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その日、私は最寄りの駅に行き、特急に乗り継いでその村へと向かった。
「すみません! 明日フィールドワークさせて頂く○○と申します!」
私はバス停で電話をして、迎えにきてくれた村人のおじいさんに声をかけた。すると……。
「ああー。はいはい」
迎えにきてくれたおじいさんは、なんだか気の抜けた返事をした。
「じゃあ、行きましょうか」
私はおじいさんに連れられて、村へと向かっていった。村長と挨拶をし、その後村の案内をしてもらった。私は村の人々が泊まるという家に向かったのだが……。
「ここがそうです」
案内された家は、よく言えば歴史がある感じだが……なんというか古ぼけた小さな民家だった。
おじいさんは引き戸を開けて中に入っていった。仕方がないので私も中に入る。中は4畳半くらいの部屋になっていて、座布団が2つ敷いてあった。
「これ、使ってください」
私が荷物を置くと、おじいさんがお茶のペットボトルを1本くれた。やっぱりどこかお爺さんの様子がおかしい気がする……。
「そうそう、さっそくだけど、今日の夜、猿神様にまつわる行事があるんですよ。よかったら見に来ますか?」
「え? いいんですか? ぜひ見たいです!」
これはいいネタが手に入りそうだ。村に到着して早々についてるなぁ。
「じゃあ、夜になったら呼びに来ますね」
「ありがとうございます」
私はおじいさんにお礼を言って、お借りした家でフィールドワークの準備などをして過ごした。そして夜になり、お爺さんが私を呼びに来たので、私は村の中央広場へと一緒に向かった。するとそこには……。
「え、ええー!?」
お爺さんが広場に用意したという、祭壇のようなもの。その祭壇の上には、猿のような顔をした3メートルくらいある大きなハリボテが置かれていたのだ。
「そういえば、これは何の儀式なんですか?」
私はおじいさんに聞いてみた。
「ああ、これはね、猿神の巫女さまのお祭りなんですよ」
「巫女さま、ですか?」
私はちょっと不思議に思った。巫女が祭りの手伝いをする、というのなら分かる。けど、「巫女さまの祭り」ってどういうことだろう?
「そうそう、昼間に渡したお茶、もう飲みました?」
「えっ? あ、はい。いただきました」
「そう。それはよかった……」
えっ、今お茶の話? いったいどういうことなんだろう、と思っていると……。
「おっ、巫女さまが来ましたよ」
「えっ!?」
おじいさんの指さす方向を見ると、そこには数人の覆面をした男たちが、鎖でつながれた裸の女性を連れてきていた。女性はどこか諦めたような表情をしている。
「こ、これはいったい?」
(続く)