テラーノベル
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刀也さんに勉強を教えてもらうべく
刀也さんの部屋で勉強会を開催する
[だーかーらここは違うの!]
『えぇー?どういうこと?』
刀也さんに指導されながらかりかりと勉強を進めていく
…
ちらっ
ふとノートに熱心に文字を書いている刀也さんに目を向ける
綺麗な目…まつ毛長いなぁ
いつ見ても綺麗で見惚れてしまう
きっと恋フィルターもかかってるんだろうけど、
すきだなぁ、
いつか俺に振り向いてくれないかな
なんてね、
[がっくん]
『ひゃい!』
[真面目に解いてください]
『す、すみません…』
あぶないじろじろ見ていたのがバレてしまっていた
あぁー!気をつけないと
[ちょっと休憩にしますか]
『賛成!』
[ふふ、]
俺があまりにも即答するせいで刀也さんは
小さく笑った
[あ、そういえば]
休憩に入った瞬間から
刀也さんがどこかわざとらしく話題を切り出す
『?どうしたんすか?』
刀也さんは何だか少しもじもじしながら言いにくそうにしている
そのあと首に手を当て少し赤面しながら
目線を壁にそらしつつ、
聞きたくもなかったことが彼の口から発された
[僕、彼女できました]
『え、』
一瞬思考が停止した
最悪の言葉だった
刀也さんが誰かのものになってしまった
いつかはこうなるのだと
頭ではわかっていたつもりでいた
俺の恋は叶うものではないと
でも実際は心がついてこない
俺は心臓が急に掴まれたような感覚になった
冷や汗と動悸が止まらない
目の前が、視界が歪む
[がっくん?]
なにか、何か言わなくちゃ
刀也さんに心配かけちゃう
『お、おめでとうっすね、!』
おれは何とかへらっと笑い祝福の言葉を与えた
[あ、ありがとう]
その言葉に刀也さんはまた照れたような笑みで
返事をする
ここにいることが辛い
好きな人の目にはもう、俺はうつらない
いや、元々映ってなかったのかな、笑
どうしようもない悲しみが俺の心を襲う
『あ!もうこんな時間!帰らないと!』
[え、まだ、]
『じゃーね刀也さん!また明日』
俺は居ても立っても居られなくなって刀也さんの家を飛び出した
自分の家までがむしゃらに走る
刀也さん、刀也さん、刀也さん
頭の中は彼でいっぱいで
もう、叶わないんだ
元々わかっていたことなのに
相手がいるとなると今までの淡い期待や気持ちが
一気に崩された
絶対俺の方が好きなのに、前から思っているのに、彼のこと見てるのに、知っているのに
だいすきなのにぃ、
気がつくと俺は地面に座り込んでいた
足の力が抜けてしまったんだ
ぽたぽた
涙が地面に落ちる
『とぉ、とおやさっ、』
もう叶わない恋にただひたすらの後悔と悲しみを背負って
『だいすき、だよ、』
もう届かない思いを、口に出した
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