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#おんりー
ゼオ氏
165
202
#おおはらMEN
ドズル社好き
107
#おんおら
ドズル社好き
1,226
1.昨日より、近い君
「おんりー、今日も一緒にやろー!」
通話をつないだ瞬間、おらふくんの明るい声が飛び込んできた。
「……うん、いいよ」
「お、なんか今日、返事早いやん!」
「別に、いつも通りでしょ」
「ほんまかなぁ?」
楽しそうに笑う声。
おんりーは、画面を見つめながら小さく笑った。
――好きだな。
何気ない声も。
くだらないことで笑うところも。
自分の名前を呼んでくれるところも。
全部、好きだ。
そう思った瞬間。
胸の奥が、きゅっと縮んだ。
「……っ」
「ん? おんりー?」
「……なんでもない」
慌てて息を整える。
けれど、服の下では、あのツタが少しずつ伸びている。
最近は、痛みが起きる間隔も短くなっていた。
それでも、おんりーは言えなかった。
言えるわけがなかった。
だって、好きな人に「好きだ」と伝えることが、こんなにも怖いなんて思わなかったから。
「なあ、おんりー」
「ん?」
「今度さ、また一緒に遊びに行かへん?」
おんりーの指が止まった。
「……遊びに?」
「うん! 前に話してたとこ。覚えとる?」
覚えている。
もちろん、覚えている。
おらふくんが楽しそうに話していた場所。
いつか一緒に行けたらいいね、と笑い合った場所。
ずっと、楽しみにしていた約束。
「……行きたい」
思わず、素直な言葉がこぼれた。
「ほんま? やった!」
おらふくんの声が弾む。
「じゃあ、絶対行こうな!」
「……うん」
おんりーは笑った。
笑いながら、胸元をそっと押さえた。
――行きたい。
明日も、来週も。
これから先も、ずっと。
おらふくんと一緒にいたい。
でも、その願いが強くなるほど、胸の奥のツタは静かに根を張っていく。
おんりーは、まだ知らないふりを続けていた。
このままではいけないと、わかっているのに。
2.「ほんまに大丈夫?」
数日後。
おんりーは、メンバーとの通話中、何度目かの痛みに襲われていた。
胸の奥が、強く締まる。
呼吸を整えようとしても、うまくいかない。
「……っ、は……」
マイクをミュートにする。
少し休めば大丈夫。
そう思って、机に手をついた。
けれど、痛みはなかなか引かなかった。
「おんりー?」
スピーカーから、おらふくんの声が聞こえる。
「……ん?」
「今、ミュートなったけど。大丈夫?」
「……うん。ちょっと飲み物取ってくる」
なんとか声を整えて、そう答えた。
「俺も待っとくわ!」
「……ありがと」
通話をつないだまま、ゆっくり立ち上がる。
その瞬間、胸がまた強く痛んだ。
「……っ!」
思わず机に手をつく。
息がうまく吸えない。
服の上から胸元を押さえると、布の下で何かが這うような感覚がした。
ツタだ。
確実に、広がっている。
「……なんで……」
声が震えた。
どうして、こんなに好きになってしまったんだろう。
どうして、伝えられないんだろう。
どうして――。
「おんりー?」
イヤホンから聞こえた声に、はっとする。
「……っ、なに?」
「戻ってくるの遅いから。ほんまに大丈夫かなって」
心配してくれている。
その事実が、何よりも嬉しかった。
そして、何よりも苦しかった。
「……大丈夫だよ」
おんりーは、なんとか笑った。
「心配しすぎ」
「……そう?」
「うん」
少しの沈黙。
それから、おらふくんがぽつりと言った。
「……俺、おんりーが無理してるんやったら嫌やで」
おんりーの目が揺れた。
「……え?」
「いつも元気やから、気づくの遅れるかもしれんし。なんかあったら、ちゃんと言ってな」
その言葉に、胸が痛んだ。
本当は、言いたかった。
今すぐ全部、話してしまいたかった。
「……おらふくん」
「ん?」
「……もしさ」
声が、かすれた。
「もし、大事な人に……言いたいことがあるのに、言えなかったら、どうする?」
おらふくんは、少し考えた。
「……うーん」
