ダメだ。
そう思ったのはなぜか?簡単な話だ。
まあ、経緯を説明しよう。
「センパイには、人を辞めてもらいます。」
「おkおk…ゑゑゑ?」
今こいつの言ったことが理解できなかった。
だって人をやめろって言われてんだぞ?
今朝の一件からだいぶ頭が良くなったと思ったが…そうでもなかったようだ。
「人を…辞める?」
「はい、人を辞めます。」
「それはどう言ったブラックジョークでござんすか?先生…」
「ジョークじゃ無いんです。」
珍しく切羽詰まった顔をしている。
「…だって、自分も人じゃ無いんですから…」
「…………はぁ?」
ヒトジャナイ。
人じゃ無いってなんだ?
そもそも人ってなんだっけ?
あぁ…何もわからない…
我炎は…人じゃ…無い…
「……ククク…」
「…え?」
「あははははははは…」
「そうかそうか…人じゃねぇのか…」
我炎が困惑した表情をしている。
そりゃそうだ。笑ってるんだし。
「そんなことすぐ言ってくれてよかったんだぜ?」
「今みたいに笑いまくってただろうよ…ふふ…」
無性に笑えるんだ。多分面白いことだと思わないと、
思っておかないと、崩れそうだったから。
脳が勝手にそうしたんだ。
「そう、勝手に。」
「…センパイ?」
「いや、なんでも無い。」
「つまりは、俺も人じゃねぇんだよな?」
「………はい。」
「…………」
一発デコピンを入れる。
「あだぁっ⁉︎」
「…はぁ〜〜〜〜〜〜………」
「テンションが逆転してるぜ?」
「こんな力を持ったんだ。笑えるだろ?」
だって、そう思わないとやってけない。
「………センパイ…」
「先輩だが?」
「…ありがとです…」
目を隠してる。泣きそうなんだな。
わかるぞ後輩よおおおおおおおお
俺もめっちゃ泣きそう!
めちゃ泣きたい!
まだ左目痛いんだもん!
「ふふふ…」
「ようやく笑ったな。」
「じゃあ!早速いきましょう!」
「…ん?」
行く?
「わかんないでしょうから、説明しますね!」
「異空間です!」
「なるほど…異空間…ゑゑゑ?」
ってなことがあったわけだ。
異空間で、なんで落ち込むかと言うと…
ここめちゃくちゃぐにゃぐにゃしてて気持ち悪いんだよ!
吐きそう…やばい…
青とか赤とか紫とか緑とか…ぐにゃぐにゃ歪んでる…
歪みまくってる…
「センパイが力の操作に慣れれば大丈夫です!」
って言うけど…慣れないからこうなってんだよ…
「センパイ!こっちです!」
「はい…ちょっと待ってくれませんか…」
やっとの思いでついたところには、一つの障子があった。
(なんだこれ?)
普通そう思うだろ?
ここにくる一本道の突き当たりに障子?
そんなこと…あるわけない…
やばい、感覚が麻痺ってる。
何がやばいかもわからない。
「センパイ!手出してください!」
「あと目、瞑ってください!」
「ゴキブリ乗せたりすんなよ…」
「大丈夫です!ルリボシカミキリとかにしますから!」
「虫全般ダメなんだよ…」
そう言って俺は手を出す。
何かが乗った感覚がある。
なんだこれ。
変な感覚だな…
目、あけていいですよ。と聞こえるので、目を開ける。
虫じゃないように祈りながら。
「………?」
なんだこれ。
まじで何これ。
…紙だ。
ただの紙だ。
俺ん家のすぐ近くにあるスーパーにあるA4サイズの紙の感覚と似てる紙だ。
「それを…食べてください!」
「調味料とかある?マヨネーズとか…」
「いえ!そのまま食べてください!」
「紙単体は食うのがきついって…」
「やればできます!」
「この世には根性でできることとできないことがあるんだ。後輩よ。」
「いいから食べてください!」
そう言って俺の口に紙を突っ込んでくる。
「もごぉっ⁉︎」
しばらくモゴモゴ言いながら飲み込んだ。
「はぁ…あ“…」
その瞬間、ものすごい吐き気に襲われた。
「う“っ…⁉︎」
「お前…何食わせたんだよ…」
「媚薬か…⁉︎媚薬なのか…⁉︎エロ同人みたいな目に俺を合わせる気か…?」
「多分媚薬は吐き気とかないです。」
そんなことを言ってたら、何かを吐き出してしまった。
「お“ぇぇっ!?」
「ぜぇ…はぁ……」
「お見事です!センパイ!」
「俺は初めてお前に殺意が湧いたぞ…」
そう言って下を見た。
俺が吐いたものは…
鳥だった。
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