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前を向きたい。

どんなに辛くても苦しくても前を向いていたい。下を向くと自然と涙が溢れでちゃうから。心配をかけたくない。いや、それ以上に「俺がみんなの負担になってはいけない」と思ってしまう。みんな良い子達だ。もちろんあの人も。

気遣いができるナムジュナ。場を和ますジェイホープ。心配性のジミナ。誰にでも優しくできるテヒョナ。観察力が強いジョングガ。それをすべて兼ね備えたジニヒョン。一人一人の良さがある。そんなグループだった。俺が居なければ、もっと上まで行けてたんだろうか。そう考えてしまう。

きっと俺も役に立てている。と言い聞かせ毎日欠かさず歌詞を書く。下手でも良い。良い考えが浮かんだら、すぐにそれを書き足す。駄目だと思ったら消す。俺なりの価値観で。俺なりの『良い』『悪い』で。

でもそれじゃ駄目だと気づいたから。俺なりの音楽は受け入れてもらえない。この音もあの歌詞も誰の心にも響かない。みんなの期待に応えなきゃ。自分の趣味なんて良さだなんてどうでも良い。聞いた人が良いなと思う曲を作らなきゃ。だから俺は、


俺の音を捨てた____________________________


誰にも受け入れてもらえないのだったら受け入れてもらえる曲を作れば良い。

『それがアイドルだろ。』

どうしてこの道に進んだんだろう。自分の心を踏みにじられるようなこの世界を。理解してもらえない。その為に自分が変わらなきゃいけない?受け入れてもらうまで足掻き続けるのは自分?どんな音なら評価してもらえる?

正解を与えてくれる人なんていない。また今日も一人になる。


🐹「ユンギヤ…居る?」

🐱「……なん、ですか…」

🐹「どうしたの?ヒョンが相談乗るよ?」

🐱「……ジニヒョンには分かりませんよ…」

🐹「何が?」

🐱「この気持ちの正解なんて……ジニヒョンに分かるはずがないんです。」



🐹「正解なんて分からなくて良いんだよ。その答えを探していくのが人生、でしょう?」

🐹「僕はユンギヤの歌、好きだよ?だってユンギヤが作った歌だもん。嫌いになるはずない。」


🐱「そんな、甘ったるい考えじゃいつまで経っても底辺のままです!!人気がでないと…でないと…アイツらに夢を見せてあげられないじゃないですか!!!!」

🐹「夢なんか見せなくて良いよ。」

🐱「よく、よくそんなことが言えますねぇ!!貴方は兄でしょう!!アイツらはまだ小さい子どもなんですよ!!俺達が引っ張ってやらないとっ、」

🐹「…その言葉、そっくりそのままユンギヤにお返しするよ。」

🐱「………ヘ?」

🐹「確かにみんなもう二十歳以上。でもね、僕にとってはユンギヤも皆も大切な弟だよ。ユンギヤばかりが背負わなくて良い。上なんか目指さなくて良い。」

🐱「もう黙ってください!!正直、ヒョンの言葉なんて全く響かないんですよ!!」



🐱「あ……」

🐹「……………」

🐱「あのっ、ヒョン、今のはっ、違くて、」

🐹「あったり前じゃん。僕は作曲家じゃないもん。」

🐱「………えっ?」

🐹「僕はユンギヤみたいに才能はない。元気をあげる言葉はかけられない。でもユンギヤは違うよ。響く言葉も優しい言葉もユンギヤらしい言葉をかけられる。」


🐹「だって、作曲家でしょ?」



そっか、俺の言葉で俺の音で話せばきっと伝わる。人それぞれ違うから、バカにするやつがいたら良いと思うやつもいる。そっか、だから「みんな違ってみんな良い。」それはこの人の価値観だから。俺がとやかく言えることじゃない。でもこれが俺の価値観なら俺の価値観を理解できないやつは、ほっておけば良い。いちいち気にする必要はない。だってそうだろ?これは、俺の歌なんだから。


🐱「…一応いっときますけどね、俺は作曲家じゃなくてアイドルですから!」

🐹「あっ、確かに。」

🐱「……………………………」

🐹「……おいで、ユンギヤ。」


ぎゅっとヒョンに抱きつく。俺の唯一のヒョン。あぁ、やっぱり、暖かい。


『よく頑張ったねぇ。』


頬に一粒の水滴がつたう。『頑張れ』じゃなくて『頑張ったね』。自分の努力を成果をはじめて認めてもらえた気がした。ヒョンの背中に手を回す。大きくて逞しい背中。だから皆着いていきたくなる。でもこの背中にも沢山の不安が荷物となって乗っている。いつしか押し潰されてしまいそうなぐらい。今度は俺が救ってあげる番。


弟をなめないでくださいね_______________________


______________________________________



🐱「ヒョン、新しい歌詞を作ってみたんです。」

🐹「おぉ!凄いなぁ!ユンギヤは。どんな曲?」

🐱「えっ?俺が朗読するんですか…?」

🐹「もちろん!!ほら!早く!」

🐱「…はぁ。分かりましたよ。えぇーと、題名は……」


『「下を向く」です。』


下を向く 終わり


🐰「ユンギヒョン!僕に謝ってくださいよぉ!!💢💢」

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