テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
のっとびーえる
zm愛され風味
軍パロ
◇
『ゾム幹部の幽霊が基地内に出没している』
一般兵士の間で囁かれている噂。
何がどう尾鰭がついてそうなったのかは分からないけど、同じ戦う仲間としても、そんなことはあり得ない。
他の幹部たちはそう言って認めなかった。
さて、当の本人であるゾムはというと。
「・・・ねぇ。早く起きなよ、ゾム。」
戦争で大怪我を負って、昏睡状態にあった。
◇
ピッピッ、と心電図の無機質な音が医務室に響く。
カーテンで閉ざされた空間に、ゾムは一人、ベットの上で眠り続ける。
ゾムの状態を一般兵士には伝えていなかった。
味方最大の脅威、最強の暗殺者、などなど様々な二つ名を持つこの男が瀕死だなんて、軍を揺るがすようなことを簡単には言えない。
ふわり。
春風に舞って揺らいだカーテンの向こうから、トントンが顔を出した。
「またぐっすり寝とるなあ、こちとら徹夜やぞ」
とさっと机に置かれた書類の束。
「・・・これ。お前が書くべき報告書やねんけど」
その声に反応する者は、いない。
ぴくりとも動かず、青白い肌をして横たわっている。
「もう、書かんくてええ、から。はよ起きて・・・」
半ば願うようだった。
冷たい手をぎゅっと握って、吐き出すようにトントンはそう言った。
◇
次の日はシャオロンだった。
「ねぼすけ、とーへんぼく、えろこぞう」
ふにふにと文句を言いながら頬を突く。
柔らかい髪の毛が指に当たって、ぱさりと顔に影を落とした。
綺麗な顔だと思う。
幼くて、寂しそうで、狂気を孕んだ顔。
「・・・あーあ。遊び相手おらんくて、つまらんねん。」
なあ。
そう問いかけて、空回った言葉が、部屋の中に響く。
◇
その次の日はショッピとチーノだった。
「・・・・うぁあ、だめやしょっぴ。もう泣きそう」
「あほ」
べそをかくチーノと違って、ショッピは口元を真一文に結んで、花瓶の花を取り替えた。
あんなに気配に聡い彼が、睫毛一本も動かさない。
「・・・・・なんか、ほんまに幽霊なんかも」
「ばっ、ばかお前。何言ってんの」
もともと白い肌が更に青みを増した気がする。
体のあちこちに巻かれたままの包帯が馴染んで見え、ぞわりと鳥肌が立つようだった。
「・・・、泣くなよチーノ。」
「ショッピだって泣いとるやん!!」
結局その日も、目が腫れただけだった。
◇
翌日はロボロが来た。
「あんさんが壊したインカム、せっかく作り直してあげたんやけど」
ピアスに見立てた小さなインカムには、みんなによってそれぞれのイメージカラーの宝石があしらわれている。
黄緑のペリドット。幸福、平和、希望。
平和とは言えない人生だったかもしれない。
それを、ロボロは一番近くで見てきたのだから。
「・・・まあ、起きた時に笑ってくれたら、許す」
昔から変わらない癖っ毛を軽く指先ですいた。
◇
その次の日はオスマンだった。
色とりどりのマカロンと紅茶を片手に、隣に座る。
「・・・そういえば、ゾムの好きなお菓子、まだ聞いてないめぅ」
さくり。
軽やかな音を立ててピスタチオがオスマンの口に入った。
「甘いの、昔っから苦手やったなあ。チョコとか」
開かれた窓の隙間に入り込んだ風が、綺麗に手入れされたアシンメトリーを揺らす。
昔に思いを馳せて、一人で紅茶を啜った。
◇
次の日は鬱先生が来た。
「俺、こういうの苦手なんやけどな。」
苦笑して、未だ指一本動かさない体を労るように撫でた。
今は閉じられている瞳が、こっちをみて笑ってくれたのがもはや懐かしい。
「・・・言っとくけど、命の恩人は僕やからな?はよ起きろ。」
まだあどけなさの残る性格が、余計に庇護欲を掻き立てられる。
まだ軍に来たばかりの頃は、無茶苦茶な戦いをしていたものだ。
ふぅ、と煙草を燻らせて、しばらくそこにいた。
◇
その次はレパロウだった。
大きな目が垂れて、今にも泣きそうな、そんな雰囲気。
「・・・そろそろ、三ヶ月が経ちます」
いつもは前に立って守ってくれるその背中が、手が、ずっと小さく見える。
きゅっ、と自分の拳を握りしめた。
「みんな心配してるんですよ。素直じゃないけど」
自分を揶揄って楽しそうにしていた笑い声が聞きたい。
こうして顔を見にくるのも気が向かなくて尻込みしていたけれど。
死に近づくとはどういうことか、目の前に突きつけられたようだった。
◇
翌日は、エーミールだった。
何冊かの本と、ブランケットを片手に語りかける。
「いつも図書室でしていたみたいに、今日もお話ししましょうか」
毎晩、ホットミルクを片手に色んなことを話した。
訓練がこうだった。隊の子がこうだった。大学ではどうなのか。みんながこうしてた。
