「俺でよければ、話聞くよ?」
ふいに差し出された部長からの優しさに、靄のかかった彷徨える私の胸が、ぐらり、と誘われ揺らいだのを感じた。
恐らく、それがそのまま顔に出た。
私の表情を見ていた部長が、驚いたように目を見開き、私を真っ直ぐに見つめる。
「ど、……うしたの、堂本さん」
声音にまで驚きが混じっていた。
部長こそ嘘がつけない性格をしている、そんな風に思って、それが少しだけ面白かった。
ふ、と口が隙間をつくり、笑いを滲ませた息を吐いた。
「すみません……私も、『らしくない』と思ってるんです」
相手は上司だ。
普段なら、決して弱音など吐かない。
甘えなど見せない。
そうしてきたし、これからもそうするつもりだった。
私が私のために定めた、矜持の一つだから。
それなのに、ここにきて、こんなにも揺らいでいる。
「………******
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