しばらくして、律が小さな氷袋を手に戻ってきた。
「ほら、少し冷やしましょう」
「え、あ、あの……自分でできますから!」
慌てて手を伸ばす華に、律は首を横に振った。
「動かすと余計に腫れます。じっとしててください」
そう言って、氷袋をそっと華の額に当てる。
冷たさに思わず肩をすくめたが、それ以上に律の指先が触れる感触に全身が熱くなる。
「……っ」
目の前にある律の顔が近すぎて、息が詰まりそうだった。
「これで少しは楽になるはずです」
律は真剣なまなざしのまま言った。
華の心臓は早鐘を打ち、視線を逸らすこともできなかった。
(……どうしてこんなに、ドキドキするの……)
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