コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
あくねこ夢小説※主様出てきます。血の表現ありなので苦手な方はスキップ推奨します。『貴方のナカマデ愛してる。』
〜狂った愛と歪んだ執着〜
FIVE story ウソガアバカレル
グロバナー家本邸
『…君達が悪魔執事のアモン・リードを殺したという2人か?』
『そ、そうです!俺たちが殺したんです!』
『だから俺達を捕まえて下さい!』
『…。』
(そもそもここに連れてこられたら簡単には逃げ出せないと思うが。)
『…君達が犯人だと言うなら証拠を示して貰おうか?』
『『え?』』
『証拠である凶器とグロバナー家の黒いローブだ。犯行に使われた凶器とその時に着ていたローブを出したまえ。君達が”本当の”犯人ならば。の話だが。』
『『…。』』
『……はぁ。名乗り出てきてもらって申し訳ないが。こちらには情報があるんだ。冷やかしなら帰ってもらえるかな。』
『……。』
その2人の表情は怒るでも泣き喚くでもなく…ただ。凍っていた。何かに怯えているような、そんな表情。
『っ、今帰ったら、俺達は殺され……っ。』
『おいバカ!』
『!…今なんと?』
『っ、何でもございません!』
男二人は逃げ出そうとする、しかし。
『憲兵。』
ジャキッ
男二人の前に剣が現れた。
『『ひいっ!』』
『……詳しく聞かせて貰おうじゃないか。なぁに、君達は罪人じゃないんだ。殺したりしないよ。まぁ……嘘を吐けば罪に問われるが。ゆっくり話そう。お茶でも飲みながら。』
アモンを失ったデビルズパレスは前のように明るく……とはいかなかった。
花に詳しい人はアモン以上に居ないし、
庭はほとんど野菜だらけになっていた。
『…。』
私は自室から庭を見ていた。
『アモン……。いつもならここからアモンの姿が見えるのに。』
『ふんふふーん♪綺麗に育つんすよ〜?あ、主様!こんにちわーっす!』
俺は主様に手を振る。
『っ…ぅ。戻ってきてよ。アモン……っ。』
私は床に崩れ落ちる。
アモンが殺されてから4日程が経ったが遺体はグロバナー家にある。だが、魔導服を来ている限りその身が朽ちることは無い。
アモンの亡骸を引き取り、お墓を作らないといけない。…ホントなら作りたくない。
だって。そしたら認めたことになるから。
悪魔化や、天使による怪我でなくなったのではなく。”殺された”と、認めてしまうから。
『春に向けてなのか虫がよく来ますね…あ、そうです。虫除けの物をアモン君に作って頂きましょう。早速2階に…あ……。そう、でしたね。アモン君は、もう…。』
『今日の料理はきのこのパスタだな。アモンさん好き嫌いせず食べてくれるといいな…って。そうじゃねーか…もう、いねぇんだった。……っくそっ…アモンさん…っ。
キノコ食べなくてもいいから、戻ってきてくれよ……っ。』
『ヒーン……。』
『ん……?どうした。食欲がないのか?おかしいな、いつもなら食べるんだが……今日の草は俺が集めてきたやつだからな。気に入らなかったか?』
『ひーん、ひーん……。』
『…アモンさんの育てた草、か?…済まない。俺は育て方を教わってなくてな…。
聞いておけばよかった。俺がちゃんと。アモンさん……教えてくれないか?』
俺は空を見上げて呟いた。
『フッ、フッ…… っ!よし、次は走り込みだ。アモン、ついてこ――。…はぁ。何やってるんだろうな俺は。なぁ、アモン。厳しくしないから帰ってきてくれ。』
『今日のお風呂はみんなが喜ぶ薔薇のお風呂にしよう。アモンにバラを数本……。
……君の育てるバラをもう見れないのは悲しいよ。アモン。』
『ふわぁ、よく寝たな。アモン、髪とかしてくれねぇか。あと髪を結んでくれよ。聞いてんのかアモン。』
『…はは。何やってんだ俺、らしくねぇ。』
俺は髪を下ろす。
『ローズ君。僕君がいなくなったら……誰に僕の自慢話を話せばいいの?誰に悪戯話をすればいいの?一緒にサボる人がいないのは……寂しいよ。』
