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「ありがとうございます。・・・ではもう単刀直入にお尋ねします。うちの会社・・危ないんですか?」

「なるほど。最初からそこ来ましたか」

「すいません。一番そこ知りたいところなので。私も今プロジェクト抱えてますし・・・。それがどうかによって、私のある決心が決まるので」

「そうですよね。この会社がどうなるのか不安になってしまいますよね。とりあえず望月さんはプロジェクトはそのまま続けて頂いて大丈夫です」

「なら、安心しました。でも・・会社は?」

「この会社が無くなることはないので安心してください」

「それは・・・樹が麻弥ちゃんと結婚することでこの会社が助かるってことですか?」

「・・・それ、麻弥さんからお聞きされたんですね」

「はい」


どうやら神崎さんは全部わかっているらしい。


「どうしてそんなことに・・・。でも昔から決まってたってことですよね?」

「そう、ですね・・。でも正直、樹と麻弥さんの親同士が昔からの知り合いで口約束的な感じで最初は話してたくらいだったようで。そして麻弥さんが樹をずっと気に入ってるっていうのと、うちの会社の状況が少々今までと違ってしまったことで、どうやら話が進んだようです」

「それはやっぱり社長が倒れたからですか・・・?」

「えぇ、まぁ。実をいいますと、社長が倒れて、樹が代理を務めてはいるのですが、正直それを良く思ってない人たちは少なからずいるわけで」

「え・・? でも仕方ないことですよね? しかも実の子供なわけですし。後々の後継者なのに」

「確かにそうなんですけどね。でも、樹の昔を知ってる人や社長をずっと慕って来てる人たちからすると、樹の存在は気に食わない。樹がこの会社を継ぐにしてもまだ頼りないだとか相応しくないだとか言って認めないんですよ」

「だけど、それはまだ樹がただ若いってだけで・・・。経験も少ないかもしれないけど、でも樹はこの会社で今までもかなり結果を出して業績を上げてるのに・・」

「まぁそれだけではまだまだと重役たちは言いたいんでしょう。なので、このまま社長が退いて樹がこのタイミングで継ぐことになるとすれば、株主たちも動き出すでしょう」

「それって・・」

「最悪な状況になると、この会社は東条社長から別の経営者になるかと。なので望月さんたちが働く場所は無くなりませんが、今までと同じような働き方が出来るとは限りません。ですがこの会社は社長が夢と信念を持って一から作り上げて来られた会社です。そうならないよう今、樹が必死にこの会社を守ろうとしています」

「でも麻弥ちゃんとの結婚の話・・・」

「麻弥さんの親の会社がご存知の通り大企業で世間的にも有名で勢いのある会社です。そこの娘さんと樹が結婚するとなると、そこがサポートしてくれるので安心ですし、株主たちも世間も樹を見る目は変わり話題にもなりますし今以上この会社も大きくなることになると思います」

「そっか・・・。それなら結婚することは、樹にも会社にも逆にメリットしかないってことですよね・・・」


自分が考えてた以上に、自分の出る幕なんてどこにもなくて。

麻弥ちゃんが言ってた通り、やっぱり樹を幸せに出来るのは麻弥ちゃんしか無理だということがわかった。


「確かに。今はそれが一番最善の方法ではあります」

「ですよね・・・。それが樹が一番幸せになる方法ですよね・・・」

「ホントに・・そう思いますか?」

「えっ・・?」

「樹は多分あなたと一緒にいることが一番幸せだと思ってるはずです」

「神崎さん・・・」


ようやく決心か固まり出したのに、まさかの神崎さんが心揺れる言葉を告げる。


「私の立場から言えば会社ももちろんこのまま守りたいですが、でも樹にはあなたとの本当の幸せを手に入れてほしい」

「・・・だけど。私にはもうどうすることも出来ないです。そんな大きすぎる樹の人生を、私が奪いたくない」


神崎さんから本当の話を聞いて、今まで以上にもう樹とは関わるべきじゃないと実感する。


私は、もう樹の人生に関わってはいけない。

樹に、私はどう考えても釣り合わない。

同じ世界で生きちゃいけない。


「だからです。だから、今、樹はあなたと一緒にいられる別の最善方法を選べる準備をしています」

「えっ?どういうことですか?」

「今の樹にここまで成長出来たのもすべてあなたのおかげです。樹にとってあなたはなくてはならない存在。だから、樹は、あなたと一緒にいられる一番最善で一番幸せになれる方法を自分の力で作り出しています」


それを聞いて言葉が出なかった。

自分にとって別れる選択だけしかないと思っていたから。

なのに、樹はその選択をしていなかった。


「望月さん。ホントはここに樹と別れる決心をして来られたんですよね?」

「・・・すごいな。神崎さん、何でもお見通しですね」

「いえ。それを言うなら樹です。樹が望月さんならそうするだろうと推測して、別れる決心をしないよう私に望月さんが自分を信じるよう説得してほしいと頼まれたんです」


樹が・・・?

そんなとこまで・・。










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