コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
2人は犯人を追いかけて山道を走っていた。しかし少し離された隙に犯人は車を置いて忽然と姿を消してしまった。
「『犯人消えたっす!』」
「『え?ちょっと待ってサーマル見るわ。…なんか山の中?に見えるけどどこか分かる?』」
「『なんか炭鉱の入り口みたいなのがあるっすね。』」
「何それ?俺も降りるわ。」
「アオセンここっす。」
「え、何ここ?つぼ浦入った事ある?」
「いや、初めて見たすね。」
恐らく廃坑だと思われるそこは、明かり一つ無い真っ暗闇で中は見えない。
「…アオセン帰ろうぜ、もう犯人逃げちまったすよ。」
「ちょっと入ってみようよ、中にアジトとかあるかもよ?」
「えっマジで!?俺は帰るっすからね!」
「いーじゃんちょっとだけ、大丈夫だよ。」
「いやムリムリムリ!!」
ホラーがてんでダメなつぼ浦と、得意という訳ではないが好奇心が勝った青井。つぼ浦を無理やり引き止めてライトで中を照らしてみるも、奥までは見えずどこまで続いているのか分からない。
「うーん見えないな…よし、行ってみるか。」
「マジで?なんかあったら俺泣くよ?」
「大丈夫だって、なんにも無いよ。つぼ浦心霊系とか信じてるの?」
「いや信じてるっつぅか、自ら経験しに行かなくていいだろ…。」
「大丈夫大丈夫、ほら手繋ぐか?」
差し出された手を強く握った。その強さがつぼ浦の恐怖度を示しているようだ。
「待って痛いわwもうちょい優しくしてくれ?」
「あっすんません…いやこれアオセンが悪いんじゃねーか!」
「だってこんなの気になるじゃん。ほら行くぞ。」
いよいよ中に入ってみるがどこまでも暗く、どこまでも静かだ。2つの足音だけが響き渡る中、暫く進むと道が二手に分かれている。
「分かれ道だ、どっち行く?」
「…怖くないほう。」
「どっちだよw右から行ってみるか。」
「てか戻るって選択肢は?」
「無い。お宝とかあるかもよ?」
「こんなとこにあるお宝なんて碌なもんじゃねぇだろ…」
「結構奥まであるんだな。…あれ、行き止まりだ。」
「もうこれは大人しく帰れって事だ。」
「いやもう1つの道も行ってみようよ。」
そう言って振り返った瞬間。緑色の体で頭は楕円形、長い尻尾の生えている「エイリアン」という呼び方がピッタリ当てはまる生き物が数m先に立っていた。状況が理解できない2人はエイリアンと数秒見つめ合う。
「……い゛や゛あ゛あああああああ!!!」
「……う゛わ゛あ゛あああああああ!!!」
つぼ浦は走って逃げようとしたが青井は足がすくんで動けない。無我夢中で青井を担ぎエイリアンの横をすり抜けて走り出した。
「ヤダヤダヤダヤダムリムリムリ!!なんで!?なんであんなんいるの!?っあ!?」
勝手に動く口に気付きもせず必死に走っていると躓いてズシャァッと勢いよく転んでしまった。耳を澄ますとヒタッ…ヒタッ…という足音が近づいてくるのが聞こえる。
「……待ってムリムリほんとにムリヤダヤダヤダ!!」
「早く逃げるぞ!!」
今度は青井がつぼ浦を担いで走る。外に出た瞬間転んでしまったがすぐに体勢を立て直し、手が震えながらも入り口に銃を向けバットを振りかざした。
「………出てこない?」
「………足音も聞こえない…」
「助かった…?」
「…はあああぁぁぁー良かったぁ…」
「…あれなんだったんだよマジで…」
安堵すると恐怖や痛み、疲労が一気に押し寄せてきてその場に座り込み動けなくなってしまった。
「ごめん俺のせいで。まさか本当にあんなのがいるなんて…てか犯人どこ行った?」
「あれ見えたの俺だけじゃないすよね?あれなに?バケモン?」
「いや完全にエイリアンだったよ…宇宙人て事?」
「この街で何人か宇宙人名乗るヤツ知ってるけど、明らかにソイツらとは違ったよな…?」
やっと落ち着いてきたがまだ気が動転してるし怪我だらけだしで、自力で帰るのは危険だと判断し迎えを頼んだ。
「『5002付近の山中の青井とつぼ浦迎えに来れる人いますか?』」
「『ボク行けるよ、ちょっと待ってねー』」
その後迎えに来てくれたネルや他署員、留置所にいた犯人にも話してみたが噂は聞いた事あるけど実際見たことは無い、誰かのイタズラじゃないのと誰1人として信じてもらえなかった。
「今日はちょっともう無理っす、退勤しよ…」
「俺も。頭ん中整理したいし一緒に帰って休むか…」
あのエイリアンが犯人の変装だったのか他の人のイタズラだったのか、はたまた本物だったのか。真相は分からないままだ。