TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

[染み付いた猫の習性]

涼架side







僕が若井の家に転がり込んで数日が経った。




共同生活を送ることになったのだが、僕にとっては全てが新鮮で、そして戸惑いの連続だった





人間になって初めて食べた若井の手料理は、どれもこれも美味しかった。




特に魚料理が出たときは、僕は興奮を抑えきれなかった。





「うまっ…!!」


つい本音が出てしまった僕に、若井は満足そうに微笑んだ。






「だろ?俺の得意料理なんだ」



しかし、食事が終わるやいなや、涼架はテーブルの下にある若井の足に、思わず自分の頭を

こすりつけそうになった。




猫だった頃の習性が、反射的に出てしまったのだ。





「…っと!」



僕はギリギリで動きを止め、何でもないような顔で立ち上がった。






「…ごちそうさま!美味しかった!」



若井は不思議そうな顔をしたが、特に何も言わなかった。






僕は冷や汗をかきながら、自分の **「猫の習性」**を強く意識するようになった。









次の日の朝。





若井が先に起きて、リビングでギターを弾いている。






僕は階段を降りながら、その音色に耳を傾けていた。








若井は、涼架が猫だった時に聴いたメロディーを少しだけアレンジして弾いているようだった







僕は、若井のそばで聴きたくてたまらなかった






彼は、まだ僕の存在に気づいていない。







(…よし、今なら!)




僕は、若井に気づかれないよう、音を立てずに階段を降りると若井の背後にそっと近づいていった。






そして、脅かさないように、若井の肩にそっと飛び乗ろうとした。







しかし、足は若井の肩に届かない。






僕はバランスを崩し、**「にゃっ!」**と、猫のような短い悲鳴をあげながら、若井の背中にしがみついてしまった。







「うわっ、なんだ!?」

若井は驚いてギターの演奏を止め、振り返った






僕は若井の背中にしがみついたまま、固まってしまった。







「お、おい、どうしたんだよ…?」





若井の顔には、困惑とほんの少しの笑いが浮かんでいる。







僕はパニックになりながら、何とか言葉を絞り出した。






「…その、若井が、高い場所にいて…!危ないかなって!」


若井は首を傾げた。







「高い場所?俺、床に座ってるけど…」





僕は、若井の背中から慌てて降り、両手をぶんぶんと振った。







「ち、違う、そうじゃなくて!…その、ほら、朝ごはん、まだだよね!」





無理矢理話題を変える涼架に、若井は不思議そうな顔をしながらも、笑い出した。







「お前、なんか変なの。…でも、まぁいいや。

朝ごはん作ろうか」






若井はそう言って立ち上がり、キッチンに向かっていった。







僕は、その場に崩れ落ちそうになりながら、ホッと胸を撫で下ろした。





(危ない…!あんなこと、もう二度としないようにしないと…!)



僕は自分の両腕を強く握りしめた。





人間になった喜びの、猫の習性を消しきれない葛藤。





その狭間で、僕の秘密の生活は始まったばかりだった。











次回予告

[涼架のトラウマ]

next→❤︎500

『魔法が解けるその日まで』

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

732

コメント

1

ユーザー

バレてはなかったとしてもなんとなくは勘づかれてそう…

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