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「ただいま〜」
「おかえり」
今日の仕事も無事に終わり、見るからに疲れてそうな顔をした勇斗が帰ってきた。特に今週は鬼のスケジュールで、"ただいま"を笑顔で言う気力も残ってないっぽい…そんな疲れてる勇斗をどう癒そうか考えたが、甘えるにしても余計に勇斗を疲れさせそうで、笑顔で受け答えするしか思い浮かばなかった。
「マジ今週疲れたわぁ…」
「そうだよな、見るからにスケジュールやばいし、顔も疲れ果ててるよ笑あ、風呂沸かしたから 入ってきちゃいな」
「お、サンキュー」
勇斗が風呂に入っている間俺は夕飯の準備を始める。今日は勇斗の為の料理。(まぁ大体いつもだけど)何でも"うまっ"と言いながら食べてくれるから、こちらとしても作りがいがある。あれこれしているうちに勇斗が風呂から出てきた。
「あ゙〜気持ちよかった」
「おっさんかよ笑」
「お、俺の好物ばっかり。ありがと」
「いーえ」
そう言いながら勇斗はソファーに座り、俺は最後の仕上げをする。「よし、完成!」という時に背後から腰に腕が巻かれ、肩に顔を預けながら呟やかれた。
「なぁ仁人…」
「ん?」
「癒して…」
普段なかなか言わないから思わず表情が緩んでしまう。俺はそのまま後ろを向いて、勇斗の強ばった顔を解かすように優しく顔に触れた。
「めずらしいね佐野さん。今日は甘えたなんだね。とりあえず髪、まだ濡れたままでしょ?乾かすからおいで」
「ん。」
一旦料理を止め、洗面所からドライヤーを持ってきてソファーで勇斗の髪を乾かした。
(髪ふわふわすぎでしょ。今日の勇斗一段と犬だな笑)
「はい、終わり。じゃあご飯食べようか」
「ん、あんがと」
今日あった事とか、上手くいった事…そんなごく普通の日常会話を交わしながら夕飯を食べ終えた。
「ご馳走様でした。仁人、今日も美味かった」
「それはそれはお粗末様でした。食器、洗っちゃうからそこ置いといていいよ」
「おっけー」
2人分の食器を洗い終え、俺も風呂を済ませた。甘えん坊な佐野さんはというと、ベッドで俺待ち。たまにあるこういう日は一段と勇斗を甘やかして、勇斗が眠りにつくまで見守る。本当にこれだけで癒されるのかと疑問に思うが、そんなの本人の顔を見れば一目瞭然。
「仁人遅い」
「はいはい、ごめんね。」
「さみぃ」
そう言いながら俺の胸に顔を沈めるように抱きつき、寝る体勢になる。俺はそんな勇斗の頭を撫でながら反対の手で背中をリズム良く叩く。
「今週も頑張ったね、どれも全力で頑張って偉い偉い。」
「んー…」
「勇斗の出演してる作品観るけど毎回感動しちゃって、あ〜やっぱりウチの勇斗は天才なんだなって実感してる」
「観るなよ…」
「笑けどやっぱり、テレビで見る佐野勇斗よりも、こうやって俺の傍にいてくれる佐野勇斗が1番好きだよ」
「ん…」
「本当に1日お疲れ様」
「….。」
いつしか勇斗の曖昧な返事が寝息に変わった。寝顔を見る限り大体は癒されたようで、本当に毎日大変なのだと実感した。勇斗の居場所はここにあるのだと、いつでも戻ってきて良い場所なのだと、少しでも勇斗に安心が伝わればそれでいい。
(どのくらい心が軽くなっているのかは分からないけど、勇斗が望む限り最大限のものをあげるから、勇斗は勇斗らしく頑張れ。)
おやすみ、俺の愛する人。
end.