コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
:まふゆ視点:
いつもの日常。
それが崩れたのは、夏休み中盤の八月の頃の事だった。
「何これ…。」
ファイルの一つに紛れ込んでた、名称不設定1のファイル。
気になりはするが、押したら何かが起きそうで怖い。
「まふゆ~?後輩さんが来てるわよ~。」
「朝比奈せんぱ~い!忘れ物届けに来ました~!」
私はその大きな声に驚き、ついマウスの右をクリックしてしまった。
それにマウスが反応して、信号の伝導で名称不設定1のファイルが開かれる。
その瞬間、私のパソコンの画面が光りだした。
「うっ、眩しい…!」
私は反射的に手で目のあたりを覆い、目を瞑る。
周りの音がどんどん遠ざかっていく。
それと同時に、眠気が襲ってきた。
私はそれに抗えず、力が抜けたように眠ってしまった。
「…い………ろ……おき…起きろって!」
「!?」
私が目を覚ますと、目の前には夜の空が写っていた。
そして、にゅっと出てきたとある子の頭。
「よし、こいつは生きてるな。」
黒い瞳に金髪の童顔な少年。
私はゆっくりと上半身を起こして彼に尋ねる。
「…あの、どなた…。」
「ケンチーン!紫の髪の奴起きた~!」
その子は私の言葉を遮って大声でそう言うと、別のところから低い声で「お~!」と声がした。
「まふゆ…。」
後ろから私を呼ぶ機械的な声がする。
私が振り向くと、そこには私のセカイのミクがいた。
ミクは混乱しているようで、横に「あわわわ…」という効果音が見えそうなほどだった。
「ん…ったく何よ!!!」
「うるせぇ!」
絵名が怒り気味に目を覚まし、そう叫ぶと近くにいた黒髪の人が絵名に負けず劣らず大きな声で注意した。
「まふゆ、あんたもいたの。」
絵名が驚いたようにこちらを見て言うと、ミクの方を見て「あんたも!?」と目を丸くした。
「これで五人全員起きたっぽいですね。」
少し特殊な髪型をした少年がそう言うと、私が起きた時に近くにいた少年が「集合!」と言った。
「いかつい人ばっかりだね…。」
瑞希が苦笑しながらそう呟くと、奏が「確かに…」と賛同した。
私たちが固まって座っていると、少年たちが「こっちおいで~」と手招きした。
怯えながらも近づくと、少年たちが尋ねてきた。
「お前らさ、帰る家ある?送るよ?」
私たちは顔を見合わせた。
どうやら全員、ここがどこなのか分からないらしい。
私はいつもの「作り笑顔」で、彼らに伝えた。
「ここらへんの事がよく分からなくて…。良ければ、ここがどこか教えてくださりませんか?」
私がそう尋ねると、一人の体格の良い少年が言った。
「ここは東京の渋谷だ。あと、俺は龍宮寺堅、ドラケンだ。ついでに自己紹介、な?」
東京の渋谷…。
「…ありがとうございます。あと、私は朝比奈まふゆと言います。」
私は後ろを向いて知っているかどうか表情を見て確認したが、全員苦い顔をしていた。
「…こりゃ知らねーな。」
黒髪の少年がそう言うと、恐らく全員が目を逸らした。
背の小さい少年が口を開く。
「じゃ、もう一つ聞こう。どうやってここまで来た?」
奏が反射的に「分からない…。」と答えてしまったため、「なるほど…。」と少年が考え込んだ。
「とりあえず…自己紹介すればいいんじゃない…?」
ミクが機械的な声でそう周りに提案する。
「確かに!」と少年は手を叩いた。
次回に続く…