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旅館の最寄り駅についた。海が近いせいか、潮風の匂いが鼻をくすぐる。
電車から降りた俺たちは同時に伸びをする。
「んーーー」
「若干風あるな」
「ちょうどいいくらいじゃん?」
ここから歩いて10分とかなり近場にその旅館はあるらしい。立地としては最高だった。ガラガラとキャリーバッグを転がしながら、少し登り坂の道路を二人で歩く。
「そんな小さいリュックで大丈夫だったの?」
「むしろお前多すぎて大丈夫かよ」
「俺はいいんだよ。それより何入れてきたの?」
「財布とスマホとコンタクト…それからモバイルバッテリーと…傘と…あとは下着」
「ほんとにそれだけ?」
「むしろそれ以外何が必要なんだよ?」
ミニマリストなのかな。俺はむしろ持ってきすぎか?
「まぁどうせ困ったらお前に借りるし」
「うわー、ハイエナだ」
「ははっ」
とりあえず旅館に荷物を置いて、周辺を散策することにした。夕食は旅館で出てくるけれど、これから食べる昼食は現地調達だ。
旅館に到着し、とりあえずチェックインをする。
「すみません、予約してたえおえおですけど」
「はい、いらっしゃいませ。えおえお様ですね。確認が取れましたのでこちらにサインをお願いいたします。」
フロントで従業員とやり取りをしている中、あろまは入り口にあるおみやげコーナーを吟味していた。旅館のコーナーだから物珍しいものはあんまりないとは思うけれど…
「何か買うの?」
「んー、見てただけ」
「ちょっと歩いたところに色々店あるみたいだし、荷物置いたら行こうよ」
「だな」
「こちらがお部屋になります。ご夕食は夜6時頃を予定しておりますので、それまでにお帰りくださいませ。お部屋には露天風呂、大浴場は一階にございますので、どうぞご利用ください。なにか必要なものがあればお部屋のお電話でフロントまで繋がりますので」
「ありがとうございます」
「では、ごゆっくり」
重い荷物を置いて、部屋の窓を開けた。さっきも感じた潮風が部屋の中まで香ってくる。案内された部屋は3階にあり、かなり高い位置から海を見下ろすことができた。
「景色いいじゃん」
「海側の部屋なんて、いい待遇だよ。これも懸賞のおかげってやつ?」
「俺が選んだわけじゃないから、そうかもね」
「ふーん」
あろまは窓に手を付きながら、そうなんだ、と言ってしばらく景色を眺めていた。俺はというと、持ってきたキャリーバッグからカメラを出して出かける準備をする。
事前に色々調べておいたのだが、写真映えのスポットがいつくかあるらしい。旅館からは少し距離があるからかなり歩かなければならないが。
「もう行くの?」
「うん、俺はいつでもいいけど」
「じゃあ俺も行くわ」
小さいリュックからスマホと財布だけを出して、窓からの景色の写真を一枚撮っていた。俺もつられてカメラで写真を撮った。
そんな俺を気にも止めず、スタスタと部屋から出ていく。こんなところに来てもそのマイペースは変わらない。俺も急いでその後を追った。
To Be Continued…