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“都”はいつの時代も、中心にあると思っている。
だが、その中心が腐り始めたとき――
一番先に蠢くのは、「周辺」の者たちだ。
朝靄に包まれた、朱塗りの広間。
艶やかな着物に身を包んだ人物が、碁石を並べるように各地の地図を敷き、指でなぞる。雅で気高く、どこか冷酷な気配。
「……この“列島狂乱”の中、東は泥と炎に焼かれておる。今こそ、真なる“文化”の灯が、再びこの都を中心に戻る時――」
着物の袖が音もなく動き、
黒い扇子が静かに開かれる。
「奈良、和歌山。あの二つ――おとなしく入るか、否か。」
座布団に丁寧に座り、にこやかな笑みで相槌を打つ青年。どこか胡散臭い笑顔と、過剰なへりくだり。
滋賀 : おお、京都はん……ご慧眼どすえぇ……!おどれ様が動けば、近畿はまとまりまっしゃろ!奈良なんか、仏の顔が四度まで頭下げまっせ!和歌山? あんなとこ、ペロリどすわ!
(――また始まったわ、上から目線の女王ごっこが…お前が何したっちゅうねん、胡座かいてるだけやろが。つーか、喋りが長ぇんだよ……あ〜はいはいすごいですね〜♪けど、まぁ……今は逆らうんは得策やないか。利用してやらな損やわ……いつか、引きずり下ろしたる)
扇子を閉じ、舞台に立つような仕草で命じる。
京都:「奈良には“調和”を。和歌山には“守り”を。文を送れ。“都の御名において”――共に美しき近畿を形作らん、と。」
傍らにいた武者たちが、即座に動き出す。
京都は動いた。
かつての栄光を取り戻すため、今、“旧都連邦”の再構築に乗り出す。
だがその根元に、黒く蠢く者がひとり。
滋賀:「いやぁ〜京都はんのもとで動けるん、ほんまに幸せどすぅ♪」
滋賀:(せやけど……最後に笑うんは、滋賀やで。“湖の底”には、まだ誰も知らんもんが沈んでんねん。)