【豪雨】
……やられた。
朝から快晴だったもんでろくに天気予報も見ず、Twitterでフォロワーに聞くこともせずふらっと買い物に出てしまった。
現在19:00。
ゲリラ豪雨で絶賛雨宿り中だ。
「あータクシーつかまんねぇなぁ」
急な豪雨で、しかも帰宅ラッシュも重なりタクシーは捕まらない上に今雨宿りしてるコンビニの傘も売り切れ状態。
完全に詰みである。
そんな今日は20時から女研メンバーとの会議だ。もういっそずぶ濡れにはなるが歩いて帰るか?ここからならまぁ20分あれば着くだろう…
仕方がないか、と腹を括ったその時俺のスマホが鳴る。
相手はまちこだった。
通話越しの声はザーザーと雨の音混じりでよく聞こえなかったがまちこもほぼ俺と同じ状態らしく、しかも俺んちの近くまで来ているらしい。
あれ?まちこの家、こっちだったっけ?
不思議に思ったがとりあえずコンビニでビニール袋を買い、先ほど買った服の紙袋を包んで傘がわりにして走った。
「あ!せんせー!!!」
少し走っていれば次第に雨足は弱くなり、俺を呼ぶまちこが見える頃には小降りになっていた。
「おーまちこちゃん大丈夫かー…」
まちこの目の前に行って声をかけ気がつく。
「全身ずぶ濡れやん」
「そーなのーぉ!!!助けてぇ」
聞けば俺と同じで会議前に買い物をしていたらこの豪雨に当たってしまいこの状況、らしい。
それならすぐに自分の家に帰ればいいものを、物騒なことにずぶ濡れになって走っていたら家の鍵を落としたそうだ。
しかも大した買い物はしないからと所持金はほぼカラ。カードは普段から持ち歩かないらしく、とりあえずどうにかしなくてはと記憶を頼りに俺んちの方へ走ったのだとか。
「いやいやいや、まちこさんや…」
俺に連絡する前に色々あったろう、例えば交番に行くとか…と、そう言おうとして彼女の姿に息を呑む。
つい…いつもの調子で話していたが今のまちこはやばい。
濡れたウルフカットの髪は首筋に張り付いていてちょっと色っぽい。化粧っけのない顔はいつもより幼く、寒さで目は少し潤んでいる。何より元はフワリとしたブラウスだったろうそれは濡れて張り付き、彼女の華奢な身体をよく強調していた。
「……とりあえず俺んち行きますか」
言えばこくんと頷くまちこ。
そんなこんなで俺の家へ2人小走りで向かった。
…駄文失礼しました。
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