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【最終話】傀儡の戦場 ―命令の終わり―
北部戦線。
政府軍の包囲網の中央で、ナチス、フランス、中国が向き合っていた。
「……来たアルね、ナチス。」
中国は剣を握りしめた。
フランスは微笑む。
「やっぱり、あんたも政府に従うのかい?」
ナチスは無言で銃を構える。
『対象:フランス、中国。排除命令継続。』
通信機から冷たい命令が響く。
ナチスは、ゆっくりと歩き出した。
「……俺は、命令に従う。」
中国が苦しげに歯を食いしばる。
「……お前は、本当にそれでいいアルか?」
ナチスは、拳銃をフランスの額に向けた。
「俺は……命令が……全てだ。」
だが――。
指が、引けない。
「……なんでだ。」
手が震える。引き金が、動かない。
『実行せよ。命令実行を確認できない場合、排除対象に切り替える。』
「……命令が……俺の存在だろ……なんで……。」
ナチスは、必死に拳銃を握りしめる。
「動けよ……俺は、命令のために生まれたんだろ……。」
カチリ。
安全装置が、外れる音。
撃てば、全て終わる。
それなのに――。
「……俺は……。」
フランスは、目を閉じて微笑んだ。
「撃たないんだね。」
ナチスは、震える声で答えた。
「……撃てねぇ……撃ちたくねぇんだ……!」
『命令違反確認。対象ナチス、排除対象に切り替え。』
「……ハハ、やっぱり、か。」
ナチスは通信機をゆっくりと捨てた。
「俺は……俺のために、生きたい。」
ナチスの中で、初めて「命令」以外の感情が生まれた。
中国は静かに剣を下ろした。
「……やっと、我々と同じところに来たアルね。」
フランスは優しく笑う。
「おかえり。」
ナチスの目に、初めて「涙」が浮かぶ。
「……ありがとう。」
◆
だがその瞬間、政府軍が四方から包囲してきた。
『命令違反者、全排除。』
ナチスはゆっくりと構え、フランスと中国を見た。
「……行け。」
「は?」
「俺が、足止めする。」
「ふざけるなヨロシ!お前、死ぬ気アルか!」
ナチスは、涙を一滴だけ流し、笑った。
「……俺は、俺の意志で……守りたいんだ。」
「…………。」
フランスは、少しだけ寂しそうに笑った。
「じゃあ……勝手にしなよ。」
「ありがとう。」
中国は、歯を食いしばり、背を向ける。
「……後で、追いついて来るヨロシ。」
「……ああ。」
◆
ナチスは、政府軍の中心に一人、突撃した。
「命令は、もう聞かねぇ!」
「これは……俺の選んだ、最後の戦いだ!」
敵の銃弾を浴びながら、ナチスはひたすら前に進んだ。
「俺は……命令じゃねぇ!」
「俺は……俺だ!!」
轟音。
最後に、ナチスは空を見上げて――静かに、目を閉じた。
◆
数日後。
フランスと中国は、遠く離れた静かな町にたどり着いていた。
「……アイツ、来ないね。」
「……来ないアル。」
二人は、何も言わずに並んで座る。
中国が静かに呟いた。
「でも……アイツは、最後まで自分の意志で、生きたアル。」
「うん。」
「だから、我は……もう、政府の命令なんか、二度と聞かないヨロシ。」
「同感。」
二人は、微笑んだ。
イギリスは、遠くからその様子を静かに見ていた。
「……ナチス殿。貴殿は、私たちに“自由”をくれました。」
「……貴殿のことは、忘れません。」
イギリスは通信機を捨て、背を向けた。
彼も、命令を棄てた一人となった。
◆
そして――。
新たな時代が、静かに始まった。
命令ではなく、自分の意志で生きる者たちが。
その未来に、ナチスの姿は、もうない。
だが、彼の「選んだ道」は、確かに皆の中に、残り続けた。
――END――
初めて書いたからちょっと意味不かもしれないけどどうだったかコメントで教えて欲しいです
コメント
6件
めっちゃ面白かった! うまいよ!なんでみんなそんな凄いんだろう ふっしぎ〜
大丈夫だったよー てか面白い!!! 早く次のストーリーが見たい!!