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24
その間に退場の指示が出て、俺達は退場口に走って行く。退場口を出ると同時に俺は急いで列を離れると、保健室へ向かう。高ぶりが退くと同時に、足の痛みがぶり返してきたのだ。
「いでぇぇぇっ……」
保険室までの道のりがこんなに長いなんて初めてだと思いながら、動かない足を前に出す。閉会式を執り行うせいで、他の生徒たちは校庭に向かっている。誰かに肩をかりたくても、声をかけられない。
壁についていた手がすべって、床に転がりそうになった。しかし誰かが肩を掴んできたので、危うくのところで軽い尻もちだけで済んだ。
「わりぃ、ありが……あっ」
肩を掴んでいる相手は、渉だった。手に一位の旗を持っている。その旗を渡してくると、俺の脇に腕をまわして体を支えてくれた。
「旗、杖にして……」
「あぁ、うん」
なんとか体勢を支えながら、一歩一歩前に進む。隣にいる体温に気をとられないように、痛みに集中した。
痛みで眉間に皺が寄るなか、二週間ぶりの体臭に興奮が収まりそうにない。顔を真っ赤にしながら辿りついた保健室には誰もいなかった。おそらく負傷した生徒も野沢も閉会式に行ってしまったのだろう。このタイミングで保健室に来るやつなんていない。
渉が誰もいないからと、俺をベッドに座らせて足の包帯を解いた。湿布の下には、先ほどよりも赤く腫れた患部があり、顔をしかめるしかない。
棚から新しい湿布を貰ってきて足首に貼ってくれる。冷たい感触に、痛みが少しだけ和らいだ。足元に跪いていた渉が立ち上がると、「鳴海さん」と名前を呼んできた。
「なんで、こんな無茶したの?」
「……いや、その……走りたかったから」
「俺に謝るためだろ、違う?」
「……そうですね」
気まずい沈黙が流れ出したので、諦めて渉を見上げた。正面から相手をみていると、前だったらすぐにキスするとかだった。でも、今はしない。「ごめんな」と呟いて、相手に謝罪する。
「あんとき、お前のこと拒否してごめん」
「あぁ……うん。いちおうムカついたけど……。でもなんであんとき、俺のこと突き飛ばしたわけ?俺、なんかしたっけ?」
「なんもしてない」
「あぁ。あの時も俺がなんかしたって聞いても、なんもしてないっていっただろ。だが、理由がある……そうだろ?」
嘘をつくのが苦手なのではない。渉が他人に嘘をつかせない性質なのだ。だからこそ、口を閉じたところで無駄。
彼の右手が俺の左手に触れてきた。勃起しそうになる、こんなとこで勃起してどうすんだよ。息が熱くなる、渉の体温が俺に触れてくる。
「あ、その……」
「鳴海さん」
手の平を合わせられて、猫が甘えてくるように渉が耳元に顔を近づけてきた。あ、無理。そう思って、俺は肩を掴んで押しやった。
「無理、勃起するから無理!!」
顔を真っ赤にしながら叫べば、彼が呆けたようにまじまじと見て来る。隠し通すこともできない。暴露したなら後はなし崩しに、胸に溜まっていた本音を吐き出す。
「だってお前疲れてるだろうから、セックスしようぜとかいえねぇじゃんか!それでお前に触ったら興奮するから触れなくて。俺だって辛いし疲れるし!でも俺から体育祭参加してくれっていったのに、それでセックスしようとかカッコ悪すぎ……ごめん、それでお前に触れなかった……ごめん、しょうもなくて」
言葉尻がだんだん小さくなって、しまいには口ごもる。どうしよう、怒られるかな。
渉の様子を窺えば、相手は無表情のまま。もしかして、かなり怒ってたりするのか?
「もしかしてそれを意識しだしたのって、俺があんたの誘いを断ったとき?」
屋上でキスをされたときの情景がフラッシュバックした。おそらく、きっかけはそれに違いない。渉の青白い顔がいまだに鮮明に思い出される。
俺が頷くと、よりかかってきた。
「俺だって……あんたが疲れてると思って、気をつかったつもりだったんだけど」
「はぁ?」
「それがこれかよ……なんだよ。それならそうと、早くいってくれよ。俺だって、どんだけあんたに触りたかったか、知ってるかい?」
渉の右手が俺の手を掴んで自らの股間に持ってくる。興奮がさらに高くなる。それに触発されて、俺も自分の股間に彼の手を持ってきた。同じように硬くなっている。
顔を近づけてきたので、相手の舌に舌を絡めた。欲望の鎖が解放されれば、二人で唇を貪るだけだ。
コメント
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リオンです。体育祭編、走りきった直後の高ぶりと足の痛み、そして渉との距離感——一気に詰まったエピソードでしたね。鳴海くんが「♡♡♡するから無理!!」って叫ぶところ、笑いと切なさが同時に来てやられました。無茶した理由を「走りたかったから」だけじゃなく、あの日の拒絶への謝罪だったんだと明かす流れ、すごくしっくりきた。お互い「気を遣いすぎてすれ違う」のも渉と鳴海くんらしいなあ。最後のキス、ようやく噛み合った感じがして、じんわりしました。柚木さん、今回も感情がぎゅっと詰まってて良かったです!