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茹だるような夏の日だった。照りつける日差しが鋭く突き刺さるように暑く、 肌にじっとりと汗が浮かぶ。額から流れる汗を拭い、周りに目を向けた。
どこまでも広がり、澄み渡る海の蒼さとは正反対な私の心模様。日に照らされ、 燦々と光り輝く砂浜を踏み締め、波打ち際で足を止める。
押しては返す波をぼんやりと見つめた。貴方への想いを断ち切るためにここへきたというのに思い出すのは貴方のことばかりで気持ちだけ大きく膨らみ、私の中で渦巻いている。
透き通るような貴方に触れてしまえば儚く散ってしまうのだろう。いつまでも縮まらないこの距離を埋められたなら。手を伸ばした。でも 届かなかった。
風が吹いたら飛んでしまいそうな曖昧な距離にもどかしさを覚えた。今までたくさんの日々を過ごしてきたけれど、貴方を通して見た世界はいつもより綺麗に彩られている気がした。
それほど貴方は純粋で美しかった。貴方のそばにいればいるほど汚い自分がこぼれ出そうになる。私の貴方への想いも泡のように弾けてしまえば楽になるだろうか 。
報われないと知ってしまった想いを吐きだすのは難しく、耐えがたい。苦い味をただ噛み締めることしかできなかった。堪えていたものが抑えられなくなり嗚咽が漏れる。溢れるものはもう止められない。ひとつふたつと落ちていく。
落ちた涙は弾けて波に呑み込まれていくのに
私の想いを波は、呑み込んで遠くへ追いやってはくれなかった。