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第六話 〜選ぶのは、どちらの命か〜
早朝のカンファレンスルーム。
【医局長】
「今日、ヘリチームは災害レベルの多重事故現場に出動だ。中島、お前が医師チームリーダーとして現場を仕切れ。」
一瞬、空気が張り詰める。
【中島蓮】
「……わかりました。」
【佐藤悠真】(一瞥して)
「迷ったら全員が死ぬ。現場で“考える”な、“決断”しろ。」
事故現場──複数の負傷者が瓦礫の下に埋まっている。
【藤原大輔】(ヘリを降りながら)
「時間がねぇぞ、蓮。どっちを運ぶ?」
目の前には2人の重傷者。
・40代男性:意識なし、内出血多量。運べば命が助かる可能性大。
・10歳の少女:骨盤骨折、泣き叫んでいるが今は意識あり。ただし時間が経てば致命傷に変わる。
看護師が叫ぶ。
【看護師】
「搬送は1人しかできません!」
中島、数秒の沈黙。
【中島蓮】(心の声)
「どうすれば…いや、もう迷ってる暇はない!」
数秒後、中島は指を指す。
【中島蓮】
「先にこの少女を運ぶ。もう一人は止血処置を現場で続ける!」
藤原が即座に無線を飛ばす。
【藤原大輔】
「了解!離陸する、急げ!」
搬送された少女は手術室で無事処置され、命を取り留める。
だが──
現場で処置中だった男性は、病院到着前に心停止。
【中島蓮】(震える声で)
「……俺の判断で、人が──」
佐藤がゆっくりと口を開く。
【佐藤悠真】
「お前の選択は正しい。“誰かを選ぶ”のが医者の仕事だ。全員を救うことなんてできない。」
【中島蓮】(目を伏せながら)
「でも、それでも……忘れられません。」
五時間後
【母親】(涙ながらに)
「ありがとう…本当にありがとう…先生が娘を助けてくれて…」
中島、涙をこらえながら微笑む。
【中島蓮】
「……ありがとうございます。」