テラーノベル
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これまで、隠し通してきたというのに。
「は?な、なんで、お前(大英帝国)が此処にいんだよ」
目を大きく見開いてアメリカさんは、閉じない口をパクパクさせていました。
「「…お父様……」」
蚊の鳴くような声でオーストラリアさんとカナダさんの声が重なりました。
「姉、さん………。ヴィシー…………。?」
フランスさんは口元を押さえて「嘘だ」と何度も繰り返していました。
因みに、フランスさんの姉は、フランス王国さんです。
「何故、貴方方が此処に。私の事、お兄様はお嫌いでしたでしょう?何故」
主様は、いつものポーカーフェイスで、紳士を演じきれていませんでした。動揺と困惑と驚きと、そんな感情が手に取るように分かる程、主様の海のように深い青色の瞳は揺れていました。
「嫌い?なわけ無いだろう」
今度は、旦那様が「何を言っているんだ?」と言わんばかりの顔で、そう返しました。
この方は不器用過ぎるのです。
自身の恋愛も、弟への愛情も、まともに表現できず勘違いをされるという。私はもう、呆れを通り越して、諦めてますよ。
「ストレスと微かな怒りで偏頭痛が、」
「炎吉兄さん大丈夫?」
額に手を当てていると私の独り言を聞いたのか炎加が心配そうに近寄ってきた。
「いえ、お気になさらず」
すぐにいつもの笑顔を見せたから安心したようです。良かった。
「英厳兄様は、来ていないんですね」
何処か遠くを見つめながら炎利はそうボヤいた。
安堵しているのでしょうか。喜んでいるのでしょうか。だとしたら、少し悲しいですね。
「にしても、13植民地はいつも通り元気そうだな」
「は?」
少し目を細めて旦那様のルビーの瞳が鋭くアメリカさんを見ていました。
植民地時代の名前を言われて、アメリカさんは困惑しているようです。
本当に、我が主ながら、馬鹿だな。
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