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るか
157
※ほぼShozmです。zmさんがただひたすら可哀想なお話です。Shoさんがかなりキャラ崩壊してます。かなりヤンデレ気味。
赤い糸が見えたり、動いたり現実じゃありえないような話です。
秋の放課後、校舎の隙間から差し込む西日は、教室の床の上に奇妙な影の模様を描き出していた。
ゾムはその光の中で、自分の左手の小指を見つめていた。
そこから伸びる線は、肉眼では見えないはずのものだ。けれどゾムの目には、幼い頃からずっと鮮明に映り続けている。朱色を濃くしたような、血の巡りを連想させる一本の糸。
生まれた時からずっと見えていた。そしてその糸の先にいるのは少し離れた席で友人と笑い合っているシャオロンの小指へと一直線に続いていた。
Sho「——でさ、ほんまツマらんかったわ!」
Ut「お前それ直前までノリノリやったやんけ」
シャオロンの大きな笑い声が途切れ、彼の目がふいにこちらを向いた。一瞬で、その瞳の奥に宿る温度が変わる。親しい友人に向けるそれではない、熱を帯び、まるでこの世で1番愛おしいものを見つめているかのようにゾムを見る。
シャオロンは吸い寄せられるように、ゾムの席へと歩み寄ってきた。
Sho「ゾム、このあと一緒に帰ろうや。部活も今日はないんやろ?」
シャオロンがゾムの肩に手を置いた。
その瞬間、ゾムの視界で異変が起きた。
(あぁ、またか….)
小指から伸びていた赤い糸が、スルスルと手首を這い上がり、腕を駆け巡り、一気にゾムの首へと巻き付く。
Zm「ヒュッ……」
ゾムは思わず喉元を押さえ込み、息を詰まらせた。
喉を締め上げる感覚。結び目が絞られ、気道が圧迫される。目からうろこが落ちるような、純粋な息苦しさが襲いかかった。
Sho「……ゾム? どうしたん、顔色悪いぞ」
シャオロンが心配そうに顔を覗き込んでくる。
その瞳には、嘘偽りのない純粋な愛情が孕んでいる。
(ッ….またや….)
シャオロンは気づいていない。
彼がゾムに対して激しい恋心を抱くたび、あるいは他の誰かがゾムに触れることで生じる猛烈な嫉妬心が芽生えるたび、ふたりを繋ぐ「運命の糸」は変質し、ゾムの首を締め上げるのだということに。
最初はほんの少し、胸が苦しくなる程度だった。
だが、シャオロンと一緒にいる度、過ごしていく時間が長くなる度、シャオロンの好意が膨れ上がるにつれて、の力は日増しに強くなっていた。今や離れることすら許さない拘束具として、ゾムの体に絡みついている。
Zm「なんもあらへんよ……ちょっと立ちくらみしただけや」
sho「ほんまか? 無理すんなよ。俺、ゾムに何かあったら耐えられへんから」
首の糸がじわじわと肉に食い込んでいく。痛い。苦しい。叫び出したい。
ゾムにとって、シャオロンは大切な幼馴染であり、かけがえのない友人だ。
しかし、そこに「恋愛」としての感情は存在しない。
シャオロンと自分を結ぶこの赤い糸は、祝福などではなく、自分を緩やかに殺し続ける毒でしかなかった。
Syp「……あの先輩、またゾムさんのこと囲い込んどる….」
中庭に面した渡り廊下で、一年のショッピは缶コーヒーを片手に、遠くの教室の窓辺を見上げていた。
ガラス越しに見えるのは、ゾムの肩を抱くようにして話しかけるシャオロンの姿だ。
Ci「ショッピ、顔怖いぞ。コーヒー缶潰れるわ」
隣に立つ同級生のチーノが、呆れたようにため息をつく。
Syp「……別に。普通です」
Ci「嘘つけ。ゾム先輩のこと見てるとき、いっつもそんな顔しとるやん。好きなら好きって言えばええのに」
Syp「……言えるわけないやんか」
ショッピは冷めた目をさらに細め、缶コーヒーの口に唇を寄せた。
小学校、中学校、そしてこの高校。シャオロンとゾムは常に同じクラスで、いつだって二人三脚のように一緒にいた。誰も入る隙のない、完成された世界。
運命という言葉があるのなら、あの二人こそがそれなのだと、周りの誰もが納得してしまう空気感があった。
Syp「俺が入っていける隙なんて、最初からないんですよ」
呟いた言葉は、秋の冷たい風にさらわれて消えた。
