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「澪琉、此の書類を纏めておいて呉れるかい?」
そう云って治兄は外着の準備をしながら、私に書類を渡した。
手に取った書類に目を通し、私は治兄の方を見ずに口を開く。
「…何処か出掛けるのですか?予定では何も無かった筈ですが。」
「嗚呼、少しやる事が出来たんだ。」
さっと黒い外套を身に纏い、治兄はそう答えた。
そうですか、と返事をして私も準備を始める。
そして必要最低限の書類と資料を持って、私は治兄の元へと駆け寄った。
「…澪琉、私は其の書類を纏める様に云った筈だけど?」
静かな眼差しでそう告げる治兄。
私を見透かす様な眼差しで、光の無い瞳を此方に向けていた。
正にポートマフィアの首脳…という感じがして、思わず感心する。
「判ってますよ。きっと首脳がそう仰ると思い、先に彼方の方に纏めておきましたので。」
私はそう告げ、机に置いておいた資料を指差す。
すると治兄は視線を私の指した方に一瞬だけ向け、その後直ぐに床に視線を落とした。
「そうかい、では私は行ってくるよ。
嗚呼…後一つ、今から私が行く処には着いて来ないでくれ給え。 首脳命令だ。」
治兄は振り返る事無くそう告げ、其の儘部屋を後にした。
1人残された私は静かに溜息を吐く。
何が首脳命令だ、なのさ。
普通に心配だというのに…。
私は心の中でそう呟いた。
「まあでも、治兄の事だし大丈夫なんだろうな。」
どんな事が有っても、治兄なら大丈夫。
必ず打開策を探し出すからね。
心配なんかしていても嗤われるだけかな。
___だが其の気持ちは、後に砕かれる事になる。
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ここまで読んでくれて有り難う!
さぁさぁさぁ、こっから少し物語の進行度がグンと上がりますよ。
ちょっと急過ぎるかも…。
良ければコメント、いいね宜しくね!