゃあいただきます!」

数枚の写真を撮り終わった後、大阪はパクっとカップケーキを一口。

兵庫と比べて小さな一口にきゅんとした。

「〜〜!!」

キラキラと目を輝かせ、まだ最初の一口を飲み込み切らないうちに次々と口の中へ運ぶ。

自分のカップケーキで頬を膨らませている大阪が可愛すぎて、兵庫はきゅんきゅん高鳴る心臓が抑えきれなかった。

しかしなにやら、大阪の様子がおかしい。

明らかに喉に詰まりかけているのに、そのまま口の中へカップケーキを詰め込もうとしているのだ。

「…大阪?もうほっぺきつない?一回食べんのやめへん?」

「モグモグモグ」

まさか…と兵庫は思った。

既に薬が効いていて、「嚥下する暇も無く食べ続けたい」というのが大阪の本音だとしたら。

このままでは、喉を詰まらせるどころではなくなるだろう。

「!!!!大阪、一旦止まって!!これ一回没収!!口ん中のもん先食べて!! 」

慌てて大阪の手元からカップケーキを取り、大阪の手が届かないところまで持ち上げる。

悲しそうに眉を下げた大阪はうるうると 兵庫のことを見つめたが、一大事になる可能性を渡すほど馬鹿ではない。

30秒もすれば、大阪は大人しく口の中のカップケーキを咀嚼し始めた。

柔軟に伸びていた頬は徐々に元通りになり、大阪も息がしやすくなったのか、にこやかに微笑んでいる。

「ふぅ…危ないとこやった…」

これなら安全である、と判断した兵庫は再び大阪に残りのカップケーキを渡し、しっかりと監視をしながら食べるところを見届けた。


「ごちそうさま!めっちゃ美味しかったで、兵庫!さっすが俺の兵庫や!!」

ひまわりのような大輪の笑顔を咲かせて、カップケーキを食べ終えた大阪は兵庫に抱きつく。

「へへへっ、嬉しいこと言ってくれるやん!また今度同じのん焼くわ」

「ほんま美味しかったから、楽しみにしとる!」

もう既に薬は効いていると思うので、この言葉は全て大阪の本音だ。

そう思うと堪らなく愛おしく、兵庫は手加減をしながらも全力で抱きしめた。

柔らかく肌がもちっとした大阪の体は、色々な意味で抱き心地が良い。

使い捨てのマフィンカップをゴミ箱に捨てて、2人は一階のリビングへと降りた。



大きなソファの上では、滋賀がスマホをいじりながらゴロゴロしている。

「お、滋賀やん」

「やほ〜。なあ2人とも、あのカップケーキ焼いたん誰か知っとる?めっちゃ美味しかったからさ、お礼言いたいんやけど」

「あ、それ俺や。美味しかったんならよかったわ!」

親子のように大阪と繋ぎながら、兵庫はカップケーキを食べたらしい滋賀と話を始めた。

きゃっきゃと笑い合っている2人を見つめて、大阪は嫉妬に駆られる。

「…兵庫は俺以外のやつと話したらあかん!!兵庫は俺の!!! 」

ぐいっ!と小さな体躯からは考えられないほどの馬鹿力で引き寄せられた兵庫。

一瞬よろけたものの、プンスカしている大阪に抱き寄せられたので転ぶことは避けられた。

「…大阪てこんな大人気ないこと言うっけ?」

「あー…っとー…ちょいそれは後で説明するわ…」

「また話した!俺以外あかん言うたばっか!」

「ご、ごめんなさい? 」

「お熱いね〜」

何かを察した滋賀は、嫉妬で怒る大阪と満更でもなさそうな兵庫を揶揄う方向へシフトチェンジし、ケラケラ笑っている。


その後京都たちも帰宅したが、

「兵庫と話したいんなら俺を介せ!! 」

と言って聞かず、大阪を寝かせてから事情を説明した。

そして1日半ほどで薬の効果が切れたのち、大阪は兵庫を叱りつけ、京都たちに謝罪する事態になるのであった。



残りの薬は兵庫によって滋賀へと渡されてしまったので、後日京都も同じように薬を摂取させられるとは、この時は2人以外知る由もない。

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コメント

6

ユーザー

カワイッ!!!!!!!!!!!!!

ユーザー

だんご様、まじで遅れすぎてて申し訳ございませんでした!!!🙇 他にリクエストしてくださったものも慌てて書いております故、しばしお待ちくださいませ…!!! なるべく癖ポイントを詰めつつ、皆様のご期待にお応えできるよう努力して参ります!!

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