「なあ、暇じゃね?」
「そんなこと言われてもなー」
松田と私が掃除をしながら話している。
「こら、真面目にやれよ」
「ゼロが真面目すぎんだよ」
「ふふん!」
「何萩原」
「そんなお二人に朗報です!」
「何だよ萩、テンション高えな」
「じゃーん!」
萩原が持っていたのは野球ボールとグローブ2つ。
「童心に帰らねえ?!」
「グローブ二つしかないじゃん」
「人数分買ってこようぜ」
「お、陣平ちゃんやる気だね」
「ホームセンター行こうか」
こうして外出許可も頂き、やって来たのは公園。
「キャッチボールとかいつぶりだろ」
「俺もだな」
「早くやろーぜ」
「じゃ、いきまーす」
キャッチボールをするのは小学生時代、ゼロとヒロとやって以来だ。
「この年にやっても楽しいもんだな」
「セリちゃんに楽しんでもらえてよかったよー」
たくさん遊んで少し休憩している時、
「…ん?萩原あれ」
そこには水道の前で泣く女の子。
「んー、ちょっくら行ってくるわ」
萩原は水道の方へ歩いて行く。
「萩原どうしたんだ?」
「なんか思いついたんじゃない?」
「ボール持ってっちまったらキャッチボール出来ねえじゃねえか」
「私らも行くか」
私たちも水道の方へ歩いて行く。
「萩ー。何やってんだ?」
「陣平ちゃん、電話!水道局!」
「あ?なんで?」
「見ればわかるよ」
「あー、壊れた水道管にボールで蓋したのね」
「セリちゃんせーかーい!」
「萩原もそこの少年もびちょびちょじゃん。少女、君は濡れてない?」
「うん!大丈夫!」
「そう、それは良かった。私ハンカチ一枚しか持ってないよ?」
「男の子に貸してやって」
「りょーかい。少年、大丈夫?」
「お、おう」
「なあ、そろそろ時間だぞ」
「まじか。ボウズ、水道局の人来たら説明出来るか?」
「出来る!」
「そうか。あとはよろしくな」
「おう!」
「じゃあな」
「あっ!ハンカチ…!!」
「少年にあげるよ」
私達は公園を後にした。
「萩原、優しいね」
「惚れた?」
「いや、そこまでではない」
「ちぇっ」
「ただ、萩原みたいな人間は守りたいなと思っただけだよ」
「そ?」
「うん」
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