テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
***
(TAKUTO視点)
「たっくんごめん、今日暇…?」
「暇だけど、どうかした?」
「いや…カイリュウがラジオ終わったらさ、飲み行かん?って誘おうと思ってるんやけど、一緒に来てくれん?」
「2人がいいんじゃなかったの?(笑)」
「やっぱちょっと緊張するんやもん…お願い、奢るから、、」
手を合わせて、お願い、と言ってくるラン。
奢りな。と言うと、たっくんありがとう…と安堵した。
「もう誘ったん?」
「いや、まだ。もうすぐ事務所出てくから、その時言う」
ランの表情から、こっちまで緊張が伝わってくる。メンバーなんだから普通に誘えばいいのに、とも思うけど、恋愛となるとそれが途端に難しくなるんだろうか。
廊下でカイリュウを待っていると、ガチャッ、とドアが開く音がしてカイリュウが出てくる。
「ラン、」
「う、うん、……カイリュウ、!」
「っ、ん、?」
俺が合図して、ランがエレベーターに向かおうとしたカイリュウを呼び止めると、振り向いて少しびっくりした顔をした。
「ラン、たっくん、まだおったん?」
「あー、うん、今からラジオやろ?」
「そやねん、ちょ、ごめん急いでてん!なに?」
今日は土曜日、カイリュウがMCのラジオ番組がある日だ。
エレベーターが下の階からどんどん上がってくる。着く前に早く言え、と内心焦ってランを小突く。
「ラジオ終わったらさ、飲み行かんっ、?」
「えっ?飲みっ?お、、」
エレベーターが到着して、ドアが開く。
「あっ……」
「うん、あ、終わったら言うわっ!じゃ…っ、」
じゃあね、と言おうとしたのか、途中でドアが閉まりカイリュウを乗せたエレベーターが下に下がっていった。
「っ……」
一仕事終えたランが、その場にしゃがみこむ。
ポンポンと頭を叩くと、ポツポツと喋り始めた。
「…え、うんって言ったよね、?」
「言ったね」
「終わったら言うって、言ったよね…?」
「言ったね」
「おっけーってことやんね……?」
「やな?」
「よ、よかったぁー、、、」
膝に顔を埋めながら、喜びを噛み締めるラン。
「……てかさ、カイリュウはランと2人と思ってんじゃない?」
「え?//」
「だってラン俺の事言ってなかったやん」
「いやでもたっくんもおったしさ、!」
「チャンスやろ、2人で行けよ(笑)」
「いっ、いやいや……無理、まだ無理なんよ…」
「じゃあいつならいいんだよ」
「今日…っ、今日までにするから……お願い……」
まぁ、奢りなら行ってやるか…と承諾して、2人でカイリュウの帰りを待つことにした。
***
「もしもし?ラン?終わったで」
「あ、うん、カイリュウお疲れさま。お店の場所、送ったから、来れる、?」
「おん、わかった。じゃあ行くなー」
スピーカーにしなくても、よく通るカイリュウの声が電話越しに聞こえた。
「本当に俺居ていいの?」
「おってよ!」
「なんでそんな頑ななの?俺がランだったら、絶対嫌なんだけど(笑)」
「まだカイリュウの気持ちがどうかわからんし、そういう感じやないかなって…」
「ふーん、…わからんなぁ、俺には」
「わからん?」
「俺だったら2人になりたいけどね、カイリュウと」
「え?カイリュウと?たっくんまってまさか…」
「いやもう違うって!いちいち突っかかってくんなよ(笑)」
冗談を言い合っていると、カイリュウが個室に入ってくる。
「おつかれさーん。お、たっくんもおるやん」
開口一番、俺を見てそう言うカイリュウ。ほれみろ、という視線をランに送った。
カイリュウは、俺とランを交互に見て、どっちに座ればいいのかわからなかったのか、少し考えた後ランの隣に座った。
「カイリュウおつかれ、ラジオ良かったよ」
「え、聞いてくれてたん?嬉し!今日も良かったやろ?」
「うん、良かった、面白かったしな」
「もう面白いが1番嬉しいから…ほんでたっくんはどうせ聞いてへんのやろ?」
「なんでだよ(笑)一緒に聞いてたから(笑)」
「はははっ!そうなん?珍しっ(笑)」
俺をいじっているようで、会話を俺にも広げてくれている。”気にしい”なカイリュウを見た気がした。
「なんで今日誘ってくれたん?」
「えっ?/」
急に確信を突くカイリュウに、ランが一瞬戸惑う。
「ランがどうしてもカイリュウと飲みたかったらしいよ」
「たっくん…!」
おい!裏切り者!とでも言いたいような顔のラン。せっかく連れてきたんなら楽しませてよ、と思いながらニヤニヤとランを見た。
「えっ?な、なんでっ、?/」
ランをいじるのかと思いきや、予想外にしっかり照れているカイリュウ。
ランの顔を見ず、自分の分のおしぼりを握ったり広げたりしている。
そんな可愛い照れ方をしたのを見たのは初めてで、ついつい可愛いなおいと釘付けになる。
「いや、ごめん、ラジオで疲れてんのに…ちょっとでも会えんかなって思って、」
まっすぐと会いたかった気持ちを伝えるラン。
お前、さっきまでの弱々しさはどこに行ったんだよ…そんなん言えるんなら早く言えよ。
「いや、別に…っ、俺も嬉しかったしな、?誘ってくれて、」
お互い顔を見ず、目線が下でしどろもどろになっている。
え?なんやねんこの空気。
お前ら、2人だとそんな空気になんの?
