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 彼の手にはいつも懐中時計がある。そのくせ私のお茶会にはいつも遅刻する。他のことは完璧だし、性格だってとっても真面目なのに、不思議。

 そして、今日も遅刻確定だ。約束の時間を過ぎた時計を見上げ、溜め息をつく。

「おーい!」

 その直後、遠くから待ち人の声がした。走ってきた彼は息を整えつつ聞いてくる。

「今日はギリギリセーフ?」

「アウトよ」

 上の時計を指差すと、彼は首をかしげた。

「おかしいな?こっちの時計では確かに――ありゃ?」

「どうしたの?」

「五分遅れてた……」

 落胆する彼に私は言う。

「その時計、五分位早くずらしてもらった方が良いわね」

「確かにそうかも。余裕があった方が良いもんね」

 納得している彼に、この際だからと尋ねてみることにした。

「どうして私のお茶会にはいつも遅刻するの?」

「それが、その……楽しみ過ぎて」

「普通は逆じゃないの?」

 楽しみだと眠れなかったりして、普段より早く来れるんじゃないかしら。

「それは、いつもより念入りに支度するから」

「そういうことだったのね」

 彼がそんなにお茶会が大好きだったなんて思わなかった。私もそうだから嬉しい。

「これからもたくさんお茶会しましょうね!」

「えっ……う、うん!」

 反応が少し戸惑っているように見えたけれど、きっと気のせいよね。

五分でソウゾウした物語※一旦更新停止中

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らぶ

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