彗華 様(ちゃん)からのご依頼2
及川徹×初デート
start
「おまたせ」
「やっほー」
待ち合わせ場所である公園に着く。 振り返った彼は普段のように陽気に笑った。
今日は待ちに待った彼との初デート。普段学校で制服姿かジャージ姿の彼しか見たことがなかったから、私服姿は初めて見た。
「……」
「……?」
と、彼が私をじっと見つめる。
「ど、どうしたの?」
「あ、いや…。なんでもないよ!行こっか 」
「う、うん?」
目を散らかせたかと思うと、手を差し出してくる彼。恐る恐る手を重ねるとキュッと絡められた。
電車に乗って駅と繋がったショッピングモールに入る。向かう先は映画館だ。
「ポップコーン大きいの買って一緒に食べようよ。ジュースは何がいい?」
「うーん、メロンソーダかコーラで迷うんだよねぇ」
「じゃあ両方買ってシェアしよ」
無駄にシェアしたがるな、なんて思いながらも提案には賛成なので頷く。慣れた手つきにやっぱり女の子と映画館とか行くのかなぁ、なんて。
「?、どうしたの?」
「う、ううん。そろそろチケット買おっか」
「そうだね」
徹が予約してくれたチケットを発券機で発行して、アナウンスがあるまでソファで待つことにした。
「緊張してる?」
「ま、まあ…。そりゃ男の子と出かけるなんて初めて…だし」
「俺も」
「えっ」
驚いて彼に目を向けると、彼の耳は赤くなっていた。
「てっきり女の子慣れしてるのかと」
「まあ慣れてはいるけど〜、痛っ!!」
軽く背中を叩けば大袈裟なほど痛がる。こういうちょっとウザイところも嫌いじゃない。
「女の子には慣れてるけど、好きになったのは初めてだし。それにさっきは言えなかったけど…」
と、私を上から下までじっくりと見てから、照れ笑いのように頬を赤らめて微笑んだ。
「私服、すごい可愛い」
「!!」
いくら女の子慣れしていても、甘い言葉を言い慣れていても、私はそれに当てはまらないらしい。顔が熱くなるのを感じる。それに顔が良い。近くで見ると尚更。なんかムカつく。
「徹もいつにも増してカッコイイよ」
「!?」
そう言い返してやると、プシューと顔を真っ赤にする彼。してやったり。
と、館内にアナウンスが流れる。私達が見る予定の映画がまもなく上映されると。
「じゃ、そろそろ行こ」
「負けました…」
敗北宣言をした彼に鼻を鳴らしながら、私は彼の手をとって立ち上がった。
コメント
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彗華ちゃん、遅くなってごめんね🥲💦