テラーノベル
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「ふふっ、復讐のこの時をずっと待ち侘びてきた…私の事を穢れ者として蔑んできた罰を今こそ、下してやるわ‥…はははっ‥!!」
リーシアは高らかな微笑を溢した。本来の力が全て戻り、覚醒状態にある彼女はもう誰にも止められやしないだろう、少なくとも『彼』以外の者達は……。
「リーシア……怒りと恨みの感情が強くなってる、まさか本当に復讐を果たそうとしてるの……?」
「今はリーシアの事を気にしている暇などない、我々はこの者達の殲滅に専念した方が良い」マーリンにそう言われて、ディアンヌは不安な気持ちを抱えながらも、魔神族達との闘いに立ち向かう。
メリオダスらが対抗し、闘っている間にもリーシアはこれまでの怨みと憤怒の感情が湧き上がるがままに復讐の猛攻を、人々に向け始めていた。
「まずい‥‥街にいる人々に矛先を向けてる‥、どうにかして彼女を止めないと…!!」
「止めるって言ったって、どうすんだよ、彼奴が生きて戻って来なきゃどうしようも出来ねえーんだろ〜?」
「それは‥……そうだけど……」
迷いと不安を抱えながらも、メリオダスらは立ち向かい続ける。もう迷ってる時間などないに等しいこの状況。彼女を救い出せる救世主の帰還を信じて悪戦苦闘ながらも、この国の未来の為に、何より悲しみに支配され、今となっては敵となって現れてしまったリーシアを救い出為に。「この量はかなり骨が折れそうだ、至急増援を…!」
「承知いたしました‥!」
「くっ…!!、魔神に加え厄介な魔力持ちの奴らがぞろぞろと居る……!早くリーシアのとこに向かわなきゃならねえーのに‥!!」
「けど絶対に諦める訳にはいかない…!僕らは何があってもリーシアを救い出すんだ‥、その為にこうして立ち上がったんだから…!」
メリオダス率いる『七つの大罪』メンバー、エリザベス、二人の魔神族の血族者は、今種族の壁を乗り越えて共闘している。
と、そんな最中リーシアは積もりに積もった永い年月の中抱え込んでいた憎しみや怨みが暴発し、見境なしに上空からまるで見下すようにして、裁きを憎き人間達へ向けていた。その様は怒り心頭、そう言っても過言ではないだろう。
もう苦しみや痛みなどない、閉ざされていた全てが解き放たれた事で優越感を感じ彼女は今までにない程に狂気に満ち溢れている。
冷徹な眼差しで人々に怒りを放ち続ける。「まずい……このままじゃ…!お前達はそいつらの相手を引き続き頼む、俺達は姫様を追いかけて阻止を図ってみる、例え我々には希望や可能性がないと分かっていても、だからと言って何もしないのは嫌なんだ、あの大罪人が還ってくるまでの時間稼ぎぐらいなら、きっとやれる筈だ 」
「ああ、頼んだ……! 」
こんな光景、本来なら叶う筈のない事だ。敵対している立場同士がこうして手を取り合って共闘している。何とも不思議な状況だ。
「あははははははははっ…!!」
「くっ……!」
「所詮お前達は我々にも、そして姫様の足元にも及ばないだろう、ははははっ…!!下等種族が……さっさとくたばるが良い……!」
「そう簡単にやられてたまるかよ……!」
ぶつかり合う魔力……終焉の襲来を何としても阻止する為に、はたまたもう片方は、終焉の結末でこの国全土を支配する為に、お互いに目的を握り闘い続ける。
「はあ……はあ……はあ……はあ…………」
「期待外れだよ、【七つの大罪】……伝説の騎士団とはよく言ったものだ、だけど所詮は我々魔神族の足元にもお前達の実力では及ばない…嗤える程にな!」
「がはっ…!」
「はあ……はあ……ぶはっ……」
魔神族達の本領発輝、とてつもない程の威力と猛攻に一気に追い詰められる事になってしまったメリオダス達。
「あ……あ……あ……がっ…………」
「ふふっ……どう?強者である筈の騎士団の自分達が更なる強者にズタズタにされる気分は……あははははははっ…!!」
「さあ、平伏して我々に跪くが良い、ふふっ……」
「負けて……たまるかよ…!!」
メリオダスらは何度でも立ち上がり、「【全反撃】フルカウンター!」
「サンフラワー!」
「グランドグラデユース」
「【強奪】スナッチ」
と反撃に突入!やられてばかりでは居られない。だが、それでも数の圧倒さに敗北寸前…その時だった、その時だった。