ほのかに甘ったるい空気が、俺の前に溜まっていく。
「お前ら、なんかあったん?」
心の声がそのまま出てしまい、あ、と自分でも動揺した。
「えっ?な、何が?なんかって、、っ、?/」
「な、なんもないわ!変なこと言うなや…っ、」
2人してしどろもどろになるその焦りように、聞かなくてもあったんだと理解する。
「…ふーん、?」
なんだ、思ったより進んでんじゃん。
もしかしてもう付き合ってたりすんの?
だとしたら俺要らなくね?
そんな事を考えながら、お酒を飲む。
「あ、ごめんちょいトイレ!」
カイリュウが席を離れた隙に、ランを問い詰める。
「…絶対なんかあったやろ?」
「……いや、…/…実はこないだ家行ったとき、なんかちょっとそういう雰囲気になってさ、、」
「は?手出したん?」
「いやっ、いやいや出してない出してない!!…や、でも、なんかちょっといい雰囲気やったっていうか…/」
「…え、付き合ってんの?」
「いや全然、告ってもないし…でもなんか、ちょっと俺の事意識してくれてるんかなって感じかも、」
嬉しそうにそう話すラン。
だから今2人は無理やねん、と頑なに俺を呼んだ理由を述べた。
「…なるほどね、俺は2人を盛り上げるための存在ってこと?(笑)」
「嫌な言い方すんなぁ…(笑)そうじゃないよ、ごめん、俺がヘタレなだけ…」
自分でも嫌な言い方だったな、と思いながら、嘘だよ、と濁した。
ちょうど会話が終わったタイミングでカイリュウが戻ってきて、3人で乾杯をした。
***
「……でさぁ、それがほんまに可愛くて…」
お酒が回ってきた頃、酔っているのかナチュラルにカイリュウの話をしながら「可愛い」と本人の前で話すラン。
全然隠せてないやん、と思いながらカイリュウの様子を伺う。
「……おまえ、ほんまにその話好きやなっ、?(笑)さてはおれのことすきやろっ、?」
呂律が少しおかしくなってきたカイリュウが、ランの肩に手を置きながら、これまたナチュラルに「俺の事好きやろ?」とランに聞いている。
「……うん、すき。へへっ、、」
「えっ、」
テーブルに伏せながら、カイリュウの方を見て「好き」と言い放つラン。
え、お前告ってんやん、と俺だけが焦り思わず声に出た。
「もう、っほんまに、こいつはぁ…、なぁ?たっくん?」
よく分かっていないのかなんなのか、ランの告白をサラッと流し、俺に笑いかけるカイリュウ。
「え?あぁ〜、、うん…?」
曖昧な返事をしていると、ランがトイレ、と立ち上がり、ふらっと個室を出て行く。
…え、あいつ、流された事にショック受けたんじゃないよな?と少し不安になりながら出ていくランを見ていると、手を掴まれる感覚がして、びっくりして前を向くとカイリュウが机に突っ伏して俺の手を握っていた。
「っ、え、カイリュウ、?」
「たっくん〜、、みず、、」
「え、?あ、水っ?」
「きもちわるい」
「はっ、?!おい、吐くなよっ?」
慌てて、席を立ちカイリュウの隣に行く。
「カイリュ…、
「ん、…ふは、ごめん、うそ。」
カイリュウの隣に立って、様子を伺おうと顔を覗き込むと、そう言いながら、ぎゅ、っと、突然カイリュウに引っ付かれる。
腰に手を回してきて、お腹に熱いカイリュウの顔が当たる。
「っ…!ちょ、カイリュウ…っ、」
「んん…たっくん、ええ匂いすんなぁ…」
すりすりと顔を擦り付けてくるカイリュウに猫のような可愛さを感じて、初めてこんなに甘えられた事に思いがけずきゅんとしてしまう。
「かいりゅう、?なぁって…」
「たっくん…いつも、ありがとうなぁ…?」
「っ…え、、」
「ほんまに、…ほんまに、かんしゃしてんねんでぇ、、?だいすきやからなぁ、?」
ふにゃふにゃと「だいすき」と言い、俺を見上げた。
頬が赤らんで、くりくりした目がとろん、となっている。
「っ…、/」
一瞬呼吸が苦しくなって、胸がきゅうっ、と締め付けられる。
初めて見るカイリュウの可愛さに、くらってしまった自分がいた。
「っえ、…なにしてるん、、」
後ろからランの声がして、ハッ、と我に返る。
「らん、?おかえり…」
「カイリュウ、なにしてんの?離れて。」
ひっついたまま、おかえりと言うカイリュウを即座に引き剥がすと、少しふらついたカイリュウがテーブルに突っ伏した。
その手つきの強さに、ランの独占欲を感じて少し背中が冷える。
俺にひっつくカイリュウを見てすっかり酔いが冷めてしまったのか、いつものランに戻っていた。
そのままスースーと寝息を立てて寝てしまうカイリュウ。
「……たっくん何してたん、?」
「っ…いや、カイリュウが急に気持ち悪いって言ってきたから、介抱してたらちょっと引っ付かれただけやって…」
「…そっか、…そうよな、ごめん、なんか俺ちょっと嫉妬して……」
ランの安心した顔に安堵しながらも、急に寒さを感じる自分のお腹に意識がいった。
「たっくん、今日はありがとね?カイリュウは俺が送ってくから…」
カイリュウ?帰るよ?と優しく顔を覗き込みながら、腰に手を回してカイリュウを立たせるラン。
「……、わかった、…気をつけてな、?」
ランにそう言いながら、目線は寄りかかって寝ているカイリュウに向いていた。
405
4,714
1,363