そして、優しく答えた。
「俺やったら、伝えるかな」
おんりーは目を閉じた。
「……そっか」
「うん。だって、言わんかったら、相手にはわからへんやん?」
――そうだね。
わかっている。
そんなこと、ずっと前から。
「……ありがと」
「え? なんでお礼?」
「……なんとなく」
おんりーは、静かに笑った。
でも、その笑顔はおらふくんには見えなかった。
そして、通話を切ったあと。
おんりーは机に伏せ、しばらく動けなかった。
伝えたい。
その気持ちは、確かにある。
けれど、伝えたあとの未来を想像すると、どうしても怖くなってしまう。
今の関係が壊れたら。
もう、隣で笑えなくなったら。
そんな未来なら、いっそ――。
「……だめだ」
おんりーは、首を振った。
そんなことを考えてはいけない。
まだ、約束がある。
一緒に行こうと約束した場所がある。
だから。
「……もう少しだけ」
胸元を押さえながら、呟いた。
「……もう少しだけ、頑張ろう」
その言葉を、誰にも聞かれないように。
3.小さな変化
翌日。
おらふくんは、いつもより早くおんりーに連絡した。
『今日、ちょっと時間ある?』
メッセージを見たおんりーは、すぐに返信した。
『あるよ。どうした?』
『いや、ちょっと話したいことあって!』
その文面を見て、おんりーの胸が跳ねた。
話したいこと。
なんだろう。
昨日のことだろうか。
それとも、また一緒に遊びに行く予定のこと?
期待してはいけない。
そう思いながらも、少しだけ期待してしまう。
『いいよ』
返信して、スマートフォンを置いた。
数分後、通話がつながる。
「おんりー!」
「おー」
「……あのさ」
いつもはすぐに話し始めるおらふくんが、珍しく言葉を探していた。
「……最近、ほんまに大丈夫?」
おんりーは黙った。
「前より、元気ない気がして」
「……そんなことないよ」
「ほんまに?」
「うん」
おらふくんは、しばらく何も言わなかった。
やがて、少しだけ寂しそうに言った。
「……俺には、話せへん?」
その言葉で、おんりーの胸がぎゅっと締まった。
違う。
話したくないわけじゃない。
むしろ、いちばん話したい。
でも。
「……ごめん」
小さく呟いた。
「……今は、ちょっと」
おらふくんは、すぐには答えなかった。
その沈黙が、怖かった。
嫌われたかな。
面倒だと思われたかな。
そう考えた瞬間、おらふくんが言った。
「……わかった」
いつもの優しい声だった。
「無理に聞かへんよ」
おんりーは、ほっと息を吐いた。
けれど、次の言葉に胸が詰まった。
「でも、いつか話してくれたら嬉しい」
「……うん」
「俺、おんりーのこと大事やから」
――大事。
その言葉を、何度も心の中で繰り返した。
大事な仲間。
大切な友達。
きっと、そういう意味だ。
わかっている。
それでも。
「……ありがと、おらふくん」
声が震えそうになって、慌てて笑った。
おらふくんは気づかなかった。
気づかないまま、いつも通りの話題に戻った。
ふたりで笑って、ゲームをして。
何も変わらない時間を過ごした。
けれど、その夜。
おんりーが服の下を確かめると、ツタはさらに広がっていた。
胸の中央から、枝分かれするように。
まるで、言えなかった言葉を探しているみたいに。
おんりーは、そっと目を伏せた。
「……好きだよ」
誰もいない部屋で、初めて声に出した。
「……おらふくん」
その名前を呼ぶだけで、胸が痛む。
それでも。
「……好き」
何度も、何度も。
本当は、本人に伝えたい言葉を。
誰にも届かない場所で、繰り返した。
コメント
1件
うわっ…第9話、めっちゃ刺さったわ…。 おんりーの「好き」っていう気持ちが強くなるほどツタが広がっていくの、切なすぎるでしょ。おらふくんが「大事やから」って言うシーン、あれ優しいんだけど、おんりーからしたら胸が締め付けられるような言葉だよな…。 「誰にも届かない場所で好きって繰り返す」ってラスト、もうグッと来た。このままじゃいけないってわかってるのに言えないジレンマ、めちゃくちゃ伝わってくる。 続き、めっちゃ気になる!