ショッピは知らない。ゾムの小指から細く、今にも切れそうなほど淡い、ショッピの小指へと繋がる小さな小さな赤い糸の存在を。
そしてゾム自身もまた、ショッピへの想いを胸の奥底に押し込め、秘め続けているのだということを。
Ut「シャオロン、お前ほんま分かりやすいなぁ」
放課後の屋上で、煙草に火をつけようとしたうつは、隣で携帯画面を眺めてニヤけている友達、シャオロンに声をかけた。
Sho「なんのことや?」
Ut「ゾムのことやろ。顔に『ゾム好き好き大好き』って書いてあるわ。昔からずっと一緒におるのに、飽きへんの?」
Sho「飽きるわけないやん!」
シャオロンは身を乗り出し、目を輝かせた
Sho「初めて見た時から決まってたんや。一目惚れっていうんかな、磁石みたいに引き寄せられたんや。あいつは俺の運命なんや。誰にも渡さへん」
Ut「はいはい、ごちそうさま。でもお前、嫉妬深すぎるのもほどほどにしときや? ゾム、たまにすごく息苦しそうな顔しとるで」
Sho「……え?」
シャオロンがピクッと眉を動かした。
Ut「お前が他の奴に威嚇してるときとか、ゾムが他の奴と喋ってるとき、あいつ急に胸押さえたりしとるやろ。愛が重すぎて、物理的に窒息させとんのちゃうか?」
Sho「そんなわけないやろ……俺はゾムを愛してるだけや。傷つけるわけないやんか」
笑い飛ばそうとしながらも、シャオロンの瞳の奥に小さな暗雲が立ち込める。
愛している。世界で一番。だからこそ、自分の目の届かない場所へ行ってほしくない。自分以外の誰かに笑いかけてほしくない。その一瞬の激情が、ゾムを追い詰めていることなど、目に見えない彼には知る由もなかった。
日が沈みかけ、茜色から群青色へとグラデーションを描く放課後の図書室。
静まり返った書架の影で、ゾムは荒い息を吐きながら壁に背をもたせかけていた
Zm「……ッ、ハァッ……ッ、く……」
制服の首元を小さく緩め、喉元をかきむしる。
だが、どれだけ手を伸ばしても、目に見える指先は空を切るだけだ。肉体を縛っているのではなく、魂そのものを絞め上げているかのように、朱色の糸は首皮に深く深く食い込んでいる。
さっき、廊下でショッピとすれ違ったのだ。
一瞬、目が合った。ほんの数秒、視線が交差しただけ。それだけで、シャオロンの気配を察知した糸が猛烈な勢いで収縮した。
Tn「……無理すんなって言ったやろ、ゾム」
静かな声が降ってきた。
見上げると、そこには同じ二年のトントンが立っていた。
Zm「トントン……」
Tn「また酷くなっとるな。……シャオロンのやつ、どんだけ嫉妬溜め込んでんねん」
トントンはゾムの前にかがみ込むと、ゾムには触れられない「それ」を、まるで視覚だけでなく触覚でも捉えているかのように、ゾムの首元へそっと手を差し伸べた。
そう、トントンにも「見えて」いた。
それも、ゾム以上に緻密で、鮮明に。
Tn「シャオロンからの糸……もう首骨が折れるレベルで巻き付いとるぞ。お前、よう耐えてるな」
Zm「……しゃーないやろ。シャオロンの気持ちは……本物やから」
Tn「本物やからって、お前が苦しんでええ理由にはならんわ!」
トントンは抑えた声で、だが強い口調で言った。
Tn「お前が本当に好きなのは、あの1年の子……ショッピやろ」
Zm「……言うな」
Tn「シャオロンの糸は呪いみたいに首を絞めとる。俺には全部見えとんねんぞ。……ゾム、このままだと本当にお前、シャオロンの愛に殺されるぞ」
トントンの言葉が、重く胸に突き刺さる
Tn「逃げろとは言わん。でも、いつか選択せなあかん時が来る」
トントンはゾムの肩を優しく叩くと、そのまま図書室を去っていった。
一人残されたゾムは、深く、苦しい息を吐き出した。
首元を絞める朱色の感触。
そして、遠くで本棚を眺めているショッピの背中。
運命って残酷やな….
コメント
1件
こわ……でもすごく引き込まれました。運命の赤い糸が祝福じゃなくて「嫉妬で首を絞める呪い」になってる設定、ゾムの息苦しさが文章からひしひし伝わってきました。シャオロンは無自覚な重すぎる愛情、ゾムはショッピに惹かれてるのに言えないもどかしさ。トントンが糸を見えるキャラとして配置されてるのも、世界観の補強になってて良いですね。続き、ゾムがどう選択するのか気になります。