「危機が迫っているようですな、団長殿」
と現れたのは、「…………!!!?、お前は………!!!?」
「何だ……また邪魔者が増えた……一体誰だ?お前は……」
「私か…?私は七つの大罪傲慢の罪ライオン・シンのエスカノールだ」
「まさか、君が駆けつけてくれるなんて……」
「此処へ駆けつけたのは私だけではないよ」
「……?、…………!!!?、エ、エレインまで…!!? 」
「バン……!!」
「何やら面倒な事になっているようですね、まさか同士との久方振りの再会がこんな緊急事態の最中になってしまうとは……」
「再会の言葉は後でな……!、今はそんな悠長な事をしてる暇はないんだ…!!」
「ええ、それはこの現状を目の前にすれば嫌でも理解できますよ」
そうして最後の大罪メンバーエスカノールとの念願の再会が叶い、漸く全ての団員が此処に集結…いや、正確に言えば…完全集結にはなってないが、一応揃ったという事になる。
「ならば、私も力添え致しましょう、この闘いが終幕し、平穏な日常に戻れるように……」
「ああ、そうだな」
心強い仲間が加わり、これで魔神族軍団に対抗出来る程にはなった。しかし、根本的なこの聖戦の主軸である彼女は止められない。
「っ………!!、はあ……はあ……はあ……ぶはっ…!」
「邪魔しないで…復讐の念を晴らすまで……全てを滅ぼすまで……私は……誰にも止められないんだから……所詮下級階級の貴方達には用はないわ」
「姫様……!!悲しみに支配されないで下さい…!本当はこんな事、御自身はしたくないんじゃないんですか……!!?姫様はあの聖騎士達に良いように利用されていた…ただそれだけの事でしょう‥‥!!?」
「もう……どうだって良い……私はもうどうなっても良い……ははははっ……」
「姫様……!!」
「これは……説得は難しそうだな、あの大罪人が無事に帰還する事を願いたいが……それまでは何とか時間稼ぎをしよう、姫様の運命はあの人に託す他ないようだな」
「ふふっ……ふふふふふふっ……」
リーシアは狂気なる微笑を溢し、彼女の暴走は止まる事知らず。塞ぎ込んでいた恨みや憎しみを解き放ったその反動で、収る事のない衝動…そして彼女の中にいる魔神も復活の目覚めを遂げてしまった為に、行き場のない怒りの感情の渦に呑まれているようだ。
「あははははははっ……!!、はははははっ……!」
怒りの矛先はずっと人々に向き、蔑まされ、侮辱されてきた醜き人間達に対する憤怒を、復讐の狼煙で、全ての憎しみを晴らし、全てを破滅で支配する為に……。
「ぐっ‥‥…!あの方は……もう還って来ないと言うのか……!」
「姫様が抱いてる憎しみの感情が強まるにつれて倍増してる……!!」
「ふふっ……絶望の淵に陥り、震えるが良いわ…終焉の終末に立ち尽くしていなさい、ふふっ……!この世界は……我々魔神族のものとなるの……」
二人もメリオダスらも両者共に窮地に立たされ、まさに絶望そのもの……だが、此処で諦める訳にはいかない。
これはただの闘いではない、この国の滅亡か…それともこの国の平穏が守られるか。二つの運命を揺るがす重大な壮絶な闘いだ。
「まだ息絶えないのか……はあすぐに死なれるのも困るが屈強というのもまた面倒で最悪だよ」
「絶対に我々はこの国を守ってみせる…!」
「我々は全てを支配し手にする…その為なら……!」
「そんな事はボクらが絶対にさせないよ!!」
「愚かな決意だな、【七つの大罪】……この現状を目の前にして、まだその威勢を持っているとは……」
それもその筈、この短時間でキャメロット王国の兵士や聖騎士軍は殆ど壊滅寸前の状況で七つの大罪も揃って無数に立ちはだかる魔神族軍団の猛攻を受け、ボロボロ。
「まだだ……まだ……俺達の運命は消え去っていない。俺達はこの現状を‥…光に変えてやる……!」
「ふーん、出来るものならやってみるが良い……あはは、もっとお前らの体と心をズタズタに滅亡させてあげるだけ……!」
破壊的火力を有する魔神族の強者達、数々の騎士団の中でも…最強で古の騎士団と多くの人々から恐れられている【七つの大罪】ですらも、悪戦苦闘状態から中々脱せない……どうしたものか。
「仕方ねえーこっちも益々死ぬ気で行くしかねえーな」
「了解!!!」
メリオダスも神器を駆使して本来の実力を引き出して本気モード。「やっと本気になったのか、はははははっ…!もっと……壊滅させてあげる、息の根も全て破壊する…」
