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「ッッッ!!!」
アラームの音で目が覚めた。目を開けると、そこは天井ーーー私の部屋だ。時計を見ると、6時30分。少し寝坊をしてしまったようだ。
「…朝?…あれは…夢?」
そう言って私、神柴健三はベッドから重たい体を起こす。朝はあまり強い方ではない。
(嫌な夢、見たな…)
夢だとわかっていても、手が震えてしまう。
(…違う。あれは夢、夢だから。だから気にしちゃいけない。大丈夫、私は弱くない。…まどかさんと誠一くんが、あんな事言うはず、無い…ですよね…)
とりあえず、切り替えて事務所にいかなければ。寝坊をしてしまったが、いつもそれなりに早起きしているため、少し急げば十分間に合う時間だ。
(…とりあえず、顔でも洗おう)
そう思い、少しフラフラした足取りで洗面所に向かう。
数分後、顔を洗い終わり、紅茶ーー朝のルーティンだーーを入れようとする。するとーー
ーーーガシャンッッ
ティーカップを落としてしまった。 私としたことが。とりあえず、このままでは怪我をしてしまう。急いで片付けよう。そしたらーーー
「痛ッッ」
破片で指を切ってしまった。溢れてくる血を見つめながら、私は今、何をしているのかよくわからなくなってしまった。
ああ、こんなときあの人がいれば、何かアドバイスをしてくれたのだろうか。あの人は、いつも冷たい対応をしていた私にも、優しく、うるさく接してくれたからな。
ーと、いけない。感傷に浸ってはいけませんね。もう過去のことだから、忘れなければ。
そんなこんなで気づけば、時間は7時30分を回っていた。このままだと遅刻してしまうので早く着替えて行かなければ。そうして私は言葉を投げる。
「…行ってきます」
もう誰も、おかえりとは言ってくれないこの家に向かって。
コメント
3件
夢でよかったぁぁぁぁ! 最高です!無理なく頑張ってください!
あー、これは…胸にくるものがありますね。健三さんが「夢だ」と自分に言い聞かせながら、それでも手の震えが止まらない。日常の動き(ティーカップを割る、指を切る)が、彼の内心の不安定さをそのまま映しているようで、読んでいて息が詰まりました。そして最後の「行ってきます」──誰も「おかえり」と言ってくれない家に向けての一言。この静かな締め方が、喪失の重さをぐっと際立たせていて、とても印象的です。