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[三澄side]
久部くんからLINEがきた。吐瀉物に食べ物が一切混じってなかったそうだ。やけに軽かった大男はやはり、何も食べていなかったらしい。
「中堂さん …話してください 。」
「…何をだ」
「分かってますよね」
黙りこくってしまった。この人のこういうところが嫌いである。黙秘権なんてなくしてしまえばいいのに。
「…あの」
「なんだ」
「昨日木林さんと何話してたんですか」
「……関係ないだろ」
怪訝そうにこちらを見たと思ったら 、ぷい と顔をそらされてしまった。まるで猫だ。
「帰る」
「駄目です」
無視して無言で歩き始めた大男。
「まだ回復してないでしょ、ちょっと待っ─」
ふら
「っ だから言ったのに…!!」
支えようと前に出た途端、なんとか踏みとどまる巨体が目に映った。
そのまま出ていこうとする彼の腕を掴もうとした瞬間
「 触るな っ !!」
「え …?」
思いもよらない言葉が飛んできて、思わず中堂さんの方を見る。すると彼もまた、酷く怯えた様子でこちらを見ていた。この男はこんな顔もするのか、と感心する間もなく彼は立ち上がる。
「…っ、悪気 は 、ない んだ」
息を整えながら主張してくる彼は、やはり幼く見えた。何かあったのは確実だが、話す気は全くないらしい。これは木林さんに訊くしかないな…
「 、忘れてくれ」
かけられた言葉に何も返せないうちに次の言葉が飛んでくる。
「……いつか 、話す」
そういって歩き出した背中に話しかける。
「出ていくのは勝手ですけど、UDIの人員減らすのだけはやめてくださいよ」
聞こえたのかも分からないまま、静寂が訪れた。