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「うん、課長も八木さんも席外してるみたい。何か用事あった?」
「ないけどさ、ふーん。課長はともかく、八木さんってマジで仕事しないんだね」
坪井の言葉に「あはは……」と真衣香は乾いた笑いで返事をするしかなかった。
八木は人事部長の甥っ子で、コネ入社だとの噂が高い。
その噂の原因は坪井の言葉の通り。
『仕事をしないから』なのだ。
「やっぱお前もうちょい頑張ってますアピールしてもバチ当たらないと俺思うよ」
「いやいや、営業部とか忙しいとこに比べたら私とか」
営業部は営業部長に統括され、自社ビルの一階に営業一課、営業二課。
そこから枝分かれに各営業所に繋がっているのだけれど。
ひっきりなしに鳴る電話、FAX、飛び交う大きな声。
真衣香の在籍する人事総務部のある二階や、開発企画部などのある三階とは熱気がまるで違う。
(小野原さんや森野さんのいう通り仕事量も全然違うんだろうな)
考えても仕方のないことで眉間に力を込めていると。
ポコン、とおでこを指で弾かれた。
いわゆるデコピンだ。
「痛っ!え!? え、痛いよ坪井くん???」
「だろ〜〜?痛いだろ、結構痛くしたし」
痛がる真衣香を腕を組んで、不機嫌そうな顔で見下ろす。