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狩人の一日は、日の出とともに始まる。
彼の住む場所は、郊外の古びた洋館。外観は放置された廃屋のようだが、中は意外にも整然としている。
「よし、まずは俺の一日の始まりだ。」
彼は鏡の前に立ち、自信満々の笑みを作る。
「今日も最高の嘘をついてやる。」
狩人は起きるとまず、体をほぐすためのストレッチを始める。
「大事なのは健康だ。嘘をつくにも体力が必要だからな。」
しかし、ストレッチ中に誰にともなく嘘をつく習性が彼にはあった。
「俺は昔、オリンピック選手だったんだよな…」
自分にさえ嘘をつきながら、彼は何事もなかったかのように屈伸を続ける。
その後は日記を書くのが日課だ。
もちろん内容は全て嘘。
「昨日は、伝説の狩り手を倒した。あいつら、俺には敵わない。」
彼の中では、自分が世界の中心だ。
朝食の準備も彼のルーティンだ。
キッチンでエプロンを着け、フライパンを軽やかに振る。メニューはいつも決まっている――卵焼きとトースト、そしてブラックコーヒー。
「これが最強の頭脳を支える食事だ。」
そう呟きながら、彼は焼きすぎた卵焼きを皿に移す。
食事中は新聞を読むふりをするが、実際には中身は見ていない。
「今日も世の中、俺が支配しているみたいだな。」
自分の作り出した虚構の世界を心の中で楽しんでいる。
朝食が終わると、彼はデスクに向かい「嘘の練習」を始める。
ノートに書き連ねるのは、他人を騙すための設定やストーリーだ。
「俺は狩り手の一員だ」
「実は世界を救った英雄だ」
「狩り手の中に裏切り者がいる」
ノートを見ながら、どれが現実になる可能性が高いかを考えるのが彼の仕事だった。
「嘘ってのは、真実と紙一重なんだよ。」
彼はそう自分に言い聞かせながら、頭をひねる。
ルーティンを終えた後、彼は街に出かける。
「今日も嘘で世の中をひっくり返してやる。」
自信満々に宣言しながら、狩人はコートの襟を立てる。
途中で、彼は路地裏で寝ている野良猫に向かって話しかけた。
「実は俺、お前の飼い主なんだぜ。」
もちろん猫には通じないが、そんな嘘をつくことも彼の日常の一部だ。
夕方、狩人は家に戻ると、再び日記を取り出す。
「今日は狩り手に近づけた。嘘の種を蒔くのは上出来だ。」
彼は満足げに日記を閉じると、自作の特製カクテルを作り始める。
「この味が最高だな。さすがバーテンダーとしても一流の俺。」
当然、彼がバーテンダーだったことなどない。ただの虚言だ。
寝る前、狩人は鏡の前に立ち、今日一日でついた嘘を復唱する。
「俺は最強だ。」
「狩り手は全員、俺の手のひらの上だ。」
「明日も、最高の嘘をついてやる。」
そして、満足げにベッドに潜り込むと、狩人はすぐに眠りにつく。
彼の一日は、嘘で始まり、嘘で終わる。
その「嘘」にどこまでの現実が伴うのかは、彼自身の確信次第だ。
だが、そんな狩人の中にもほんの一瞬、寂しさが顔をのぞかせる。
「…本当に俺を信じてくれるやつなんて、いるのか?」