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狩り手

31 - 第31話 嘘か真か

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2024年12月17日

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狩り手たちとの奇妙な牛丼タイムの後、狩人は店を後にした。だが、彼の中にはある満足感が漂っていた。

「…やっぱり、俺は天才だな。」

虚言癖の裏に隠された「異能」が、彼をそう自信満々にさせていた。

狩人の異能はシンプルだが厄介だ。

彼が放つ嘘は、自分が「絶対に信じ込ませられる」と確信したときのみ現実になる。

ある村で「この村の井戸には毒が混ぜられている」と嘘をついた狩人。彼は村人全員を信じ込ませ、結果的に井戸水は本当に毒で満たされた。

「俺の嘘は、信じるやつがいる限り最強なんだ。」

それが彼の確信だった。

狩り手たちが牛丼屋を後にしてしばらくすると、南無が自転車を漕ぎながらぽつりと呟いた。

「なんか、あいつのことが気に食わないんだよな。」

「南無さん、いつも誰かを気に食わないって言ってますけど。」

石動が苦笑いしながら返す。

「でも、今回は本気だ。」

南無の表情は真剣だった。

狩り手たちが集まる本部で、港が狩人の素性について話し出した。

「確かに、ただの虚言癖に見えるけど、あの男の話には奇妙な一貫性がある。」

「俺たちの情報を狙っていたことは確かだ。」

渋谷が不機嫌そうに腕を組む。

その時、法師がゆっくりと口を開いた。

「狩人は、ただの嘘つきではありません。彼の言葉には、現実を歪める力があります。」

「現実を…歪める?」

石動が驚いて訊き返す。

「ええ。ただし、それには条件がある。」

法師は琵琶を軽く撫でながら続けた。

「彼自身が心の底から、相手を騙せると確信している場合に限り、その嘘は現実となるのです。」

一方、狩人は人気のない路地裏で笑みを浮かべていた。

「さて、次はどんな嘘をついてやるかな。」

ポケットの中には、先ほどの牛丼屋で盗んだ狩り手たちの個人情報があった。

「狩り手の中に裏切り者がいる…ってのも、試してみる価値はあるかもな。」

狩人の異能は、「嘘」を現実に変える。

その力を使い、彼は狩り手たちの中に不信感を芽生えさせ、分裂を狙っていた。

翌日、狩人は再び狩り手の前に姿を現した。

「おい、狩り手の中に裏切り者がいるって知ってるか?」

その言葉に場の空気が凍りつく。

「なんだと?」

渋谷が険しい顔で狩人に詰め寄る。

「いやいや、俺が嘘をついてると思ってるのか?まあ、証明してやるさ。」

狩人は自信満々の笑みを浮かべる。

だが、そこに南無が鋭い声を上げた。

「信じるな!」

南無の言葉に、全員が一瞬動きを止めた。

「俺たちがあいつの嘘を信じたら、それが現実になる。絶対に乗るな!」

南無は幼い体からは想像もつかないような迫力で叫んだ。

狩人は一瞬たじろいだ。

「くっ…なんで俺の力を知ってるんだ?」

だが、法師が静かに言葉を紡ぐ。

「君の嘘は確かに恐ろしい。しかし、私たちが真実を見失わない限り、君の力は無力だ。」

狩人は悔しそうに舌打ちをすると、煙玉を投げて姿を消した。

「また厄介な奴が現れたな。」

渋谷がぼそりと呟く。

「でも、これで終わりじゃない。」

石動が拳を握りしめた。

「あいつはきっと、もっと大きな嘘をついてくる。」

「嘘をつかせないためには、俺たちが真実を見抜き続けるしかないな。」

南無はそう言いながら、再び自転車にまたがった。

「次に会ったら、絶対に潰す。」

その言葉を最後に、狩り手たちは次なる戦いに備えた。

狩人の嘘と真実の戦いは、これからが本番だった――。


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