その頃、あの二人はリーシアの手によって瀕死状態になっていた。「すま……ない、あの救世主が……戻ってくるまで……時間稼ぎを……したつもりだった……が……もう……それも………限界のようだ………… 」
「まだ……まだ死なない……っ!、この国の危機を救う為、そして何より絡みついた恨みや憎しみの中に呑まれた貴女様をお救いする為に‥…決して諦めない‥……!! 」
「はあ‥……私の邪魔しなければ、そのような無様な姿になる事はなかったのに、哀れな者ね」
「まだで‥す、まだ……!!」
「鬱陶しい、まだ私の邪魔をするつもりか?ふふっ、ほんとに何処までも愚かな奴らね、そんな廃れた身体で、私 に良くまだ楯突く威勢があるわね、どうやらよっぽど土に還りたいのね、さあくたばりなさい」
「がはっ……!、ぶはっ………姫様……こんな事……本当は……望んじゃいない……でしょう…怒りを‥…お鎮め下さい……っ…!」
「………極大な魔力が目覚めた途端……衝動はもう止められない…どれだけ言おうが無意味よ、数億年前の醜き侮辱に対する裁きの鉄槌を下さないと気が収まらない、まあ良い…もういっその事全てを滅ぼすとするわ、、魔神族一族を敵に回したら……舐めてるとどうなるか……思い知らせてやるの、貴様らはそこでこの地が滅びゆく様を見ていなさい」
そう言ってリーシアは標的をまた街に方へ向け、無慈悲なる憎しみの襲撃を続けている。「…………っ…!、姫様……お待ちを……!また……追いかけ……ないと……」
瀕死の状態ながらもリーシアを救い出す 為……リこれ以上のキャメロット王国の崩壊と壊滅を阻止する為にも、重症を負った身体を引き摺りながら彼女が向かった方へ追いかけていった二人。
絶望の混沌に支配されたキャメロット王国……リーシアの揺るぎなき、冷酷で無慈悲なる復讐の征服は止まる事を知らない。その一方で、聖騎士達は聖騎士長以外は何とか撃破に成功したが、やはり悪戦苦闘を強いられるのは、魔神族一族の騎士団軍団、それに同盟を結び、配下になったリオネス王国の聖騎士長達‥。
「まさか……此処まで追い詰められる事になるなんて……これまで闘ってきた聖騎士や騎士団とは一線を超えている‥まさに絶望の脅威そのものだ……」
危機的状況且つ、もはやもう……此処までなのか…?絶望の最中に立ち尽くしている‥だが、遂にそんな彼らを救う希望の光が差し込んだ。
「【光速伝達】ブロードキャスト……!」
「え…………?、頭の中に急に指示が流れ込んできた……、!!??、まさか……!!!」
キングをきっかけにとある人物に目線を当てた。そこに立っていたのは……、「……………………!!!?、ゴウセル……!!!!???、お前…………生きてたのか……」
「ああ、それより‥…彼女は目覚めてしまったようだな、闇に堕ち支配されている姿で…」
「そうだ、彼女は怒り狂い、憎しみや恨みといった感情に支配され、それだけじゃない魔神族の一族の騎士団がぞろぞろといる」
「そうか。ならば、彼女は俺が止めに行こう。団長達は他の奴らの殲滅をしていてくれ」
「お、おい正気かよ、ゴウセル!まさかお前、また一人だけでリーシアちゃんを止めに行くつもりか!!?」
ホークは巻き起こった現状に怯えている。ゴウセルはホークの心配する声に対し、「彼女が救いを求めているのなら俺はそこに手を差し伸べる、それだけだ。それに約束をした、何があっても守ると、リーシアが例え闇に堕ち、敵となって立ちはだかるなら、どんな事があろうとも‥‥傷だらけになっても、彼女を救うと約束した」
「ゴウセル……」
「彼女を救い出せる希望の光はお前ただ一人だ、そういう事なら我々は此方に引き続き集中するとしよう、此処は我々に任せてゴウセル、お前はリーシアを救いに行け」
「ああ、最初からそのつもりで戻ってきた…彼女は必ず救い出す」
そう決意したゴウセルは、今や怒りや憎しみの感情で支配され、激情状態のリーシアを追いに向かった。
その間メリオダスらはゴウセルから伝達された指示道通りに動く。絶望の深淵の最中、窮地に立たされた彼らであったが、無事に希望の一筋の光が差し込んだ。
しかし、それでも悲しき復讐の逆鱗は止まない……。
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