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夏休み残り2日。
集合場所の神社には既にモリピー以外の四人が居た。
 涼香「あれモリピーは?」
 菜月「遅れてるっぽい」
 涼香「そっかー…」
 モリピー「ごめん遅れた!」
 一同変わり果てたモリピーの姿に呆気に取られている。勿論私もafterモリピーを見るのは今回が初めてだ。
 (変わり過ぎだろ)
 拓海「誰?!」
 モリピー「いや俺だよ俺!」
 菜月「電話越しじゃないやつ初めて見た」
 モリピー「いやオレオレ詐欺じゃねぇし!だから俺だって!モリピー! 」
 拓海「いや俺の知ってるモリピーはくるっくるパーマ揺らしてる低身長ゆるキャラ体型の男だ!」
 モリピー「悪かったな低身長天パゆるキャラ体型で!!」
 双葉「皆!聞いて欲しいことがあるの…」
 モリピー「俺たち付き合ってるんだ」
 またもや石化する3人を他所に私は心の底から2人を祝福した。前々からモリピーの双葉への片思いを近くで見てきたからこそ2人には長く続いて欲しいと勝手ながら思ってしまうのだ。
 そこからは質問の嵐だった。
芸能人が不倫騒動を起こした際の記者会見くらい多い質問に戸惑う2人。
 秀斗「それにしても見間違える程変わったね。ここら辺田舎だからジムも無いし一体どうやって痩せたの?」
 モリピー「毎日山と海行ってた。叔父さんの趣味に付き合わされた結果だよ」
 (アウトドアな叔父さんなんだな)
 話の話題は始業式へと変わる。
 拓海「俺今日で夏休み最後なんだよ。もっと遊びたかったー!」
 菜月「私達は明日で最後」
 モリピー「クラスの奴らどんな反応するのかちょっとだけ楽しみ」
 涼香「皆始業式の日バラバラなんだね」
 菜月「拓海あんた夏休みの課題終わってんの?」
 拓海「………。」
 この後私達は拓海の家に向かい課題の手伝いをした。
お礼に拓海母から料理を振る舞って貰い皆でご馳走になった。
 ー帰り道ー
 モリピー「それにしてもあいつすんげぇ残してたな」
 菜月「まさか半分も終わってなかったって小学生の夏休みじゃないんだから」
 双葉「まあ無事に終わらせることが出来て良かったよね」
 秀斗「僕たちも残りの休みをどう使うか考えないとね」
 涼香「じゃあ私こっちだからまたね」
 その日は解散して店に帰った。
 涼香「残りあと1日か。どうしよ」
 湯船に浸かりながら考える。
少しだけ空いた窓の隙間から湯気が逃げいて行く。
その湯気が家を出た時の私と重なって見えた。
 (おじいちゃんとおばあちゃん元気にしてるかな。会いたいな…)
 考え事をしてる内に頭が回らなくなってきた。
 (ヤバい…のぼせてきた。
そろそろ上がろう)
 火照った身体を縁側で涼ませる。
 (夜風が気持ちいい)
 店主「大丈夫かい?」
 店主が心配して近くに座る。
 涼香「はい、大分良くなってきました。」
 店主「スイカ切ってきたけど食べれるかい? 」
 涼香「いただきます!」
 先程まで冷やしていたのが分かるくらい冷たい。
食べるとシャクッとする食感と甘い味。
 (これはちょっとした水分補給だわ〜)
 涼香「美味し〜…」
 (もう少し居たかったな…)
 店主「どうしたんだい?あ、もしかして不味かった?」
 涼香「夏休みがあと1日しかなくってここから離れたくないなぁって寂しく思ってたんです」
 店主「あらもう居なくなっちゃうのかい。そりゃ寂しいね〜」
 涼香「ここは私にとって第二の実家みたいな場所なんです」
 店主「そう思って貰えるなんて嬉しいね〜」
 布団の中に入って眠りにつく。
夏休み残り1日。
今日は家を出て以来近付かなかった祖父母の家に行ってみる事にした。
勿論会うのは祖父母だけ。
両親に気付かれないよう深めの帽子にマスクと眼鏡で変装する。
 (変質者に見えてしまうのは何故だろうか…)
 涼香「行ってきます」
 店を出て家へ戻る。
久々に通る家路は何処か懐かしく感じた。
正面からではバレる可能性が高いので回り道で裏門から侵入する。
 涼香「外に居る様子は無い。今なら行けるかも!」
 忍足で入り窓から中の様子を伺う。
見た感じ誰も居ないが話し声は聞こえるが内容までは聞き取れない。
 (他に入れそうな場所は…)
 ふと上を見ると 2階の窓が開いていた。
排水溝を上れば余裕で行けると確信した。
すいすいと上り窓の縁に手を掛ける。
 涼香「ほんと無用心だなぁ。空き巣に入られたらどうすんのさ」
 部屋に入りそっと廊下の様子を伺う。
 (誰も居ない)
 次に階段から下の様子を伺うとリビングからかなり激しい口論が聞こえてくる。
 涼香「お母さんと…おじいちゃん?……いやお父さん?!」
私の記憶では母には一生頭が上がらないイメージだった父。それこそ声を荒らげて怒るなど生きてきた中で一度も見た事が無かっただけに衝撃的だった。
父「どうしてくれるんだ!!」
 母「私だってこんな事になるなんて思わなかったのよ!
この帰省を使って遺産についてしっかり話そうと思ってたのに全部涼香に渡したって…!」
 父「お前が涼香に自分の夢を押し付けたせいだ。お前の圧力に耐えられなくなって涼香は家を出たんだ!!」
 母「私だけのせいにしないでくれる!! 貴方だって私の言う事に全部従って、涼香に構ってあげた事なんて一度も無い 癖に!今更偉そうに上から物言わないでよ!」
 がっかりだ。
私の為に怒ってくれてると思ったのに結局は何も変わっていなかったのだ。
 母「なんで未だに涼香の居場所が分からないのよ!!ちゃんと探してよ!!」
 父「お前だって真面目に探せよ!!こういう時だけ俺に任かせやがって!!」
 もはや怒りを通り越して呆れてしまった。
私はそのまま静かに窓から外に出た。