『アモン君……私は君の育てたバラも君の交渉術も気に入っていました。美しいバラも。ズル賢い頭脳も。帰ってきてくださいよ…アモン君。』
『アモン君。君はよく私の身長が高くて羨ましいと言っていたね。ふふ、身長ならいくらでも分けるさ。だから…帰っておいで。』
『アモン君の育てていたバラが枯れてしまうなんて。悲しいです……。もっと見ていたかったのに。』
『…減っちゃうじゃないですか。衣装作るのが俺の仕事なのに。』
『アモンさん……僕に花飾り作ってくださいよ。可愛い花飾りを。』
『……ふふ。アモンくんにいつも渡していたクリームを調合する手間が省けてよかったよ♪私の主様に手を出すからこう なるんだよ。』
私はペンを握りアモン君の名前に斜線を引いた。
『これ以上…線は引きたくないんだけどな。まぁでも仕方ないよね。君たちが悪いんだから。』
私の主様に手を出そうものなら。
その身で償ってもらう。
一方その頃。グロバナー家にて。
『……吐く気になったかい?』
『はぁ、はぁ…っ!』
『君達どうしてそこまで根を張る。』
『い、言えないんだ、どう、しても…っ。言ったら殺される…っ!』
『……。』
(少々酷だが仕方ない。)
『選ばせてあげよう。ここで拷問で苦しんで死ぬか。早く吐いて楽になるか。』
『っ…!』
『君達が吐いたら殺される。これはどういう意味なんだ。君たちを雇った誰かがいるんだな?』
『……。』
『黙秘か。さっきまで元気だったのが嘘のようだよ。私も罪人では無い君たちをここまでしたくないんだ。むしろ助けてあげたいとも思っている。もし殺されるのならばグロバナー家が守ると誓おう。』
『…。』
『…がい、男……だ。』
『?なんだ。』
『髪が長い、男…赤と黒の奴に俺達は、雇われたんだ…っ。』
『それが君達の依頼人か。』
『っ、あぁ…っ。』
(髪が長くて赤と黒。知人だったら1人しか思い当たらないな。)
『憲兵。証言を元に捜査をしてくれ。それとこの者たちの手当てを。』
『はっ!』
『赤と黒の長い髪の男が2人の依頼主。そして、犯人は黒いローブ。しかもそれはグロバナー家が悪魔執事に所有させているものだ。それを簡単に奪うことなど不可能だ。…つまりアモンを殺したのは――』
悪魔執事の誰か――?
アモンの亡骸が届いた。事情を説明し、
何とかその時のアモンのまま亡骸を引き取った。そして、バラを植え直し、庭にアモンを埋葬した。彼が心安らかに眠れる場所はここしかないと思ったから。
そして、グロバナー家によるアモン殺害事件の捜査が進んでいると報告を受けた私は、
私もできることは無いかと思い、聞きこみ調査を始めた。
エスポワール
『すみません、つい最近バラ園で起きた殺人事件について調査をしてるのですが…。』
数時間後。
『収穫、なし。か。帰ろっと。』
私はムーを抱っこして屋敷へ帰ろうとした。
と、その時だった。
『あなたもしかして悪魔執事さんたちの主様?』
『え?』
突然若い女性に話しかけられた。
『そ、そうですが…。私に何か?』
『やっぱり!いつも主人がお世話になっていますわ。私はよくルカスさんがご贔屓にして下さるワイン屋さんの主人の妻です。』
『いえいえ、そんな…ご贔屓にだなんて。』
(ルカスはワインが好きだからなぁ…。)
『あーでも最近は来てくださらないから少し残念だわ。』
『……え?来てない?』
『えぇ。2週間ほど来てないわ。新しいお店にでも目をつけたのかしら。妬けちゃうわ 』
『……っ。』
全身の血が凍るような恐怖を覚えた。
『あ、あの、○月✕日にルカスが店に行きませんでしたか?その時は私は別行動だったのですがルカスはワインを買いに行くと行ってて……。』
『○月✕日……?その日は来てないわ。その日は私も主人も店にいたのだけど見てないもの。』
『……!』
私はムーを抱えて走り出す。
嘘だ。嘘だ。嘘だ。
じゃあ、あの時ルカスは何をしに行ったの?ワインを買ってないなら一体何を……?
『はぁ、はぁ、はぁ…っ!!!』
呼吸が一気に苦しくなった。
その時、音がした。
崩れていたピースが繋がりそうな、そんな音が。
次回
SIX story ツギノギセイシャハ