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「どう? こっちもいい感じでしょ?」
今度はガーデンパーティーの新しい会場へと連れて来て透子に聞く。
「これも三輪さんメインでやってくれたんだよね。あと北見さんもいろいろと相談乗ってもらった」
「仕事もあったのにこんなのいつの間に・・・」
「それはさ。ホラうちの会社だからなんとでも。三輪さんも透子の為ならってホント頑張ってくれたんだよね」
「そっか・・・。嬉しい」
このガーデンパーティーの飾りつけもアイデアも三輪さんたちと相談して、ホントに素敵な場所になって。
今日も朝早くからオレたちより前にこの場所に来てくれて、飾りつけなどたくさん準備してくれた。
「透子ちゃん」
「ハルくん!」
そして弟のハルが透子に声をかける。
「透子ちゃん。おめでとう」
「ハルくん。ありがとう。今日のこと私本人が知らなかったから、家族のハルくんにも伝えられてなくて。なのに、まさかハルくんもお母さんもいてビックリしたよ」
「うん。今日は皆で透子ちゃんへのサプライズだったからさ」
人前式の時、二人が参列していたのを見つけて、驚いたと同時に涙をうっすら浮かべて幸せそうにしていた透子。
ごめんね、透子。何も伝えてあげられなくて。
でも、すべて透子に一つずつ皆からの祝福を幸せを感じてほしかったからなんだ。
「透子。ここに用意されてる料理。ハルと透子のお義母さんが一緒に準備してくれたんだ」
「二人でこんなに!?」
そしてそのパーティーに用意された料理を見て驚く透子。
うん、オレも驚いた。
確かにたくさんの料理を二人で用意してくれるとは聞いてたけど、二人だけで準備するって言ってたから、実際ここまでだとは思ってなかった。
やっぱりすごいな二人共。
ブッフェスタイルでのこのオシャレな料理も、今、世間で人気あるハルなだけあるな。
「透子ちゃんを自分の料理でお祝い出来るなんて、そんな嬉しいことないよね」
「そっか~。ハルくんとお母さんで作ってくれたんだ~」
この話をハルにした時も、透子の為に料理でお祝い出来ることをホントにハルも喜んでくれていて。
改めて透子は素敵な家族の中で育ってきたんだなと温かい気持ちになった。
「お母さんは?」
「樹さんのお義母さんと楽しそうに話してるよ。昔の思い出話に盛り上がってるみたい」
そうハルが伝えた方向を見ると、母さんと透子のお義母さんが楽しそうに話している姿が見える。
そうだよな。
二人はオレと透子が出会う前から顔見知りだったんだもんな。
今、時を経て、二人が話している姿を見て、きっと昔もこんな感じだったんだろうなと、そんなことまで知れてちょっと嬉しくなる。
「お店どう? 順調?」
「うん。ようやく父さんと母さんの店を継ぐこと出来たから、これからは父さんのこの味をもっとたくさんの人に広めなきゃね」
透子が尋ねた言葉に、嬉しそうに答えるハル。
あの店でしばらく修行した後、自信をつけて念願だった実家の店を継ぐことになった。
「最近よくハルくんSNSや雑誌で見るよ」
オレから見ても透子に似て美形であるハルは、あっという間に有名人になって。
それはもちろんその外見だけではなく、あの店で長く働いていたおかげで、かなりの腕前なのは間違いないからなんだけど。
それでもハルは実家の店の今までのやり方を変えずにそのまま守っていきたいと言って、前の店で働いてた当時の手の凝った料理も少し入れつつ、だけど変わらない今までの店の味も守って、リーズナブルなままでずっと料理を提供している。
そういう自分以上に誰かを優先してそれを譲らないところは、透子そっくり。
きっとこの家系は誰かを幸せにしたいとか誰かを笑顔にしたいっていう心を持っている人ばっかりなんだろうな。
「話題になってたくさんお店に食べに来てもらえるならオレはそれで嬉しいよ」
「うん。お父さんとお母さんとハルくんの味。これからもたくさんの人に食べてもらって幸せになってほしい」
ほら。二人揃ってやっぱりそんなことを言う。
なんて温かい姉弟なんだろ。
オレは一人っ子でそういう感覚はよくわからないけど、だけどお互いを想い合って支え合っていく、誰よりも信じ合える絆を持っている二人の関係は、正直羨ましい。
「じゃあ、ちょっとオレ他の料理も準備してくるね」
「ごめんね。ゆっくりしてもらいたいのに」
「気にしないで。オレも今日は透子ちゃんのようにオレの料理で皆に幸せになってもらえたら嬉しいんだからさ。透子ちゃんもちゃんと食べてね!」
「わかった。ありがと、ハルくん」
ハルも透子と年齢離れてるのに、時に年上みたいに心配してるんだよな。
確かに優しすぎる姉で、弟的にはいろいろ心配になるよな。
オレも弟なら同じように心配になってるかも(笑)
「樹。ハルくんたちにも声かけてくれてたんだね」
「もちろん。ハルは声かけた時すごく喜んでくれてさ。最近店も人気で忙しいけど、今日は臨時休業にしてくれた。透子の為ならって」
「嬉しいよね。家族にもこんな風にお祝いしてもらえるなんて。ありがとう樹」
透子の家族はホントにずっと深い温かい優しい絆でずっと結ばれていて。
それはうちになかったずっと温かい絆。
それがずっと存在してたからこそ、透子はこんなにも素敵な女性で。
改めてそんな透子と出会えて幸せだと、そんな二人を見つめながら心の中で強くまた実感した。