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21 - 019 白銀の女騎士(1)

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2024年12月09日

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 赤城門、飲食店が立ち並ぶ繁華街。
「このユニバース・トーキョーの有名人? そうさな、そう聞かれると、三人くらい名が上がるな」


 飲み屋の店主は、一人の客に尋ねられていた。


「まずは、やはりなんと言ってもこの日本の最先端技術を扱い、天界人と貿易を結んだ貿易商であり、UT特殊部隊や警察庁を一身に背負う男、四大皇帝の一人、大和やまと帝」


 すると、難しい顔をして酒瓶の蓋を開ける。


「UT特殊部隊の総隊長や、UT刑務局の局長も、有名っちゃ有名だが、どちらも神出鬼没で、基本的に副長が指揮系統を統括しているから、あまり姿を見た奴は居ないんだよな。そうなると、次に名が上がるのは、泣く子も黙るUT刑務局の副局長、死神の異名を持った鮪美・B・斗真だろうな。UT特殊部隊の中隊長のアリスさんも、同じくらい有名人だが、出身がロシアだから、日本の有名人ってわけじゃねぇからな」


 そして、最後に酒を注ぎながらニタリと笑う。


「そうだそうだ、この人を忘れちゃいけねぇ。UT特殊部隊及び、UT刑務局を手足のように使えるもう一人。警察庁の人間でもなければ、UT変異体のただの育成班の女なんだが、腕っぷしが相当で、警察庁ですら頭を下げるしかねぇって噂のヤベェ女がこの国には居るんだよ」


 酒を置くと、店主は密やかに呟いた。


“白銀の女騎士”だ……」


 ――


 コツコツと、UT技術を管轄する大きなタワー、そこを凛々しく背筋を伸ばして歩く音が響く。

 その女が歩いた後は、その道はお辞儀の列となる。


「警察庁長官殿。UT変異体V型育成班長、只今参りました」


「あぁ、今回の指令だが……君にとっては少し、心苦しいものになっているかもしれない……。何せ、かつての仲間を始末しなければならなくなるかもしれないからな……」


「どんな任務でも、この星の為に尽力します」


「君ならそう言うと思っていたよ。彼女は顔が広くてね、迷いのない君が指揮官が良いと判断した。標的は……トップ・トーキョーに隠居している、船橋・LU・緑」


 一瞬、言葉を失ったが、すぐに顔付きを変える。


「畏まりました。こちらで優秀な部隊を編成し、早急に始末して参ります」


 ――


 俺たちがいつもの如く朝食をむしゃむしゃ食べている間に、禁煙していたはずのババアは久々に、タバコに火をつけて俺たちを見下してきた。


「ンだよ、くっせぇモン近付けんな。飯が不味くなんだろうが」


 しかし、次の言葉で、ババアは俺たちを驚愕に導く。


「アンタたち、今日中にこの家から出て行きな」


「え……? は? じょ、冗談だろ……?」


「いい加減、アンタたちの名前にも依頼が来るようになったし、この機会に三人で住める事務所でも立ち上げて、そこで暮らしな。アンタたちいい大人の世話を見て、こっちもゆっくり暮らせないんだよ」


「ふっざけんなよ! 依頼来始めてるとは言え、そんな金なんかねぇし、何より、俺たちは家事もできなければ生活力もねぇ! ここにいる誰もな!」


「そんな誇らしそうに言うじゃねぇ!! いい大人だろお前は!! とにかく、さっさと出て行きな」


 俺たちは、取り敢えず外に出ることにした。


「はぁ〜あ、そろそろ認知症かねぇ。あんな毎日毎日声張り上げてると、高血圧になっちまうぞ」


「でも、緑さん、タバコなんて吸ってたし、いつもと様子がおかしくなかったですか……?」


「だから、歳食ったんだろ。家帰った頃には、俺たちにそんなこと言ったのも忘れてるよ。大丈夫、大丈夫」


 その瞬間、デジャヴの殺気を感じる。


 ゴッ……!


「ほう、前よりかはマシになったみてぇだな……蒼炎」


 俺は、瞬時に刀を出し、その刀身から身を守った。


「やっぱりお前か。こっちも、いつもなーんもしてねぇ訳じゃねぇんだよ。また急に、何の真似だ?」


 背後から俺に刀を突き付けてきた奴は、以前の夏日のアルバイト同様、UT刑務局の鮪美だった。


「お前たちに逮捕命令が出された。抵抗を見せるなら現行犯として罪が重くなると思え。何もないなら両手を上に上げて、取り敢えず同行しろ」


「は……? 急に何で……」


 しかし、鮪美のボソッとした呟きに、俺の反発しようとした言葉は遮られた。


「本当は、俺たちも本意なことじゃないんだ」


 俺たちは、抵抗することなく鮪美に着いて行くと、タクシーの助手席には、ロスタリアが待機していた。


「抵抗しなかったんスね。副長と乱闘にでもなってたら面白ぇと思ってたのに。拍子抜けっス」


「拍子抜けなのはこっちだよ。あんな殺気も感じられない剣、同情すらしちまうぜ」


 流されるままに留置所に送られ、俺たちは手錠を嵌められたまま、鮪美とロスタリアの監視下に置かれた。


「おい、いい加減なんで捕らえたのか事情を話せよ。冤罪にも程があんだろ。出るとこ出るぞコラ」


「話したいのは山々なんスけどね、俺たちもアンタらの監視役とか、面倒この上ないですし」


 明らかに漫画本を読み、暇そうなロスタリアはボソッと返答する。

 ルリは状況把握することを放棄し、こんなところでも優雅に寝落ちる中、学は険悪な顔で尋ねた。


「もしかして、緑さんに関係があるんですか……?」


「は……? なんでババアに……?」


「鮪美さん、ロスタリアさん……。答えてください。緑さんに何かあるから……!」


 ゴキッ!!


 興奮する学の声を遮ったのは、俺だった。


「ババアは……今何してるんだ……」


 手錠を破壊し、手には蒼炎が走る。

 その俺の眼光に、鮪美は黙って剣を抜いた。


「ちょっと、落ち着いてください、二人とも……!」


 ドゴォン!!


 留置所の壁は瞬く間に破壊され、中から蒼炎を纏った俺と、剣を構えた鮪美が飛び出す。


「お前とは一度、本気でやり合ってみたかった。丁度いい機会だ……蒼炎……!」


 学の声も届かないうちに、いつの間にか杖を構えていたルリを、ロスタリアが制する。


「じゃあ、アンタは俺とだ……コスプレ女。UT技術に恵まれただけの奴が、俺に勝てると思うなよ」


「技術? 能力? ナンセンスだ。私のコレは全て、本物の魔法だ。とくとその生意気な口、へし折ってやるわ」


 学が涙目に、その様子をただ黙ってみているしかない内に、俺と鮪美、ルリとロスタリアの勝負が始まった。


 ――


 ◇緑一派

 鯨井・LU・優(異世界の魔王の息子)

 ルリアール=スコート(異世界の魔法使い)

 佐藤 学(新米技術者)

 船橋・LU・緑(優を引き取った元UT変異体育成班)


 ◆UT刑務局

 鮪美・B・斗真(副局長)

 ロスタリア・A・バーニス(特攻隊長)

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