「・・・あなたは、一番弟子ですよ」
言葉を知らなかったのが、単語を覚え、文法を覚え、文字を覚え、口調まで真似し始めた。
アルファベットから筆記体まで、一から叩き込んだ。
こうしてみると、感慨深いものが込み上げてくる。
その日は、一日中本を読んでいた。
◇
次の日はひとらんらんが来た。
「久しぶり。」
ぽつり、と言葉を吐き出す。
服についた動物の毛を払いながら、近くの丸椅子に腰を下ろした。
「みんな寂しそうだよ。特にイフリート。」
兎や犬、馬など色々な動物をひとらんらんが育てていることは周知の事実。
特に拾われてきたばかりのイフリートは主人に会えずどこか落ち着きをなくしていた。
いつもみたいに、畑荒らして、逃げ回る元気な顔が見たい。
そう口にしようとして、また起きた後にやられたらたまったもんじゃない、とすんでで飲み込んだ。
◇
翌日はコネシマだった。
すん、と落ち着いたような、何を考えているのかわからない無表情で、そのまま冷たい体を見下ろす。
「・・・・はよ、帰ってきいや」
不器用なコネシマは、そういうだけで精一杯だった。
あれもまた、拾われてきたばかりの時。
大先生が拾ったのだし自分で育てると言い始めたとき、子供と普段関わらない故、しばらく怖がられたのを覚えている。
「おおきなったなあ」
また随分と、ご立派で。
のうのうと眠るその姿に、いっそ腹が立ったら楽なのに、と思った。
◇
次の日は兄さんだった。
ほぼ医務室にいて毎日容態をチェックしているしんぺい神も、この日は面会に一緒に行った。
「・・・ねとる。」
「だって起きないもん。」
ストールを風に靡かせて、兄さんはあっけらかんとそう言った。
どこかで信じきれないところがあったのだろう。
あんなに内ゲバ大好き、悪戯っ子なゾムが、静かに眠っている、だなんて。
「ほんとぐっすりだよ。・・・いつ、目を覚ましてもおかしくないぐらい、容態は安定してるんだけどね」
「そっかぁ。もしかしたら、起きたくないのかもなあ」
何年ぶりかに見たその顔は、真っ白で、でも美しかった。
「早く起きろよ、眠り姫」
◇
その次の日は、グルッペンが来た。
かつかつ、とヒールの音を立ててベットの側まで歩み寄る。
「・・・お前、随分と弱っちく見えるなあ」
わしゃっと思いっきり頭を撫でようとして、そこにある包帯に手を引っ込めた。
─────まさか、こんなことになるとはなあ。
グルッペンは一人、そう考えた。
昔っから、無傷で完璧の任務をこなしたと思ったら、いきなり怪我だらけで現れる。
猫のようなやつだと思った。
死に際に姿を暗ます、とはよく言ったものだと思う。
同時に犬のようでもある。
一度忠誠を誓えば、自分の身を粉にしてでも約束を守り抜く。
そんなやつだ。
「・・・・・・総統命令だ。・・・・・起きろ、ゾム。」
なんて。
口にしたって、彼はもう笑ってくれないのかもしれない。
そう思って、ここを去ろうと後ろを向いた。
「・・・・・・は、いる・・・・ぐる、ぺん」
小さくて、掻き消えそうな声。
「っ、・・・・・・!!」
「・・・・・・ばぁ、か。しなへん、よ」
うっすらと開いた、薄い唇がそう言った。
確かに、そう、言ったのだ。
「・・・・・っ、・・・おかえり・・・!!」
「んへへ。・・・・・、ただいま」
前言撤回。
こいつは、犬でも猫でもなく、狼のようだ。
◇
ゾムが幹部としての活動に復活した。
その情報は瞬く間に軍に広がり、彼に命を助けられた者、憧れを抱いた者、ゾムの隊に所属していた者などがゾムに押し寄せる自体となったりもした。
わーわーと騒ぎながら一般兵士から逃げるゾムを見て、しがない一般兵がぽつりと言葉を漏らした。
「おっかしいなあ。俺見たんだよ、ゾム様の幽霊が笑ってるの。清々しいぐらい笑顔でさ、『やっと死ねた』って。」
◇
「ハイル・グルッペン」って言って目を覚ますzmさんと、犬よりの猫よりの狼みたいなzmさんと、みんなに愛されてるzmさんと、過去ばちくそ重zmさん全てを書こうとしたらこうなった。
知ると面白いかも知れない背景設定↓
zmさんは元々スラム生まれで実験体として研究所で拾われ、そこで人外の戦闘能力とか頭脳を手に入れる。
一方、違法な研究をしてる組織をぶっ潰しにwrwrdがやってくる。
ボコられた建物の中で、まだ幼いzmをutが発見!
みんなに愛されて育ちましたとさ、ちゃんちゃん(?)
私の書く軍パロは大体この設定です。
pixivで見るwrwrdの小説も大体この設定です。n番煎じってやつですね。
最後のセリフについてはぜひいろいろ考えてみて下さい
コメント
4件

後味最高ですね。 続き楽しみです
ゾ、ゾムさん? そんな事言ってたん?笑💦 続き楽しみ✨️(´。✪ω✪。 ` )