テラーノベル
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気づいたとき、私は視聴覚室の床に座り込んでいた。冷たい床の感触が、制服越しにじわっと伝わってくる。息をするたび、古いカーテンとほこりっぽい機械のにおいが喉に残った。
目の前では、あおいが泣きながら首を振っていた。
「ちがう……私は、そんなつもりじゃ……」
声は震えていて、もう言い訳にも聞こえなかった。
真白はドアの前に立ったまま、何も言わなかった。青白い顔も、長い髪も、そこだけ時間が止まったみたいだった。ただ、その目だけがずっと、あおいを見ていた。
教卓の上に置かれたあおいのスマホが、小さく震えた。
画面には、真白からのメッセージがいくつも並んでいた。
どうして
どうして見てるだけだったの
どうして誰も開けてくれなかったの
あおいはその場にしゃがみこんで、耳をふさいだ。
「やめて……やめてよ……」
でも通知音は止まらなかった。短く震えるたびに、部屋の空気が重くなっていく気がした。
私は動けないまま、ただ真白を見ていた。
すると真白は、ゆっくりと私の方を向いた。
その瞬間、私のスマホが震えた。
まだ終わってない。
短いその一文を見たとたん、教室の電気がふっと消えた。
視聴覚室は一気に真っ暗になり、どこかで機械の低い音が鳴り始めた。古いプロジェクターが、勝手に動き出したみたいだった。
数秒後、白いスクリーンにぼんやりと光が映った。
そこに映し出されたのは、古い写真だった。
文化祭の準備中らしい教室。笑っているクラスメイトたち。その端に、真白とあおいが立っている。
でも私の目は、その後ろにいた一人に止まった。
私だった。
思わず息が止まった。
どうして。
あの日、あの場所に、私もいたのだ。
頭の奥がずきっと痛んだ。忘れていた何かが、無理やりこじ開けられるみたいに浮かび上がる。
そのとき、スクリーンの写真がぶつりと切り替わった。
真っ暗な画面に、白い文字だけが浮かぶ。
午後五時十二分
見覚えのない時刻だった。
けれど次の瞬間、真白からまた通知が届いた。
思い出して
コメント
1件
うわ、また心臓に悪い展開……! 視聴覚室の冷たい床とかプロジェクターが勝手に動き出す描写、すごく生々しくてその場にいるみたいだった。真白の「どうして見てるだけだったの」ってメッセージ連打、胸が締め付けられる。そして「写真の中に私がいた」って伏線、やっぱり主人公もあの日の関係者なんだね。まだ終わってないって通知でブツッと暗転する終わり方、続きが気になって仕方ないです…。