コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「……。……だけど、どうしてベッドの上なんですか? ……顔も、だいぶ近いですし……」
納得のいかない思いで、真上にある、睫毛の長い切れ長の瞳をキッと見返した。
「普通、眠っている方は、ベッドに寝かせるものなのでは……?」
私のきつめな視線もまるで意に介さない風で、その人はさらに顔を迫らせると、
「……私はただ君の様子を心配して、こうして見ているだけですので」
レンズの奥から、絡みつくような眼差しで見返してきた。
「……。……見えないのですが、少しも心配しているようには……」
今にも覆い被さろうとしているようなそのシチュエーションからは、どう考えたってそう思えるはずはなかった──。
「……だったら、どんな風に思われるのです?」
政宗医師が口にして、その恐ろしく整った容貌にふっと微笑を浮かべると、
「……では私が、あなたを、襲おうとしているとでも……?」
耳のそば近くまで唇を寄せ、わざと息を吹きかけるようにして喋った。
「…やっ」
吐息のかけられた耳を手で押さえ、
「……違うんですかっ!?」
やや強めの口調で咎め立てると、
「ふっ…くくっ」と、政宗医師は喉の奥で笑い、
「さぁ、どちらでしょうね?」
一体何が面白いのか、笑いをこらえられないといった顔つきで、そう口にした。